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市場が「タカ派」的と考えるFRBの大幅利上げ観測は94年にもあった


市場が「タカ派」的と考えるFRBの大幅利上げ観測は94年にもあった

22年4月23日日経夕刊に『大幅利上げに混乱の記憶』が掲載されている。

『米連邦準備理事会(FRB)の連続かつ大幅な利上げ実施の観測が強まっている。「衝撃と畏怖」作戦による急激な金融引き締めは過去に大混乱をもたらしてきた。その記憶が脳裏をよぎる。ナスダック総合株価指数は週間で4%安となり、3月に付けた今年の安値に再び接近した。本格的な金融引き締め開始が目前に迫り、過去2年間の金融緩和で大きく上昇したハイテク株ほど売り圧力が強い。

FRBは5月3~4日に開く米連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利上げに加え、保有資産の縮小開始を決定する見通し。利上げ幅が通常0.25%の倍にあたる0.50%となれば2000年5月以来だ。当時はナスダック指数が1999年夏から00年3月にかけ2倍になったIT(情報技術)バブル局面で、大幅利上げが崩壊の決定打となった。3倍にあたる0.75%となれば94年11月以来。当時は大幅利上げで「逆イールド(長短金利の逆転)」が鮮明となり、デリバティブ(金融派生商品)取引での損失計上が相次いだ。カリフォルニア州オレンジ郡の財政破綻はその代表だ。米国への資本還流でメキシコの通貨危機も発生した。

(途中略)

強力な金融政策の導入や方針転換は衝撃と畏怖の作戦と呼ばれる。物量と心理の両面で敵を圧倒する電撃作戦を指す軍事用語だ。過去の量的緩和(QE)の導入時などに使われてきた。FRBはインフレファイターの姿勢を強めるが、市場が信じなければショック療法を強めざるを得ない。インフレ期待は抑制されていない。期待インフレ率をはかる指標であるブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は米10年物が21日時点で3.02%に上昇。パウエル議長の大幅利上げの示唆にもかかわらず上昇した。FRBがインフレを抑制できないとの見方から「スタグフレーション(景気停滞と高インフレの併存)懸念が強まった」(ゴールドマン・サックスのクリス・ハッシー氏)ためだ。「物価の安定なくして経済は成り立たない」(パウエル議長)との姿勢で、FRBは無理やりにでも市場を信じ込ませるため、一段の金融引き締めに走る。オーバーキル(過度な金融引き締めが引き起こす景気後退)の可能性が高まる。

危険シグナルは点灯している。主要ハイテク株で構成するナスダック100株価指数をダウ工業株30種平均で割った比率は昨年末、22年ぶりに0.45倍を上回った後、低下局面に入っている。ITバブル時も同じ0.45倍で下げに転じ、ナスダック指数主導の長期の株安局面に突入した。歴史が繰り返される可能性は否定できない。』

一部の市場の予想では、5月FOMC0.5%、6月0.75%、7月0.75%のFF金利連続大幅引き上げで7月には2.25%~2.5%に達するとの見方も出ている。この見方を市場では「タカ派」的と呼ぶらしいが、T-Model分析から見れば当然の予測ではないかと考えている。何故なら、FF金利は2年以下の短期金利を誘導するものだが、2年債利回りは既に約2.9%まで急騰する一方、FF金利は0.25~0.5%と低水準であることから2%超の大きな乖離が発生しているからである。つまり、FRBの金融引き締めの遅れが原因で、それを修正するために「タカ派」的にならざるを得ないだけなのである。冒頭の記事には、「利上げ幅が通常0.25%の倍にあたる0.50%となれば2000年5月以来。3倍にあたる0.75%となれば94年11月以来。」との指摘があるが、94年も今回と同様、FRBの金融政策の遅れが原因で2年債利回りとFF金利は2%超乖離していたのである。

また、冒頭の記事には、「主要ハイテク株で構成するナスダック100株価指数をダウ工業株30種平均で割った比率は昨年末、22年ぶりに0.45倍を上回った後、低下局面に入っている。ITバブル時も同じ0.45倍で下げに転じ、ナスダック指数主導の長期の株安局面に突入した。歴史が繰り返される可能性は否定できない。」との指摘もあるが、これはT-Modelがコラムやセミナーで何度も何度も指摘してきた「ND倍率」のことである。

「ND倍率」は先週の4月18日週0.38倍まで低下し、以前から指摘してきた重要なポイントの21年5月10日週0.39倍をついに下回ってしまった。誰よりも先に「ND倍率」を分析してきたT-Modelからすると、今回の現象は「ITバブル」の2000年に起きた現象と酷似しており、「歴史は繰り返される」と以前から何度も指摘してきた。

4月19日に22年1~3月期決算を発表した動画配信の米Netflixが、3ヶ月毎に開示する会員数が20万人減と、過去10年間で初のマイナスに転じた。インフレ下での消費者の節約志向の高まりやロシア事業の中断も響いたようだがこれは大きな転換で、失望売りから同社の株価は1日で35%安、約540億ドル(約6兆9000億円)分の時価総額を失った。「Netflixショック」は他の動画配信サービスに波及しただけでなく、金利上昇で割高感が意識されるハイテク株全般に警戒感が広がり、ハイテク株比率の高いナスダック指数はダウ平均を上回る下落となり、何とか守りたかった21年5月10日週0.39倍を下抜けてしまったのである。「ITバブル」時の2000年頃の「ND倍率」バブルも何かが引き金になって崩壊したと思われるが、2020年から始まった今回の「ND倍率」バブルの崩壊は「Netflixショック」がその引き金を引いたと後々語られることになるだろう。バブル崩壊は始まったばかりと思えるかが今後、投資の世界で生き残れるかの分水嶺となるのではないだろうか。

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