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『「トリプル高」に潜む米経済のリスク』
『「トリプル高」に潜む米経済のリスク』
2023年10月21日日経新聞夕刊に『「トリプル高」に潜む米経済のリスク』が掲載されている。
『20日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続落し、前日比286ドル安の3万3127ドルで終えた。長期金利が高止まりする中、中東情勢を巡る緊張が高まり、株売りが優勢となった。主力企業による2023年7〜9月期決算の発表が本格的に始まったが、市場の関心は眼前にあるリスクとどう向き合うかに集まっている。「我々は歴史の転換点に直面している」。バイデン米大統領は19日夜、ホワイトハウスの大統領執務室からの演説の冒頭でこう語った。ウクライナやイスラエルなどへの支援を盛り込んだ1000億ドル強の予算を連邦議会に求めた。(途中略)
今週は原油と金の値上がりと同時に、米長期金利の上昇(長期債価格の下落)が進んだ。19日夕には16年振りに5%台に乗せた。20日はおおむね4.9%台で推移した。金利の上昇局面では、配当も利息もない金は売られやすい。だが、足元では原油と金、米長期金利がそろって上昇する「トリプル高」となっている。この組み合わせを聞いて、ちょうど50年前に起きたことを思い出す市場関係者もいることだろう。1973年10月、第4次中東戦争が起き、石油危機へとつながった。この後、米経済は景気後退に陥ったが、しばらくは長期金利の上昇が続いた。産油国が価格を引き上げた原油だけでなく、金も値上がりした。
ブレトンウッズ体制が崩壊した直後の70年代前半と現在の金融市場を比べることにあまり意味はないかもしれない。だが、消費者物価の上昇率が40年振りの高水準となり、市場が混乱したのは去年のこと。落ち着きつつあるとはいえ、FRBのパウエル議長が「まだかなり高い」というようにインフレとの闘いはまだ終わっていない。(途中略)』
イスラエルとイスラム組織「ハマス」の紛争が始まったのは23年10月7日で、冒頭の記事にある「第4次中東戦争」が始まった1973年10月6日からピタリと「50年目」に起きていることは不思議である。「第5次中東戦争」を想起させるためにこの日を狙って紛争を始めたのか、それとも偶然なのか。いずれにしても、現在が「第4次中東戦争」に近い環境であることがこの「トリプル高」が示唆している。実は、「第4次中東戦争」が「ブレトンウッズ体制」が崩壊した70年代前半に起きたのに対し、今回の紛争もこれまでの「ペトロダラー」体制が崩れ、「ブレトンウッズ3?」への移行期するという、「ドル基軸通貨」が揺らいでいる点でも共通しているのである。つまり、「ドル基軸通貨」と「中東戦争」には何らかの関係があり、特に、今回の紛争が50年前の「第4次中東戦争」よりもより深刻なのが、ドルが「基軸通貨」の賞味期限ともいえる「100年」を超えていることである。仮に、「ドル基軸通貨」を維持する目的で中東での紛争を起こしているのであれば、さらに大きな紛争がどこかで始まる可能性が高いからである。
10月17日、松野官房長官は熊本県を訪れて蒲島知事と会談し、いわゆる「台湾有事」を念頭に、九州各県は沖縄の離島から避難する住民の受け入れ先になることが想定されるとして、必要な態勢の整備に協力を求めている。 「台湾有事」が起こらないことを祈るばかりだが、政府のこの動きは覚悟しておく段階を迎えているのかもしれない。ただ、何故、官房長官が訪れたのは熊本県なのだろうか。