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基軸通貨ドルの衰退ドル安の根底は利下げが原因か?

基軸通貨ドルの衰退ドル安の根底は利下げが原因か?

米株高の裏で止まらぬドル安の根底に「利下げ近し」の観測?

2025年6月26日日経夕刊に『トランプ氏が呼ぶオオカミ~米株高の裏で止まらぬドル安』が掲載されている。

『一方でトランプ氏の大統領就任以来、ほぼ一貫して下がり続けている資産もある。基軸通貨のドルだ。主要通貨に対するドルの総合的な強さを示すドルインデックスは1年前の約110から直近の97台まで1割以上下がり、約3年振り安値圏に落ち込む。(途中略)

なぜドル安が進むのか。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は24日の議会証言で7月利下げに慎重な姿勢を示した。トランプ氏は25日にそんなパウエル氏を「ひどい」と非難したが、市場の受け止めはやや異なる。パウエル氏は利下げ自体は否定しておらず、市場は9月までの利下げを約9割の確率で織り込んだ。ドル安の根底には「利下げ近し」の観測がある。

それだけではない。トランプ政権が7月4日までの成立を目指す減税法案が成立すれば、約36兆ドル(約5200兆円)の政府債務がさらに膨れあがる。(途中略)トランプ政権が関税の引き上げで進めようとする経常赤字の削減には時間がかかる。巨額の経常赤字の穴埋めには海外マネーを米国に呼び込むことが不可欠だ。米国への資金流入が細れば為替(ドル安)で調整されることになる。

基軸通貨ドルの衰退は、これまで繰り返し唱えられてきたテーマ。ユーロや人民元といった代替通貨の準備が整わず、ドル離れはあまり進んでこなかった。ドル衰退論は「オオカミ少年」のように受け止められてきた歴史がある。実際に起こりうるのはドルがほかの通貨に突然取って代わられるのではなく、ドルへの資金流入が少しずつ細り、地位が揺らいでいくという展開だろう。(途中略)』

冒頭の記事では、『市場は9月までの利下げを約9割の確率で織り込んだ。ドル安の根底には「利下げ近し」の観測がある。』と指摘するが、FRBの政策金利の影響を受けやすい米国債2年債利回りとドル円を比較すると、2年債利回りに比べて割高だった分がトランプ政権によるドル高是正策でようやく修正された段階で、FRBの政策金利の「利下げ」は織り込んでいないように見える。7月か、9月かといった時期は別にして、仮にFRBが利下げをするとどうなるだろうか。T-Model理論『円キャリートレード指数』の下落、つまり、円キャリーの巻き戻しが起きて円高が進むことを示唆する。今回、「円キャリー」がスタートしたのは23年1月ドル円127円からで、当面はその水準がドル円のターゲットとなる可能性が高いのではないだろうか。

また、2025/06/2『不穏さ潜む米債券市場』のT-Modelコラムにおいて、

『米国の『30年債-10年債』のイールドスプレッドが0.53%と、22年9月19日週-0.08%の「逆イールド」以降、最大となった。30年債利回りが25年5月21日高値5.098%まで上昇し、23年10月30日5.097%を1年7か月振りに更新。40年来のボトムとなった20年8月1.176%以降の最高値を更新する一方、10年債利回りは25年5月21日高値4.525%まで上昇したものの、2月12日4.66%以来、約3か月振りの水準にとどまっているためである。米国ではトランプ減税の恒久化を含む減税案が下院で可決され、日本でも消費減税を巡る議論が活発になり世界の債券市場では潜在的な財政悪化リスクが意識され、特に、超長期債の利回り急上昇が世界の債券市場を揺らす震源地となりつつある。

特に、日本の債券市場では超長期債の売買高全体(債券ディーラーを除く)に占める海外勢の割合が足元で約5割と、約2割だった20年ごろから比率は右肩上がりに上昇し、主な買い手が海外勢に移ったことで、国内外で金利が連動しやすくなり、米国発のイベントにも日本の債券市場が振り回される。そのため、日本の30年債利回りも5月21日3.196%まで上昇し、史上最高値だった2000年9月2.667%を5年振りに更新している。

このように『30年債-10年債』のイールドスプレッドの「スティープ化」が進むことで、同指標の過去30年来のボトムである2010年10月25日週1.58%と21年2月1日週0.81%のボトムを結んだラインを割り込み始めている。実は、T-Model理論『「30年債-10年債のイールドスプレッド」とドル円』の連動性、T-Model理論『「30年債-10年債のイールドスプレッド」とドルインデックス』の連動性があり、更に「スティープ化」が進むようだと、今後は円高やドルインデックスの下落がより強まることを示唆する。「超長期債の利回り」上昇が「○○ショック」の震源地になる日も遠くないかもしれない。』と指摘した。

米国債『30年債-10年債』のイールドスプレッドは直近25年6月27日週+0.56%と更に拡大し、同指標の過去30年来のボトムである2010年10月25日週1.58%と21年2月1日週0.81%のボトムを結んだラインを明確に割り込んでいる。従って、T-Model理論『「30年債-10年債のイールドスプレッド」とドル円、ドルインデクスの連動性から、円高とドルインデックスの低下を示唆するが、特に、同指標との乖離が大きいドル円の修正が激しくなる可能性が高い。ドル円の140円割れは要注意の水準として頭の片隅に記憶しておいた方が良いのではないだろうか。

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