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サウジのBRICS正式加盟で世界に何が始まるのか?


サウジのBRICS正式加盟で世界に何が始まるのか?

2023年8月25日ロイターでは『サウジ、BRICS加盟で世界視野に~米との同盟は弱体化』を報じている。

『主要産油国サウジアラビアのBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)加盟は世界の舞台で影響力を拡大しようとするサウジの野心を浮き彫りにする一方、かつて鉄壁と見られた米国との同盟にはほころびが目立っている。BRICS首脳会議は6カ国の加盟を決定。議長国南アフリカのラマポーザ大統領によると、アルゼンチン、エジプト、イラン、エチオピア、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)の6カ国が2024年1月1日に加わる。

サウジのファイサル外相は24日、「新たな発展と経済的機会を創出し、われわれの関係を望ましい水準に高めるためにこの協力を発展させていきたい」と語った。アラブ諸国の有力国であるサウジとその隣国UAEは、米国がこの戦略的地域の安全保障へのコミットを弱めているとの懸念から独自の道を一層追求している。ライス大学ベーカー研究所(ヒューストン)のリサーチフェロー、ジム・クレイン氏はサウジとロシアの石油市場に係る連携、中国との関係緊密化、米国の原油増産要請を拒否したことを挙げ、「いくつかの分野でサウジは米国の利益を無視している」と指摘。「サウジが米国の影から抜け出して久しいが、サウジはますます非同盟的な道を歩み、米国の利益と対立している」と述べた。

サウジにとって最大の石油輸出先である中国は、西側への対抗軸にしようとBRICS拡大を主導してきた。昨年12月には習近平国家主席がサウジを訪問。習氏の訪問は、バイデン米大統領が同国を訪問し、米国のガソリン価格上昇を抑えるために原油増産を要請したものの、失敗に終わった後だ。クレイン氏は、ドル以外の通貨による原油価格設定が米国にとって最大の懸念だと指摘。「中国は以前からサウジに人民元建ての設定を求めている」と語った。(途中略)。』

BRICSの5か国は世界人口の4割を占め、2000年には8%に過ぎなかった世界経済におけるシェアは22年に26%に拡大する一方、この間、主要7か国(G7)のシェアは65%から44%に低下した。購買力平価ベースではすでにG7を上回っているとみられている。

24日、イランのライシ大統領と会談した中国の習近平国家主席は「世界に大きな影響を与える」とイランなど新興国加入に歓迎。中国は米国に対抗するための足場の一つとしてBRICS拡大を主張した。また、24日の拡大首脳会合にはビデオ演説や大臣級を含め50か国以上が参加。イランのライシ氏ら反米の急先鋒からインドネシアのジョコ大統領ら米欧と中ロの間でバランス外交を志向する国まで幅広い。

今回のBRICS首脳会議について、各メディアは以下のような発信している。

「BRICSはG7や世界銀行といった西側主導の場による支配に「挑戦」しようとしている(米ニューヨーク・タイムズ)」「既存の金融機関に代わる開発銀行を拡大、促進するという BRICSの計画は西側諸国の懸念を呼んでいる(欧州のニュースサイトEuractiv)」「中国とロシアは「米国を攻撃する」機会として会談を利用した。米国が重大な戦略的影響を受ける可能性は明らかに存在する(米週刊誌ニューズウィーク)」「BRICS 加盟国は「世界における西側の支配に対抗することを望んでいる(スゥーデンのタブロイド紙ダーゲンス・インダストリ)」「BRICSの拡大は、中国国家主席とロシア大統領の勝利(米ウォール・ストリート・ジャーナル)」など。

今回、サウジアラビアが正式に加盟したことは画期的なことだが、注目された「BRICS+ゴールドリンク新通貨」については、南アのゴドングワナ財務相は、『SWIFT(国際銀行間通信協会)など国際送金・決済システムに代わる仕組みを模索するのではなく、現地通貨の利用拡大を促進する決済システム構築を検討するものだ』とロイターに述べた。ゴドングワナ氏は、『ブラジルのルラ大統領が中心になって提唱しているBRICS共通通貨の創設について、財務相会議では議題にならなかった』と述べ、その上で、共通通貨導入は単一の中央銀行が必要になり、金融政策の独立性が失われることなどから「難しい」との認識を示した。

ただ、プーチン大統領は、BRICS首脳会議で、加盟国が貿易をドルから自国通貨に切り替えることを議論し、「BRICS新開発銀行が重要な役割を果たす」、「我々の経済関係の脱ドル化の客観的で不可逆的なプロセスは勢いを増している」と述べた。また、独紙「ユンゲ・ヴェルト」の論説委員、ビープケ・ディール氏は「各国通貨での決済拡大によってドルがその地位を著しく損なう可能性がある。そのため、BRICSが共通通貨を導入するか否かは、重要ではない」と指摘した。サウジアラビアの正式加盟でこれまでの「ペトロダラー体制」は徐々に崩れ、これまでのドル基軸通貨体制が100年振りに移行する可能性が出てきたが、100年前にはスペイン風邪のパンデミックや世界大恐慌、日本では関東大震災などあらゆる災害が集中した。今回もすでに新型コロナのパンデミックが起きているが、世界の山火事など不思議な事件が次々と起きているのはこの「基軸通貨の移行期」だからと考える方が自然だろう。基軸通貨を守る側と壊す側の攻防が、世界的な経済危機や自然災害、戦争を起こすことは間違いないが、それはいつ、どのようなかたちで始まるのかが注目される。

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