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『バフェット氏のバークシャーなど、利下げ観測で強気に』は本当か?
『バフェット氏のバークシャーなど、利下げ観測で強気に』は本当か?
2022年8月19日日経新聞に『米著名投資家、金融・石油株買い~バフェット氏のバークシャーなど、利下げ観測で強気に』が報道されている。
『米国の機関投資家が金融や石油といった景気敏感株の買いを加速している。背景には来年にも米連邦準備理事会(FRB)が利下げに転じるとの観測から景気悪化懸念が後退したことがある。年初から売られていたIT(情報技術)株に押し目買いを入れる動きも目立つ。ただ、一部の投資家は相場の波乱を予想し株式をほぼ全て売却するなど守りの姿勢を固めている。
(途中略)
ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハザウェイは6月末時点で3月末に比べ、石油・ガス大手のオキシデンタル・ペトロリアム株を16%、シェブロン株を1%買い増しした。情報サイトのホエール・ウィズダムによると、バークシャーのポートフォリオに占めるエネルギー株の割合は、比較できる2002年以降で初めて1割を超えた。バークシャーはオキシデンタル・ペトロリアム株を7月以降も買い進め、発行済み株式数の約2割を握ることを別の報告書で明らかにしている。
バークシャーは金融株にも積極投資している。自動車や住宅向けローンを手がけるアライ・ファイナンシャル株の保有を3倍超にし、保険大手マーケル株も11%増やした。資源株や金融株への投資は、バフェット氏の世界経済への強気の見方を映している可能性がある。インフレ圧力は足元でやや弱まっており、FRBが金融引き締めをするなかでも経済を冷やしすぎないソフトランディング(軟着陸)が可能だとの見方が出ている。
(途中略)
ただ、急ピッチな上昇に危うさを感じる投資家も少なくない。マイケル・バーリ氏が率いるサイオン・アセット・マネジメントは3月末時点で保有していたメタやアルファベットなど株式11銘柄を6月末までに全て売却した。同氏は08年の金融危機時に住宅バブル崩壊を予想し、空売りで大もうけしたことで知られる。新たに買い入れ、6月末時点で唯一保有するのが、私立刑務所などを運営する不動産投資信託(REIT)のジオ・グループだ。バーリ氏は8月半ば、「エンロン前、9.11前、ワールドコム前のばかばかしい感覚が拭えない」とツイッターに投稿。いまの市場の雰囲気を、エンロンやワールドコムの粉飾決算による破綻前夜と重ね合わせ、リスクを見て見ぬふりをする市場を戒めた。
FRB高官のなかでハト派と目されていたミネアポリス連銀のカシュカリ総裁が「インフレ率が目標を大きく上回っている可能性が高い来年初めに、利下げを始めるとの見方は非現実的だ」と語り、一転してタカ派に転じた。一部でささやかれる楽観論は「行き過ぎ」で、見方が是正された段階で、波乱の相場展開になるリスクはくすぶっている。』
2022/05/09『バフェット流「インフレ時代の投資哲学」』のT-Modelコラムにおいて、
『ウォーレン・バフェット氏は何故、今、積極的に投資できるのか?それは20年、21年と株式を売り越し、キャッシュを1500億ドル(19.5兆円)まで積み上げていたからである。バフェット氏は財務体質が堅固(けんご)ながら株価が割安な企業に資金を投じるバリュー投資で知られるが、その投資哲学を徹底していることを示すのがこの「キャッシュ」。リーマンショック後の緩和マネーで、成長株優位の時代が続いたことから、待機資金の「キャッシュ」は2010年約200億ドルから21年約1500億ドルへ7.5倍に拡大した。つまり、バフェット氏が22年1~3月に400億ドル(約5兆円)投資したのは株価が底打ちすると判断したからではなく、「成長株の時代」から「割安株の時代」に移行したからなのである。直近の株価急落で含み損を抱えている投資家が今回の「バフェット氏積極投資」のニュースを朗報と感じたなら極めて危険である。そのような投資家が保有するのは「成長株」が多く、全体の株式よりも下落する可能性が高いからである。』と指摘した。冒頭の記事で『バフェット氏のバークシャーなど利下げ観測で強気に』とあるように相変わらず、的外れの解説をしている。バフェット氏は『株価が底打ちすると判断したからではなく、「成長株の時代」から「割安株の時代」に移行したから』投資を増やしているだけなのである。
また、冒頭の記事で弱気の投資家として紹介しているマイケル・バーリ氏については、20日に開催した『生活防衛の教室リアルセミナー』でも詳しく説明した。
8月12日、「インフレに直面する中で消費者は節約ではなく爆買いを選んでいる」とし、「新型コロナウイルス禍でのヘリコプターマネー」が人々に一段の消費を促し、貯蓄が減っていると指摘。そして「冬が来る」の言葉でツイートを締めくくった。そして、『S&P500では、2009年の底は2002年の底の13%下で、2002年の底は1998年(LTCM危機)の底の17%下で、1975年の底は1970年の底の15%下。そのパターンが再現されると2020年(20年3月安値1821)を底と考えれば1800以下まで下がる可能性があり、天井から指数が55%程度下落することになる。』と多分、市場関係者のなかで最も弱気な予測をしている。