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「逆イールド」は景気後退の前兆か?


「逆イールド」は景気後退の前兆か?

2022年2月12日日経夕刊に『金利に映る景気後退の影』が掲載されている。

『景気後退の前兆とされ、長短金利が逆転する「逆イールド」への警戒が急激に高まっている。

11日の米株式相場は下落した。ロシアのウクライナ侵攻が近いとの見方が広がり、地政学リスクの高まりから株安・債券高(金利は低下)の動きが強まった。ナスダック総合株価指数は1月の下げ幅(高値と安値の差)の半値戻しを達成できないまま、再び調整色を強めている。2021年11月19日に付けた過去最高値から57営業日、最高値更新がない状況だ。前年に一時的な調整後、再び最高値を更新するまで最も日数がかかった21年2~4月の49営業日をすでに上回る。20年には2~6月の76営業日、9~11月にかけては59営業日かかった局面があった。11日時点で最高値から14%安の水準にあることを考慮すれば過去2年間で、回復にもっとも日数がかかる局面となる可能性が高い。ナスダック指数を構成する銘柄の4割超が、過去1年(52週)の高値から半分以下の状態だ。米国株のお家芸とされてきたV字回復力が衰えている。

市場は米連邦準備理事会(FRB)にインフレ抑制の金融引き締めを催促する。ゴールドマン・サックスは10日、年内の利上げ回数予想を7回と従来の5回から引き上げた。3月の会合で通常の2倍に当たる0.5%の利上げ予想に変更する金融機関も増え、市場ではFRBが臨時会合を開き緊急の利上げを決定するとの観測まで浮上した。

金融市場は利回り曲線の急激な平たん化に身構える。「CPIショック」が発生した10日、7年債が10年債利回りを一時、上回る逆イールドが発生した。7年債は10年債に比べ売買高が少なく、流動性プレミアムが影響している面もある。ただ、他の主要年限でも逆イールドが発生する兆しが出ている。5年債と10年債の利回り差はほぼ無くなりつつある。市場が注目する2年債と10年債の利回り差は0.44%と1年半ぶりの水準に縮小した。バンク・オブ・アメリカのマイケル・ハートネット氏は「年央までに逆転する」とみて、株安と景気不安が一段と強まると予想する。』

昨年12月に1.4%前後だった米長期金利は一気に2%の節目を超えた。11日はロシアによるウクライナ侵攻が近いとの見方から相対的に安全資産とされる米国債に買いも入り、米長期金利は1.9%台半ばと前日に比べて0.1%近く低下して終了した。

米長期金利が2%台まで上昇した理由を『1月の米消費者物価指数が7.5%と約40年ぶりという高い上昇率を記録し、米連邦準備理事会(FRB)は3月にも利上げに踏み出し、利上げ回数も年内7回との見方が出るほど引き締め観測が強まっている。』と、いかにもFRBの政策金利引き上げ観測がその理由かのように報道されているが、T―Model理論からするとこれは間違いである。何故なら、FRBの政策金利の引き上げ観測は2年債利回りの上昇につながり10年債の長期金利上昇とはならないからである。FRBの政策金利の引き上げ観測を織り込むかたちで2年債利回りは22年2月14日1.55%まで急上昇しており、その結果、「逆イールド」が近づいているのである。

市場では、『逆イールド』は景気後退の前兆と信じられているようだが、T-Model理論では「逆イールド」は金融緩和のピークの状態と真逆の考え方であり、これでは消費者物価を抑制することはできないだろう。

従って、FRBが消費者物価抑制のために行わなければならない金融政策は、政策金利を引き上げることではなく、緩和マネーの縮小を先行することなのである。サマーズ元米財務長官は『FRBは「臨時会合」を即時開催し、インフレ抑制への決意を強調するべきだ』と主張しているが、仮に、FRBが「臨時会合」を開催してそれを実行すれば「逆イールド」の実現を早めるだけでより消費者物価を押し上げるのではないだろうか。20年3月のコロナショックの時にも、FRBが「臨時会合」で2回の緊急利下げを実施して株価をより下落させる政策ミスを行ったが、今回も同様に政策ミスを行う可能性が高い。景気後退の前兆と信じられている「逆イールド」に対する勘違いはFRBだけでなく、多くの市場関係者も同じであり、その勘違いがT-Modelオリジナル指標の「消費者物価-10年債利回り」の縮小を妨げ、近い将来の危機をもたらす巨大マグマを大きくしているのである。

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