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「1都3県初の人口減」は何故、起きたのか?


「1都3県初の人口減」は何故、起きたのか?

2022年8月10日日経新聞に『1都3県初の人口減~東京へ流入鈍る コロナで意識変化』が報道されている。

『総務省が9日公表した1月1日時点の住民基本台帳に基づく人口動態調査で1都3県(東京、埼玉、千葉、神奈川)の日本人人口は前年比0.1%減の3561万115人となり、1975年の調査開始以来初めて前年を下回った。少子高齢化で死亡が出生を上回る自然減が大きくなり、人口流入で補えなかった。地方の人口減はさらに大きい。人口に合わせた都市モデルの見直しは避けられない。

日本全体の日本人人口は21年比0.5%減の1億2322万3561人と、13年連続で減少した。減少幅は過去最大の61万9140人だった。都道府県別に見ると、出生数が多く自然増を保った沖縄県を除く46都道府県で人口が減った。日本人の生産年齢人口(15~64歳)は7269万2237人で、全体に占める割合は58.99%と過去最低になった。

首都圏に住む日本人が減少に転じたのは、最も多い東京都の人口が前年比0.15%減の1327万7052人と、26年ぶりに前年を下回った要因が大きい。東京都は死亡から出生を引いた自然減が3万2878人と、前年より1万1870人多かった。転入者から転出者をひいた「社会増加数」は1万2841人にとどまり、自然減を補いきれなかった。(後省略)』

この記事は色々な意味で興味深い。先ず、『日本全体の日本人人口は21年比0.5%減の1億2322万3561人と、13年連続で減少した。減少幅は過去最大の61万9140人』と、人口減が過去最大となった点である。その点については、2021/12/20『死亡者数が震災の11年上回る過去最高のペース』のT-modelコラムにおいて、

『この記事での重要な指摘は「東日本大震災で戦後最多の死亡増加数だった2011年を上回る可能性がある」ということ。つまり、2021年は「大災害レベル」で何かが起きているということを示唆しており、「新型コロナ渦だから死亡者が増えている」と思った方も多いかもしれない。 この記事によると、7月までの死亡原因は、コロナ26%、老衰24%、脳卒中など循環器系疾患20%(うち脳卒中2%)、心不全など心疾患16%。2020年の死因は腫瘍27.6%、心疾患15%、老衰9.6%、脳血管疾患7.5%、肺炎5.7%で、2020年と比べると、腫瘍が減る一方、老衰と脳卒中など循環器系疾患などが増えているように見える。また、昨年急増した自殺者は今年夏以降、急減している。ただ、死因だけを比べても、何故、同じようにコロナ渦だった2020年が死亡数が減少したのに対して、2021年は2011年の東日本大震災を上回って戦後最多の死亡数増となっているか?はわからない。少なくとも記事で指摘するような「緊急事態宣言の長期化で、運動不足などで健康状態が悪化したほか、受診控え」が主な原因ではないことだけは間違いないだろう。改めて、昨年と今年で何が変わって、何が同じだったのか?を自分自身で考えてみることが必要だろう。今回のコロナを通して、自分の身は自分自身で守るしかない時代を迎えていることを改めて気付かされる事例ではないだろうか。 』と指摘した。

また冒頭の記事の人口動態は22年1月1日時点だが、2022/06/06『『死亡数1~3月急増~国内3.8万人増、「感染死」の4倍』は何故?』のT-Modelコラムにおいて、

『日経新聞が死亡者急増を報道したことは評価できるが、すべてを報道すると問題が多いことから、これがギリギリの内容なのだろう。カムフラージュするためなのか分からないが、『前年比で2月は1万9490人(16.4%)、3月は1万5992人(12.9%)増えた。新型コロナの死亡報告数はそれぞれ4841人、4464人で、数倍の開きがある。』と指摘しているが、死亡者は前年差であるのに対し、コロナ死亡数は実数であることから正確には新型コロナ死亡者の前年差と比較しなければならない。新型コロナ死亡者の前年差は2月2691人、3月3180人で、全体の死亡者数の2月13.8%、3月19.8%しか占めていないことになる。

また、死因は5ヶ月後とのことで詳しい原因は不明とした上で、6月3日公表された『2021年1~12月の死因別死亡数』では、「老衰」で約2万人(14.8%)増、「循環器系の疾患」が約1万2千人(3.5%)増と指摘する。この死亡数から推計すると、「老衰」比率は2020年9.6%→2021年10.5%へ、「循環器系の疾患」比率は同14.8%→15%とともに上昇しているが、老衰がやや急増しているようにも感じるが、高齢化社会だからと云われると反論はしにくい。 また記事の最後に、『コロナ禍でも死亡数全体を抑えてきた日本の状況が22年1~3月には大きく変わった可能性がある。コロナ以外の要因も含め、詳しく死因を検証する必要がある。』と指摘している。

日経新聞の記者が書けるギリギリの主張なのだろうが、残念ながら死亡数の不自然さは読者に伝わらないだろう。 月別の前年差の推移を見ると、昨年5月に東日本大震災の12年2月の過去最高の死亡者に迫り、その後一旦、落ち着いたものの、今年2月、3月には過去最高の死亡数に急増していることが分かる。この二つの時期に何があったのか?ご自分でちょっと調べるだけで誰でも原因がつかめるので、是非、試してほしい。』と、今年は昨年以上に死亡者が急増していることを指摘した。

来年の今頃、23年1月1日時点の人口動態では今年以上の死亡者数で、今年表れた『1都3県初の人口減』の傾向がより鮮明なかたちで2年連続で続いている可能性が高い。

冒頭の記事でもう一つ注目すべきポイントは、『東京都の人口が前年比0.15%減の1327万7052人と、26年ぶりに前年を下回った』ということである。26年前は1996年1月1日時点であることから実際は95年で、そのベースでは、87年~90年の4年連続、92年~95年の4年連続で前年を下回ったことになる。87年にブラックマンデーが起き、91年からは内需バブル崩壊で深刻な景気後退が起きたが、『東京都の人口減』はその兆候だったのだろう。その前は76年~79年の4年連続でオイルショックの時期と重なる。いずれも『社会人口減』で起きた『東京都の人口減』で、今回の『社会人口増・自然減』による『東京都の人口減』とは異なるが、やはり「景気後退」の入り口となるシグナルなのか。そして、この26年振りの『東京都の人口減』によって『1都3県初の人口減』となったかたちだが、それは大きな不況への入り口なのか。それとも何か異なることを示唆するものか。「戦後初」とはそれだけ大きな変化を意味するため、来年もう一度、検証すべきなのだろう。

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