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出生率70万人割れ就職氷河期は何をもたらしたのか
出生率70万人割れ就職氷河期は何をもたらしたのか
『出生数、初の70万人割れ』の本当の原因?
2025/6/4産経新聞に『出生数70万人割れ、国の推計より14年早く~社会保障制度に暗雲、背景に若者の経済不安』が報道されている。
『令和6年に生まれた子供の数(出生数)が国の推計よりも14年も早く70万人を割り込み、急速な少子化の進行が改めて浮き彫りとなった。背景には経済的な不安で結婚や出産に踏み切れない若者が増加している現実があり、専門家は若者の経済状況改善を訴える。
国立社会保障・人口問題研究所(社人研)が令和5年にまとめた将来推計人口(中位推計)は、6年の日本人のみの出生数を75万5千人と見込んでいた。初めて70万人を割り込むのは、2038(令和20)年の69万2千人になるとの想定だった。日本の社会保障制度の多くは現役世代が支払う社会保険料で賄う「賦課方式」を採用している。このまま急速に少子化が進行すれば、現役世代の負担増加に留まらず、社会保障財源が逼迫(ひっぱく)し、制度自体の持続性も揺らぎかねない。
加えて、少子化傾向の反転への時間的猶予もない。現在、結婚適齢期を迎えている1990年代生まれの出生数は120万人程度で安定していたが、2005(平成17)年に110万人を割り込み、2016(平成28)年には100万人を下回るなど、今後適齢期を迎える世代の減少が予想される。政府は「2030(令和12)年までがラストチャンス」と危機感を強めるが、反転攻勢に向けて有効な手は打てていない。(途中略)』
厚生労働省が6月4日、2024年の人口動態統計を発表し、日本で生まれた日本人の子供の数が前年比5.7%減の68.6万人と、統計のある1899年以降、初めて70万人を割った。また、一人の女性が生涯に産む子供の数を示す合計特殊出生率は1.15と、前年の1.2を0.05ポイント下回り、3年連続で過去最低となっている。人口を維持するのに必要とされる「2.07」を大きく下回る。特に、東京都は24年0.96で、初めて1を割り「0.99ショック」と呼ばれた23年をさらに低下した。その最大の要因は未婚化であり、24年の婚姻数が前年比2.2%増の48.5万組と微増だが、23年が前年比-6.0%と大幅に落ち込んだ反動増に過ぎず、戦後初めて2年連続で50万組を下回っている。一方、24年の死亡数は1.9%増の160.5万人で、出生数と死亡数の差である自然減は91.9万人でともに過去最多。人口減は消費を下振れさせ、社会保障制度の持続可能性も揺らぐ。
このような状況に対して、日本の少子化を抑制するため「少子化社会対策基本法」を制定、2003年(平成15年)9月から施行され、日本の少子化対策として2004年、2010年、そして2015年にそれぞれ「少子化対策大綱」を閣議決定している。
2015年までの少子化対策から設定された重点課題は以下の通りです。
子育て支援施策を一層充実、
若い年齢での結婚・出産の希望の実現、
多子世帯へ一層の配慮、
男女の働き方改革、
地域の実情に即した取組強化、
2023年4月に発足したこども家庭庁は、一般会計で4兆1457億円、特別会計も含めて5兆2832億円を計上しているが、少子化対策の効果はほとんど見られす、的外れにも思われるが、この大きな予算は何に使っているのか。
そのようななか、2026年4月に「独身税」がスタートするが、ご存じだろうか。「こども・子育て支援金制度」(支援金)に基づくもので、1人あたり月額250~450円が医療保険に上乗せされる。政府は「全世代・全経済主体」が子育て世帯を支える連帯の仕組みと説明しているのだが、その恩恵は子育て世代に集中する。「独身税」で効果がほとんど見られない予算を膨らますだけで、少子化の原因である未婚化をただ促進するだけにならないだろうか。
そもそも、「出生数70万人割れ」の原因はT-Model理論では「就職氷河期」にあると考えている。「第二次ベビーブーム」世代と呼ばれる「団塊ジュニア世代」(1971年(昭和46年)から1974年(昭和49年)に生まれ)は就職氷河期世代と重なり、その結果、収入が低いために婚姻数が減り、本来は起こるべき「第三次ベビーブーム」が起きなかったためだろう。
実は、「団塊ジュニア世代」は新卒で就職する時期にバブル崩壊で就職難、同時に、1995年に経団連が提唱した「新時代の『日本的経営』」で非正規社員の活用を提唱して以来、人件費の安い非正規雇用が急拡大した。小泉政権もそれを援護すべく労働者派遣法の対象業務を次々と拡大し、1999年には原則自由化に踏み切り、03年には製造業派遣を解禁し、実際、平均賃金は97年から2008年まで落ち続けている。これは偶然なのか、必然なのかは定かではないが、少子化を企む人々が「団塊ジュニア世代」を狙い打ちして、少子化を促進したという穿った見方もできなくもない。そして、それは何のただったか。気がつけば、アベノミクス以降、約1.5倍に膨らんだ在留外国人は「人手不足」を補う目的で実質移民政策をすすめようとしているのではないか。「働き方改革」もより「人手不足」を演出するためか。不謹慎な例えかもしれないが、現在の「米問題」とよく似ている。もしこの推測が正しければ、「輸入米」の拡大が目的の一つになるが、どうだろうか。