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未だ多くの市場参加者が信じる『円安・株高』


未だ多くの市場参加者が信じる『円安・株高』

2022年4月14日日経新聞に『日本株、薄れる円安の恩恵~個人、資産防衛で売り手に』が報道されている。

『円安が止まらない。13日の円相場は一時約20年ぶりとなる1ドル=126円台の安値をつけた。円安は輸出企業の採算改善を通じて日本株を押し上げるはずだが、最近はこのセオリーが効きづらくなっている。原因の一端は、投資家の行動変化に隠されている。円安による資産価値の目減りを防ごうと、個人投資家の一角が日本株の売り手に回り始めているのだ。

13日の日経平均株価は前日比508円高と3日ぶりに反発して取引を終えた。この日の日本株の上昇は円安の進行とは関係がない。この日の円安は、東証の取引終了後に一気に進んだからだ。日経平均とドル円相場のチャートを単純に重ねても、4月以降は両者の連動が崩れているのがわかる。日本株は、円安進行を素直に好感しなくなってきているのだ。円安による株価の押し上げ効果が薄れている直接の原因は、製造業の海外生産へのシフトだ。円安が進んでも、輸出数量がかつてのようには増えなくなっているのだ。効果が薄れたとはいえ、円安が日本の企業業績を押し上げる構図そのものは変わっていない。社数で日本の法人の1%に満たない上場企業は、円安が業績を押し下げる内需企業よりも、円安の恩恵をうける自動車や電機をはじめとするグローバル製造業の構成比率が高いからだ。野村証券の個別企業集計では、東証株価指数ベースの22年度の経常利益は1ドルあたり1円の円安で0.25%押し上げられる。「円安による原材料高の影響を考慮した分析でも、経常利益は0.22%押し上げられる」(野村の池田雄之輔氏)(後省略)』

この記事の見出し『日本株、薄れる円安の恩恵』を読んで驚いたのは市場関係者の間では、未だ『円安・株高』を信じている人々が多いということである。リーマンショック直前以降、日経平均とドル円を比べると、2016年末ぐらいまでは連動性が高かったが、2017年以降はなだらかな円高と不自然に上昇する日経平均との間に乖離が起きている。そして。逆に、2020年末からは今回の20年振りの126円台まで円安傾向となっているにも係わらず、日経平均は下落傾向となっている。

記事では、『円安・株高』を業績で何とか説明したいようだが、2017年~現在までの約5年間、全くと言って良いほど連動性は見られず、両者を結びつけようとしていることに無理があることが分かる。 では、どうして2017年以降、『円安・株高』の連動性が崩れたのだろうか。

T-Modelの分析では、それは外国人が『日本株売り』を継続しているためと考えている。2016年頃までは日経平均と外国人の買い(現物+先物)はほぼ同じ動きをしていたが、2017年いこう、特に、2018年以降は日経平均との連動性は全くと言って良いほど見られない。これはドル円と外国人の買い(現物+先物)と比べると明らかで、2017年末までは両者に連動性が見られたものの、直近で20年振りの円安水準となっても外国人の買い(現物+先物)は低水準にとどまっているからである。

『円安・株高』の連動性が崩れた理由をこの記事では『円安による株価の押し上げ効果が薄れている直接の原因は、製造業の海外生産へのシフトだ。』と指摘しているが、それは残念ながら間違いで、外国人が日本株を買わないというシンプルな原因なのだ。さらに外国人が買わない理由を深掘りすると、外国人には成長力のない日本株をGPIFと日銀のマネーで嵩上げされていて魅力のない市場に映っているからではないだろうか。そして、今回の急速な円安進行で、外国人だけではなく、日本人の日本株離れも加速し始めているのである。4月4日に東証新市場区分がスタートしたが、こんな小手先の改革など全く意味のない改革であるということは株式市場の急落が証明したかたちだが、当局がこんな茶番をいつまでも続けていると、誰からも相手にされないローカル市場に成り下がるが、その危機感は当局には全く感じられないことが心配である。

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