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著名投資家ドラッケンミラー氏は米2年債に「大規模な」強気ポジション


著名投資家ドラッケンミラー氏は米2年債に「大規模な」強気ポジション

2023年11月1日ブルームバーグニュースに『ドラッケンミラー氏、米2年債に「大規模な」強気ポジション構築』が報じられている。

『著名投資家で資産家のドラッケンミラー氏は、米経済への懸念を強めており、米2年債で「大規模な」強気ポジションを取ったことを明らかにした。デュケーヌ・ファミリーオフィスの創設者であるドラッケンミラー氏はヘッジファンドマネジャー、ポール・チューダー・ジョーンズ氏との先週のインタビューで、ここ数週間に「本当に神経質になり始めた」ため、2年債での「大規模なレバレッジド・ポジションを構築した」と話した。(途中略)

ジョージ・ソロス氏の下で10年余りにわたり資金を運用してきたドラッケンミラー氏は、以前から米経済のハードランディングを予測しており、企業利益が20-30%減少し、商業用不動産価値は大幅下落するとの見方を示している。ドラッケンミラー氏はチューダー・ジョーンズ氏とのインタビューで、新型コロナウイルス禍での景気刺激策の効果が「急速に薄れつつある」ため、「状況が軟化しつつある」証拠を目にしていると指摘。歴史的に見て、金利と原油、ドルが同時に上昇することは経済にとってマイナスだと付け加えた。同氏が債券でロングとショートの両ポジションを取っているのは、イールドカーブ(利回り曲線)のスティープ化を予想していることを意味する。(途中略)

同氏は「パウエルFRB議長は口ではうまいことを言うが、失業率が4.5%からさらに上昇するとしたら、どんな口ぶりになるか見てみよう」と述べた。9月の米失業率は3.8%だった。また、自身の景気見通し通りとなれば、2年債利回りは3%まで低下し、10年債と30年債の利回りは現在の5%前後にとどまる可能性があると予想。「イールドカーブは正常化すると確信している」と語った。』

ドラッケンミラー氏に何故、注目するのかというと、ジョージ・ソロス氏の下で10年余り資金を運用したジョージ・ソロス氏の「右腕」と云われる経歴もあるが、その後、30年間、自身の運用会社で年率+30%の高パフォーマンスを上げ、一度も負けたことのないという輝かしい実績があるからである。投資の神様と云われるウォーレンバフェット氏は有名で、多くの投資家はご存知だろうが、投信とヘッジファンドの違いはあるにしても、パフォーマンスではウォーレンバフェットを上回ると云われている。

また、23年10月10日、『今回の「逆イールド」解消は特殊な「ベアスティープニング」』のT-Modelコラムにおいて、

『この記事で重要なポイントは「(イールド)カーブの逆転解消は短期債の利回り低下によって起こることが多い。専門用語では「ブルスティープニング」と呼ばれる。今回は違う。長期債の価格下落(利回り上昇)による「ベアスティープニング」が原因だ。さらに、逆イールドの状態から始まる特殊なベアスティープニングだ。」』と指摘し、1980年~2020年の「40年の金利下落局面」から2021年以降、「金利上昇局面」での「逆イールド解消」のかたちに構造変化したことを示唆していると指摘したが、ドラッケンミラー氏もT-Modelと同様の見方をしているようである。

先週、金利が急低下したことから「米国債10年-2年のイールド」は11月3日週-0.27%と、10月20日週-0.16%からは「逆イールド解消」が一旦足踏みしたかたちだが、米シリコンバレーバンク、米シグニチャーバンクなど連鎖倒産する「金融危機」が発生、「米国債10年-2年のイールド」は3月20日週-0.39%までマイナス幅を一気に縮小したが、その水準よりも低くということは、T-Model理論では3月よりも「金融危機」が強まっていることを示している。そんな中、先週末11月3日に、今年6番目となる米地方銀行「シチズンズ・バンク」をFRBがが閉鎖し、FDIC(金融規制当局)の管理下に置いた。同行のすべての預金口座は「アイオワ信託貯蓄銀行(Iowa Trust & Savings Bank)」に移管され、旧シチズンズ・バンクの店舗は、「アイオワ信託貯蓄銀行」の支店として通常営業時間内に再開する予定。銀行破綻など無かったかのような株式市場の楽観振りだが、それはこうした「危機」を覆い隠そうとしている可能性もある。この1行の破綻で終われば誤魔化せるかもしれないが、別の銀行に連鎖するようだと「金融危機」に発展する可能性は否定できないだろう。

さらに、2023年11月4日日経電子版に『バフェット氏投資会社、7〜9月に株式7800億円売り越し~手元資金は過去最高水準に』を報じている。

『米著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いる米投資会社バークシャー・ハザウェイは4日、2023年7〜9月期の決算を発表した。株式売買は52億5300万ドル(約7800億円)の売り越しだった。石油メジャー株を一部売却するなど銘柄入れ替えがあった。手元資金は過去最高を記録した。キャッシュフロー計算書によると株式取得額は17億ドルで、株式売却額は69億5300万ドルだった。石油大手シェブロンなどを売却したとみられる。シェブロン株の9月末時点の保有時価は6月末時点に比べて4%減少。同期間に株価は7%上昇していた。7〜9月期には11億2800万ドルの自社株買いを実施したものの、大きな企業買収はなく、投資待機資金の積み上がりが鮮明だ。現金同等物に米短期債の保有額を合わせた、広義の手元資金は9月末時点で1572億4100万ドル。6月末時点に比べて7%増え、四半期ベースで初めて1500億ドルを突破した。(途中略)』

2023/08/7『バフェット氏投資会社、合計346億ドル(約4.8兆円)の3四半期連続の大量の売り越し』のT-Modelコラムにおいて、

『株式売買は22年10~12月-163億ドル→23年1~3月-104億ドル→4~6月-79.81億ドルと、3四半期合計で346億ドル(約4.8兆円)の大量の売り越し。その結果、手元資金は6月末時点で1473億ドルに積み上がり、過去最高だった21年9月末1492億ドルに迫っている。 実は、バークシャー・ハサウェイの手元資金は「バフェット指数(米国株式時価総額/米国名目GDP)」と逆相関の関係にあり、過去最高だった21年9月末1492億ドルの時期の「バフェット指数(米国株式時価総額/米国名目GDP)」は21年12月末2.11倍と過去最高を記録していた。今回も「バフェット指数(米国株式時価総額/米国名目GDP)」1.72倍に再度、上昇する過程で23年6月末1473億ドルと過去最高に迫る水準まで積みあがったかたちである。

では、「バフェット指数(米国株式時価総額/米国名目GDP)」がどこまで下がると買い越しに転じるのか。直近、バークシャー・ハサウェイは、22年1~3月+41億ドル→4~6月+38億ドル→7~9月+90億ドルと、3四半期連続で買い越しているが、この買い越しの時期は「バフェット指数(米国株式時価総額/米国名目GDP)」は22年9月1.49倍まで低下していた。現在の1.79倍から-16%低い水準となり、少なくとも2割弱下落しないと買い越しに転じないということか。ウォーレン・バフェットの投資信条である「他人が強欲になっているときに恐れて、他人が恐れているときに強欲になる」をバフェットのポートフォリオは示唆していることを忘れないことである。』と指摘した。

今回の株式売買23年7~9月-52.53億ドルの売り越しを加えると、4四半期連続の売り越し額は399億ドル(約5.9兆円)に達し、その結果、広義の手元資金は9月末時点で1572億4100万ドル(23.5兆円)と、四半期ベースで初めて1500億ドル突破と、米国株式市場への慎重姿勢を継続している。23年9月末「バフェット指数(米国株式時価総額/米国名目GDP)」が1.70倍と依然、割高な水準にあるからなのだろうが、先日ご報告した10月28日日経新聞『JPモルガンCEO、自社株を一部売却へ 在任中で初』など、米国金融界の要人たちは近未来に起こるであろう何かを警戒しているかのようである。楽観的な一般投資家と慎重な著名投資家の構図だが、この結末はどんなかたちで訪れるのだろうか。

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