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『昨年の「成長ショック」、今年の「インフレショック」に続き、来年は「金利ショック」の一年』


『昨年の「成長ショック」、今年の「インフレショック」に続き、来年は「金利ショック」の一年』

2021年11月24日日経夕刊に『広がる利上げ早期化観測』が掲載されている。

『金融市場の関心が米連邦準備理事会(FRB)による利上げに向かっている。ホワイトハウスが22日にパウエル議長の再任を公表すると、市場では「2022年中に3回利上げ」予想が増えた。金利上昇を受け、23日の米国株式市場ではハイテク株への売りが目立った。高インフレ「一過性」論は消え、FRBは試されている――。市場関係者からはこんな声も出始めた。

パウエル議長の再任が決まると市場で利上げ早期化観測が広がった。金利先物から金融政策の先行きを予想する「Fedウオッチ」によると、FRBが22年末までに3回以上の利上げを決める確率は78%に達した。1週間前は55%程度だった。6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で1回目の利上げを決める確率も7割を超えた。FOMCは11月、量的緩和縮小(テーパリング)の開始を決め、米国債と住宅ローン担保証券(MBS)の購入額を毎月減らすと発表した。縮小の一時停止やペース変更がなければ22年6月中旬までに減額を終える計算だ。6月利上げ決定予想が正しいなら、テーパリング終了とほぼ同時に利上げに踏み切るか、減額ペースの加速が想定される。

パウエル議長はインフレは「一過性」と繰り返してきた。利上げに慎重な理由とされ、ホワイトハウスも認識を共有しているようにみえた。ところが22日の記者会見でバイデン大統領は「インフレの脅威に対処する」と発言し、パウエル氏も対応を約束した。イエレン米財務長官も同日、「インフレに留意する必要がある」と述べた。米証券ロバート・W・ベアードのマイケル・アントネッリ氏は「政策決定者の間でさえも『一過性』の言葉が消えた」と指摘する。焦点は「インフレが長引くか」ではなく「FRBがどう対応するのか」に移ったとみる。米大手運用会社のファンドマネジャーは、債券市場の利上げ織り込みについて「FRBの反応を試す動きもある」と述べた。』
このような中、2021年11月23日ブルームバーグは『来年は「金利ショック」の年、市場に弱気-BofA』を報道している。

『バンク・オブ・アメリカ(BoA)のストラテジストは、来年の市場に弱気な判断を示し、投資家に資本の保護に集中するよう促した。インフレ加速や金利上昇によって世界的に資産価格動向が一変するとの見方が背景だ。マイケル・ハートネット氏ら同行のストラテジストは顧客向けリポートで、ボラティリティー指標や原油、エネルギー、米ドル、実物資産に対するロングポジションを含む推奨するマクロトレードを挙げた。昨年の「成長ショック」、今年の「インフレショック」に続き、来年は「金利ショック」の一年になると指摘した。同ストラテジストはリポートで、「資本保全が来年のテーマに浮上するだろう」との見方を示した。』

この2つのニュースの共通点は「金利」である。冒頭の記事は、『FRBが22年末までに3回以上の利上げを決める確率は78%に達した。1週間前は55%程度だった。6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で1回目の利上げを決める確率も7割を超えた。』、また2番目の記事は、『インフレ加速や金利上昇によって世界的に資産価格動向が一変する』、『昨年の「成長ショック」、今年の「インフレショック」に続き、来年は「金利ショック」の一年になる』と指摘しているように、来年は「金利」の動向で株価を下落させる可能性がある。

先週、世界的な株価急落が起きたが、来年の株価下落の前兆なのか?市場では、その原因を南アフリカ共和国での新型コロナウイルスの新たな変異株(オミクロン株)発見と解説しているが、それが原因というよりは、むしろ、それを利用して12月の日米メジャーSQに向けての投機筋が相場操縦を開始した可能性がある。実際、米長期金利が1.6%台から1.4%台に急落して債券高となり、株式市場から債券市場にお金が流れていることからも本格的なショックでないことを示している。

T-Modelやバンク・オブ・アメリカが予測するショックは、金利上昇による株価急落、つまり、債券と株式が共に下落する株安・債券安であり、先週の急落局面とは市場の動きが異なる。 2番目の記事の米金融大手バンク・オブ・アメリカ(バンカメ、Bank of America)では11月15日付クライアント向けレポートで、20種類の市場評価指標のうち15種類が歴史的高水準にあると指摘している。

『飛び抜けた数字も一部みられるが、それ以外の指標も、以下のように過去の平均値に比べて少なくとも2SD(標準偏差)以上を記録している。

シラー株価収益率(PER):3SD

株価純資産倍率
(PBR):2.3SD

事業価値(EV)/利払い前・税引き前・減価償却前利益(EBITDA)倍率:2.2SD

株価キャッシュフロー倍率(PCFR):2.6SD

事業価値(EV)/売上高倍率:2.5SD

S&P500時価総額の対名目国内総生産(GDP)比:3.4SD

積極的な投資家たちは、企業が長期的には業績を伸ばして成長していくと読み、この超流動的な市況のもとでも株価を競り上げている。こうした市場の展開においては、セルオフ(=大量の売りによる株価急落)でもない限り、時価総額が過去の平均的な水準に戻ることは考えられず、今後好業績が積み重なって、いずれは現在の株価が正当化されることになると彼らは考えている。

だが、サビータ・スブラマニアン率いるバンカメのストラテジストチームは、そうした展開を否定する。企業の成長に対する投資家たちの期待値は高すぎ、1990年代後半のドットコムバブル以上にふくれ上がっている、というのがスブラマニアンらの見方だ。』

このような指摘は、これまでセミナー等で指摘してきたポイントで、「標準偏差」を用いるT-Modelの分析結果とよく似ている。これからの興味はこの「金利ショック」がいつ、何をきっかけに起きるのかに尽きる。そして、そのショックは市場関係者のほとんどが想像もしない株安・債券安、そしてドル安をも巻き込む大きなショックに発展するのではないだろうか。

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