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『米債が映す株安シグナル』はホント?


『米債が映す株安シグナル』はホント?

2021年12月4日日経夕刊に『米債が映す株安シグナル』が掲載されている。

『3日発表の11月の雇用統計は、失業率が4.2%と前月(4.6%)から大幅に低下した。半面、非農業部門の雇用者数は前月比21万人増と市場予想(57万3000人増)に届かなかった。強弱が入り交じる内容となったが、市場では「新型コロナウイルスの変異型『オミクロン型』に関する悪いニュースが出てこない限り、米連邦準備理事会(FRB)は12月にテーパリング(量的金融緩和の縮小)加速を決める」(パンセオン・マクロエコノミクスのイアン・シェパードソン氏)との受け止めが広がった。

雇用統計を受け、米債券市場では残存期間ごとの利回りをつないだイールドカーブ(利回り曲線)の平たん化が加速した。金融政策の影響を受けやすい2年債と、中長期的な景気動向を映す10年債の利回り差は3日に0.75%とおよそ1年ぶりの小ささとなった。テーパリングの加速や早期の利上げを織り込む形で2年債の利回りが高止まりした一方、金融政策の正常化による景気の悪化を警戒して10年債の利回りは大幅に低下した。イールドカーブの平たん化が進み、3日のダウ工業株30種平均は前日比59ドル(0.2%)下落した。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は1.9%下げた。米債が映す景気懸念が株式相場の重荷となっている。

債券市場が大きく動いたのは、11月30日にパウエルFRB議長がテーパリングの加速を12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で議論すると表明してからだ。高インフレを「一時的」とする従来の主張を撤回し、金融引き締めに前向きな「タカ派」の姿勢をみせた。市場の驚きを誘い、イールドカーブの平たん化が進むきっかけになった。雇用統計はこうした流れをより強めた。バークレイズは「FRBは経済がほぼ完全雇用に達したと判断するだろう」と分析し、利上げの予想時期を2022年3月に前倒しした。22年は3回の利上げを見込む。同社はパウエル氏の発言を受け、利上げの時期を23年から22年5月に修正したばかりだった。金融政策を巡る市場の見方が大きく変わった一週間だった。イールドカーブは「平たん化から抜け出すのが難しくなっている」(BMOキャピタル・マーケッツのイアン・リンジェン氏)との声は少なくない。債券市場が鳴らす警鐘を軽視すると痛い目を見るかもしれない。』

冒頭の記事では、「イールドカーブの平たん化」が現在の株価急落のシグナルかのように理解してしまう内容である。だが、2021/09/27『「テーパリングは来年半ばに終了」の「タカ派」見通し』のT-Modelコラムにおいて、

『この記事では「テーパリングは来年半ばに終える」との見通しを示したことが金融引き締めに前向きな「タカ派」と受け止められ、10年債利回りから2年債利回りを引いた利回り曲線が広がり、「利回り曲線の傾きが強まるのは景気回復期の現象」と指摘する。だが、T-Model理論では、「利回り曲線の傾きが強まるのは金融引き締め、利回り曲線の平たん化は金融緩和」と定義しており、この記事で指摘する「景気回復期の現象」かどうかなどは関係ない。現在の10年債利回りから2年債利回りを引いた利回り曲線は、金融緩和のピークである「逆イールド」示現後、今年3月15日週1.58%まで拡大する金融引き締めの過程に入っていたことを示している。昨年の「コロナショック」もその金融引き締め過程に起きたものなのである。その後、8月16日週1.03%まで利回り曲線が一旦、縮小する金融緩和的現象が起こっていたが、今回の金融引き締めに前向きな「タカ派」のFOMCの結果を受け、再び、金融引き締めに動き出したか、どうかを見極める段階。つまり、今年3月15日週~8月16日週の一時的な金融緩和的現象が終了し、再び、利回り曲線が広がる金融引き締め過程に復帰するかを見極める段階ということだろう。

もうひとつT-Model理論で重要なことは、金融緩和のピークである「逆イールド」が終了した後は、2000年以降の過去2回の局面で、10年債利回りから2年債利回りを引いた利回り曲線は最終的に2.5%超まで拡大、そして、大きなショックに発展しているといことだろう。現在はその最終局面へ向かう途中の過程に過ぎないということを忘れてはいけない。この記事で指摘しているような「利回り曲線の傾きが強まるのは景気回復期の現象」との理解では全くの的外れの見解と言わざるを得ないだろう。従って、前回の2014年からの「テーパリング(量的緩和の縮小)」と比較して楽観視している市場関係者は多いが、10年債利回りから2年債利回りを引いた利回り曲線は当時とは全く異なる局面にあるため、楽観視していると大きな過ちを犯すことになるのではないだろうか。』と指摘した。

また、2021/10/25『米長・短利回り差縮小は「物価高による景気停滞懸念」を予見?』のT-Modelコラムにおいて、

『T-model理論では「フラットニングは金融緩和策の一つ」であり、現在は18年~19年の緩和ピークから引き締めの段階に入り、21年3月から一旦、緩和の揺り戻しが起きているに過ぎないと考えている。つまり、07年2月の緩和ピークから引き締め段階に入り、08年4月から一旦、緩和の揺り戻しが起きた時期と似ているとみている。T-model理論では、「イールドスプレッド」は過去、サイクルを描いており、現在が景気サイクルのどのタイミングに位置しているかを計る上で極めて重要であるかをこれまで何度も指摘してきた。そして、それがこれまでの経済の教科書にない、『T-modelのオリジナル理論』であることもお伝えしてきた。何故なら、記事にある「金融引き締めに転換する時期」のような曖昧な見方では危機には全く対応できない近未来が到来するためで、少しでも多くの方々にその準備をしてほしいと願っているからである。10年債利回りが3月ピークを越えると市場には新たな混乱の始まりとなるため注意が必要だが、当然、それを避けるための当局による抵抗が現在の「フラットニング」にも現れていると言えるかもしれない。けっして記事にある「長い目でみた景気停滞や利上げ余地の小ささを意識している。」訳ではないことは間違いないだろう。さて、その抵抗がどこまで通用するかが見ものである。』と指摘した。

さらに、2021/05/31『テーパリング相場の号砲~仮想通貨急落は前ぶれ』のT-modelコラムで指摘したように、『イールドの観点でいえば、13年当時は「リーマンショック」後の後遺症から抜けきれず、水準はマイナス1σだったが、現在は+1σを超えた「逆イールド」後、アベレージを割り込んだリーマンショック前の08年1月の水準にある。むしろ、冒頭の記事で指摘している「前回のバブルがおきた2017~18年」との比較をしなければ先行きの相場は何も理解できないのではないだろうか。以前からセミナーや書籍で指摘してきた「イールドを理解しないと相場は理解できない」のである。』。これまで何度もこの経済の教科書にない『T-modelのオリジナル理論』をお伝えしてきたのでご理解いただけていると思うが、今後、我々が最も気を付けるべきボイントは「イールドカーブが拡大」局面に入ったときであることだけは忘れないことである。

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