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「22年の外貨準備高は円買い為替介入で過去最大12・7%減」の嘘
「22年の外貨準備高は円買い為替介入で過去最大12・7%減」の嘘
23/1/11読売新聞オンラインは『昨年末の外貨準備高、過去最大12・7%減…円買い為替介入や米国債の評価減で』を報じている。
『財務省が11日発表した2022年末の外貨準備高は1兆2275億ドル(約162兆円)と、21年末に比べて12.7%減少した。減少幅は比較可能な01年以降で最大だった。政府・日本銀行が24年ぶりに実施した円買い・ドル売りの為替介入や、保有する米国債などの時価評価額の下落が要因。内訳を見ると、米国債などの「証券」が前年末比1771億ドル減の9667億ドルと大幅に減った。外国の中央銀行などへの「預金」は21億ドル増の1372億ドル、「金」は2億ドル減の492億ドルと、変動はわずかだった。
証券の大幅減の主因は為替介入だ。急激な円安の進行を食い止めるため、政府・日銀は22年9~10月に計9兆1881億円(現在のレートで約696億ドル)の円買い・ドル売り介入を行った。保有する米国債を売り、円買いの原資にしたとみられる。急速なインフレ(物価上昇)の抑制に向けて米欧の中央銀行が利上げを進めたため、日本政府が保有する米国債などの時価評価額が下落したことも響いた。財務省によると、21年末に1.5%台だった米国の10年債の利回りは22年末に3.8%台まで上がった。
21年末の外貨準備高は、過去に実施した円売り介入で積み上がった外貨や、債券の利息収入などの運用益が膨らみ、1兆4057億ドルと暦年で過去最大となっていた。』
2022/11/14『10月外貨準備が前年比-14.9%と過去最大の減少、減少は今年3月以降、8か月連続』のT-Modelコラムにおいて、
『この2つのT-Modelコラムで伝えたいことは、現在の過去最大の外貨準備の減少は「政府・日銀が実施する円買い・ドル売りの単独為替介入」によるものではなく、「ドル供給」が目的であり、「米国」側の要請の可能性が高いということである。日本の外貨準備の減少率と米長期金利の強い連動性はそれを裏付けるものであり、「政府・日銀が実施する円買い・ドル売りの単独為替介入」を実施すればするほど、米長期金利を上昇させて、更なる円安を招くといった矛盾を起こしていることに早く気付くべきだろう。過去も、現在も、日本政府が単独で「米国債を売却」することなどできるはずもないからである。
このようなT-Model理論からすると、11月に入ってからのドル円の一気の140円大台割れは今年のマネーの流れが大きく変化する兆しとして注意しなければならない。仮想通貨取引所FTX破綻も影響しているかもしれないが、11月の日本の外貨準備高にどのような変化が起きているのかが、今から楽しみである。』と指摘した。
外貨準備前年比の推移は、22年7月-4.6%→8月-9.3%→9月-12.2%→10月-14.9%→11月-12.8%→12月-12.7%と、9月以降、2ケタ減となっている。T-Model理論では、この前年比が重要であり、マイナス幅が最大となったのは22年10月である。ドル円が最安値を記録したのは22年10月21日151円で、23年1月16日現在127円まで円高となっている。また米10年債利回りもピークとなったのは22年10月16日4.338%であり、1月16日現在3.4%台まで下落している。どちらも昨年10月が変化点となったことは明らかであり、『現在の過去最大の外貨準備の減少は「政府・日銀が実施する円買い・ドル売りの単独為替介入」によるものではなく、「ドル供給」が目的であり、「米国」側の要請の可能性が高いということである。日本の外貨準備の減少率と米長期金利の強い連動性はそれを裏付けるものであり、「政府・日銀が実施する円買い・ドル売りの単独為替介入」を実施すればするほど、米長期金利を上昇させて、更なる円安を招くといった矛盾を起こしていることに早く気付くべきだろう。』のT-Model理論を証明したかたちである。従って、外貨準備高が今後のドル円相場や米長期金利を占う上で重要な指標の一つであり、再度、この外貨準備が急減するときには円安と米金利上昇が再現されることを示唆する。それまでは一旦、円安と米金利上昇は休憩するだろう。