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過去最高値に迫る2000ドル大台に上昇した金価格は何を示唆するのか?


過去最高値に迫る2000ドル大台に上昇した金価格は何を示唆するのか?

2023年10月27日日経新聞に『金に逃避、2000ドル再び突破~中東緊迫・米財政不安で』が報道されている。

『金(ゴールド)の国際価格が再び上昇基調だ。国際価格は日本時間26日夕に心理的節目となる1トロイオンス2000ドルを再び突破した。イスラム組織ハマスのイスラエルとの衝突で中東情勢への懸念が広がるほか、米財政不安の高まりも背景にある。投資家は「安全資産」である金に資金を逃避させる姿勢を強めている。

国際指標となるニューヨーク市場の金先物(中心限月)は日本時間26日夕に、一時1トロイオンス2003ドルまで上昇し、再び2000ドルの大台を超えた。20日にも2ヵ月半ぶりに2000ドル台まで上昇する場面があり、20年8月の過去最高値(2089.2ドル)に近づいている。一方、金価格と逆相関となる傾向が強い米長期金利の指標である10年物国債利回りは25日、4.96%と5%に接近し、金価格と長期金利はそろって上昇した。(途中略)

金市場が上昇に転じた背景には、マネー流入を促す2つのリスクがある。その一つが中東情勢の緊迫化だ。パレスチナ自治区ガサを支配するイスラム組織ハマスは7日、イスラエルを急襲した。(途中略)22年のロシアのウクライナ侵攻直後の3月には一時、2078ドルまで上昇し、20年8月の過去最高値に迫る場面があった。

もう一つが米財政拡大に対する不安だ。米財務省によると米連邦債務は33兆ドルを超えて過去最大となった。債務上限の引き上げ合意から国債発行が加速しており、債券市場の需給が悪化している。債務が膨らむ中、つなぎ予算を巡る議会運営の混乱などが発生した。米10年債利回りは一時、5%台まで上昇し16年振りの高水準となる場面もあり、「悪い金利高」の側面が出てきた。(途中略)』

冒頭の記事に『金価格と逆相関となる傾向が強い米長期金利の指標である10年物国債利回りは25日、4.96%と5%に接近し、金価格と長期金利はそろって上昇した。』との指摘があるが、22年以降、両指標の逆相関の関係は崩れている。仮に、両指標の逆相関が崩れていなければ、米長期金利が2006年7月3日週5.2%を付けた金価格710ドルの水準まで下落してもおかしくないだろう。

この両指標の逆相関の関係が崩れた理由を突き止めることは重要だが、現在のところ、誰もその理由に辿り着くのは難しい。ただ、一つ言えることは、本来700ドルぐらいまで下落するはずの金価格が2000ドル台の過去最高値付近まで上昇しているということは、そこまで金価格を押し上げる大量のマネーが金市場に流入しているということ。22年2月24日のロシアのウクライナ侵攻後、対ロ外貨準備統凍結を契機にBRICSが台頭、今年8月22日に開催された「BRICS+首脳会議」ではサウジアラビアなど6か国の2024年1月1日の正式加盟が発表され、これまでの「ペトロダラー体制」が揺らぎ始めたことと関係しているのかもしれない。また、不動産不況が襲っている中国から資金流出が加速しており、9月539億ドル(約8兆円)の流出超過と、「人民元ショック」などで資金が流出していた2016年1月(558億ドル)以来の規模を記録している。その資金の一部が金市場に流れ込んでいる可能性が高い。その結果、ドル元は1ドル=7.3ドル元を下回り、年初に比べ6%安となっている。

今回の金価格2000ドル乗せで、もう一つ注目すべきポイントは、T-Model独自指標『Gold/Silverレシオ』が20年3月118.5をピークとする「三角持ち合い」の上限ラインを突破する兆しが表れたことである。『Gold/Silverレシオ』は80を超えると「危機」を示すが、直近10月30日週86.7と「危機」が起きていることを示唆している。また、『Gold/Silverレシオ』は長期的にNYダウと逆相関の関係があり、つまり、このまま同指標が上昇すると、NYダウが下落することを意味する。『Gold/Silverレシオ』が22年8月29日週96.3まで上昇したときはNYダウは22年9月末28715ドルまで下落、さらに、シリコンバレーバンクなど米銀行が次々と破綻した23年3月6日週90.9まで上昇したとき、NYダウは3月末31429ドルまで下落した。米長期金利の上昇が株式市場を揺らし始めているが、金価格の上昇も「危機」を示す重要指標として注意すべき段階を迎えている。

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