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やはり「インフレショックから金利ショック」へ


やはり「インフレショックから金利ショック」へ

2022年9月24日日経夕刊に『終幕見えぬ市場の冬』が掲載されている。

『米経済が本格的な金融引き締め局面に突入した。株式市場は早くも拒絶反応を示す。株式相場の「冬の時代」に終わりはみえない。23日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4日続落し、3カ月ぶりに年初来安値を更新した。年初来の下落率は19%と、リーマン危機が発生した2008年の34%に迫る。S&P500種株価指数も4日続落し、23日は3693で終えた。6月に付けた年初来安値(3666)が近づく。米投資銀行BTIGによると、S&P500種の3900近辺は過去3年間で累積の売買代金が最も多い価格帯だ。これを下回る水準では、投資家の損失覚悟の投げ売りが膨らんでいる可能性が高い。

どこまで利上げをすればインフレが沈静化するかわからないとの警戒が、投資家の株売りを加速させる。米連邦準備理事会(FRB)は21日、0.75%の追加利上げを決めた。政策金利は3.0~3.25%となり、長期的に景気を熱しも冷ましもしない水準である中立金利(2.5%)を明確に上回った。米金融政策はこれまでの「緩和縮小」から「引き締め」局面に名実ともに突入した。さらにFRBが今回の利上げ局面における政策金利の到達点(ターミナルレート)を引き上げたことに対し市場は動揺。FRBメンバーが予想する22年末時点の政策金利は4.4%と前回6月(3.4%)から上方修正された。23年末時点も4.6%と前回(3.8%)から切り上がった。4.9%が適切だとみるメンバーもおり、5%までの利上げを視野に入れる。ターミナルレートは4%近辺とみていた金融市場は5%への修正を迫られた。

複数のターミナルがある国際空港での移動をもじって、「ターミナル4からターミナル5へ移動した」との声もあがる。FRBのインフレ対応が後手後手で、足元の拙速な金融引き締めが歴史的な株安を招いていることを暗に非難する。』

冒頭の記事で『どこまで利上げをすればインフレが沈静化するかわからないとの警戒が、投資家の株売りを加速させる。』と指摘する。『利上げでインフレが本当に鎮静化するのか』と疑問を持つ投資家が増えてきている証拠である。

2022/06/13『やはり「インフレ再加速」、そして、やはり「市場が動揺」』のT-Modelコラムにおいて、

『先週発表された米5月CPIが市場予想を上回り、インフレが再加速したと市場が動揺しているが、T-Model分析からすると「やはり!」としか言いようがない。セミナーやT-Modelコラムにおいて、「今回のインフレの原因はコロナショックを契機とした大量の緩和マネーであり、政策金利の引き上げではインフレを止めることはできない」と何度も指摘してきたからである。そして、その市場の動揺が、「金融政策のミス」を誘発する可能性があるとも指摘した。冒頭の記事にある『CPIを受けて市場ではにわかに6月会合での0.75%利上げを予想するエコノミストが現れた。その1人、バークレイズのジョナサン・ミラー氏は「物価高騰を考慮し、FRBは市場の予想以上のタカ派姿勢を見せたいはずだ」と指摘する。ジェフリーズのアネタ・マルコウスカ氏も「CPIと消費者態度指数はゲームチェンジャーだ」と0.75%に変更した。』はそれを示す好例だろう。インフレ抑制にはあまり効き目のない金利引き上げを煽るような市場関係者が増えてきて「金融政策のミス」を誘発しそうだからである。 』と指摘した。

インフレ沈静化にあまり効果のない政策金利はどこまで引き上げる可能性が高いのだろうか。T-Modelのオリジナル分析では、「10年債-2年債」の逆イールドがボトムアウト、つまり、順イールドになるまで「2年債利回り-政策金利」は追いかける可能性が高いと考えてる。

直近の「10年債-2年債」は-0.45%と、2000年4月-0.49%に迫っているが、この時期の「2年債利回り-政策金利」は-1.37%までマイナス幅は拡大している。直近の「2年債利回り-政策金利」は-0.05%で、まだまだ不十分ということになる。2000年当時と同じマイナス幅には1%以上の差があり、2年債利回りが低下しないのであれば政策金利は3.0~3.25%の水準から1%超上乗せされる可能性が高いことを示唆する。これは政策金利引き上げでインフレを沈静化できると考える市場の「金融政策のミス」なのだが、過去の歴史が示す通り、その「金融政策のミス」は今回も現実化してしまうのだろう。今の興味はそれがいつ現実化するだけなのである。

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