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一週間で3円の円安急加速で22年以来の為替介入か?

 

一週間で3円の円安急加速で22年以来の為替介入か?

2024年4月27日日経夕刊一面に『円安急加速、158円台 米インフレ長期化警戒~1週間で3円下落』が報じられている。

『26日のニューヨーク外国為替市場で円は1ドル=158円台前半まで下落した。1990年5月以来、34年ぶりの安値をつけた。同日発表の米物価指標でインフレの加速が確認され、米長期金利には上昇圧力がかかっている。日米金利差の拡大が意識され、円の急落につながった。

米商務省が同日発表した3月の米個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比の上昇率が2.7%と、2月の2.5%から加速した。米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めが長期化するとの警戒が強まった。米金利先物市場が織り込む年内の利下げ回数は1回以下が6割に達し、年初の6~7回から急減した。FRBの利下げが遠のくとの見方から、長期金利の指標となる10年物国債利回りは4.6%台後半と年明け以降、上昇傾向が続く。一方、日本では26日の金融政策決定会合で日銀が金融政策の現状維持を決めた。植田和男総裁は同日の記者会見で円安について「基調的な物価上昇率に大きな影響を与えていない」との見方を示し、円安に対応した利上げは遠いとの見方が広がった。(途中略) 』

2024/04/22『止まらぬ円安は本当に「ドル高主導」なのか?』のT-Modelコラムにおいて、

『冒頭の記事では、現在の円安要因は「ドル独歩高」にあることを指摘するが、ドルよりも格付けの高い通貨である「金」と比べると「ドル独歩高」というよりは、「ドル基軸通貨」の現在の「ブレトンウッズ体制2」が揺らぎ、格付けの高い通貨に資金が流れている可能性が高い。実際、T-Model理論『ドルインデックス/NY金*100』は4月5日週4.4倍まで下落し、同指標の史上最安値2011年8月22日週4.0倍に接近している。仮に、この史上最安値4.0倍を割り込むようだと、「ドル基軸通貨」終了のシグナルが点灯することになり、「ブレトンウッズ体制3」へ移行過程が鮮明化する。そして、それは世界的な経済危機を意味することになる。「ブレトンウッズ体制2」への移行期に起きた1973年10月6日「第4次中東戦争」のように、「第5次中東戦争」が危惧されるが、ほぼ50年前と同じ日の23年10月7日に始まったハマス・イスラエル紛争はその始まりか。今後、イランとイスラエルの紛争に発展するかが鍵を握るが要注意である。

また、ドルインデックスとドル円を比較すると、両者の乖離が極めて大きい。冒頭の記事で指摘する「ドル独歩高」が円安の要因ならこのような乖離が起きにくく、一つ考えられるのは「円キャリートレード」がドル高以上に円安を加速した可能性がある。過去、今回のような両者の乖離は、リーマンショック前の07年6月頃、LTCM危機の98年8月頃に起きており、大きな危機の前に起きる現象のようにも映る。それは何かは定かではないが、大量に溜まっている「円キャリートレード」の巻き戻しが起きて、危機を誘発するかではないだろうか。「ドル基軸通貨」体制の揺らぎは「戦争」「地震」を誘発し、同時に、「円キャリートレード」の巻き戻しが世界的危機の引き金を引く可能性にも注意すべき段階を迎えている。 』と指摘した。

先週1週間の円の下落幅は3円を超え、財務省が2022年に為替介入に踏み込んだ当時と状況が近似することで、2年ぶりの介入が視野に入っていたが、日本が昭和の日で休日だった29日に海外では1ドル160円大台乗せを達成した途端、その後、155円割れまで一気に円高となり、日本政府による円買い・ドル売りの「為替介入」が実施された可能性が観測されている。

では、現在のドル円の円安加速は長期的視点でみると、どのように位置づけるべきだろうか。拙著『そして偽装経済の崩壊が仕組まれる』(2015年12月出版)の第三章『サイクルがすべてを決める』において、

『これも筆者が見つけたドル円「40年サイクル」というものがある。このサイクルの起点となるのは1971年8月15日のニクソン・ショックである。この世紀の一大事件、アメリカが金本位制を放棄した瞬間から40年間に及ぶ円高時代が始まった。従ってニクソンショックから40年後の2011年あたりがドル安のボトム、円高のピークだと筆者は2012年に主張した。

これも歴史にさかのぼれば、サイクルに則っていることが理解できる。1971年のニクソン・ショックの40年前に何が起きたのか?1931年12月、時の大蔵大臣・高橋是清が「金輸出禁止」、日本の金本位制を止めたため、当時1ドル=3.96円だった円の価値はその後、どんどん下落していき、円安時代がちょうど40年続いた。円高時代と円安時代は40年間ずつ対称形になっているわけである。ここで面白いのは、この40年サイクルの半分の20年後に世界の歴史を左右する出来事が起きていることだ。円安時代が始まった1931年の20年後の1951年、日本はサンフランシスコ講和条約締結によって、主権が回復され、独立国として認められた。そして円高時代が始まった1971年の20年後の1991年、ソ連が崩壊し、冷戦時代が終焉を告げた。

2011年当時の話に戻すと、筆者がいくら円安時代の到来を唱えても、まだまだ円高に進むと反論する向きが多かった。だが、あれ以来、二度と75円台の円高ピークなど訪れないし、やはりサイクルに従って円安傾向を強め始め、ここ1年間では120円台、125円あたりまでドル高円安になってきた。このドル高円安サイクルは今後、紆余曲折はあるにせよ、基本的に40年間続くことになるわけで、日本が貧乏になっていく時代に入ったといえる。日本人はもはやこれまでのように気楽に海外旅行になど行けない時代になってしまったのである。(途中略)』

今から約9年も前に現在の大幅な円安と「日本が貧乏になっていく時代」の到来を予告していた。実は、これまでお伝えしたことはないが、このT-Model理論『ドル円「40年サイクル」』には重要な法則性が存在する。

円高の40年間で円高局面は10年ごとに4回あり、1971年からの第一局面、1982年からの第二局面、1990年からの第三局面、2000年(実際は98年から)からの第四局面の一方、円安の40年間?の円安局面も、2011年からの第一局面、2020年からの第二局面と10年ごとに円安局面起きている。そして、この1回の円高・円安局面のドル円の騰落率は約50%で、2020年からの第二の円安局面も既に50%を超えており、そろそろ一旦は円安局面が終了してもおかしくないタイミングを迎えている。更なる円安は次の第三の円安局面であり、それは30年前後からスタートすることになる。また、2031年には「世界の歴史を左右する出来事」が起きる可能性が高いことを示唆しているが、それは仮に現在の「ブレトンウッズ体制2」が終焉した後でもTーModel理論『ドル円の「40年サイクル」』は成り立つのかが今から楽しみである。

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