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『米クレカ延滞率、12年ぶり高水準』
『米クレカ延滞率、12年ぶり高水準』
2024年2月7日日経新聞夕刊に『米クレカ延滞率、12年ぶり高水準』が報じられている。
『ニューヨーク連銀が6日発表した四半期報告書によると、2023年10~12月期にクレジットカードの支払いができずに延滞した割合は8.52%と、11年4~6月期以来、12年ぶりの高水準となった。若年層中心に、90日以上の深刻な延滞に陥る割合も急増した。
23年10~12月期の家計の債務残高は全体で17兆5030億ドル(約2600兆円)と前年同期から3.6%増え、過去最高水準となった。最も急伸したのはクレジットカードで、1兆1290億ドルと前年比14.5%増加した。クレジットカードは債務残高の急増に伴い、延滞率も増えた。(途中略)
自動車ローンでも同様の傾向が見られた。ローン残高は1兆6070億ドルと前年から3.5%増加し、若年層を中心延滞率が上昇した。』
2023/08/14『『米クレジットカード残高、初の1兆ドル突破』は本当に問題なし?』のT-Modelコラムにおいて、
『特に、家計債務全体でこれまでと異なるのはカードローンの1.6倍規模の自動車ローンで、自動車ローン残高がリーマンショック前のピーク06年7~9月0.82兆ドルだったのに対し、23年4~6月1.58兆ドルと約2倍に膨み、クレジットカードよりも返済の優先順位が高いにもかかわらず貸倒償却率は23年4~6月2.41%とコロナショック前のピークである2020年1~3月2.37%を上回り、前年比ベースでも約40%とリーマンショック時のペースで悪化している点である。ここにきて米銀行が貸出基準を引き上げている点も貸倒を加速させる要因だが、米政府がコロナ対策で打ち出した学生ローンの支払い猶予措置が8月末で打ち切ることも状況をさらに悪化させる可能性が高い。忖度したお抱えエコノミストの意見を真に受けていると未来を間違えるのは、我が国と変わらないようである。』と指摘した。
冒頭の記事にあるように、自動車ローン残高は23年10~12月1.607兆ドル、クレカ残高同1.12兆ドルだが、リーマンショック時のピーク比では、クレカが1.3倍に対し、自動車ローンは1.95倍に膨らみ、貸倒償却率(延滞率)もクレカがピーク09年10~12月10.96%に対し、23年10~12月6.36%と高水準ながらもまだ差は大きいが、自動車ローンは09年4~6月3.48%に対し、23年10~12月2.66%と接近している。
家計債務のなかでリーマンショック時とは異なる状況となっているのはこれで理解できるが、それは個人の利払い金額の急増が原因ではないだろうか。個人の利払いは、金利の上昇もあり、24年10~12月5.63億ドル、前年比+42%に急増、リーマンショック時のピーク07年10~12月2.96億ドル、前年比+5.6%と比べるといかに現在の個人ローンの利払い負担が大きいが分かる。実は、この急増する利払いと連動しているのが株価であり、ある意味、現在の急増する利払いを何とか支えているのも異常な株価が支えていることになる。つまり、株価が下落すると過去最高の借金を抱える個人の破綻が急増することを意味する。以前にもお伝えしたが、『クレジットカードローンと自動車ローンの両ローンの貸倒償却率(延滞率)が下げ止まるまで株価が下げ止まらない』傾向があるが、現在は悪化する延滞率と株価は大きく乖離している。