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投資の神様バフェット保有株 大量売却の真相
投資の神様バフェット保有株 大量売却の真相
『バフェット投資、荒れ相場で輝き~米バークシャー、時価総額1兆ドル 』
2024年8月28日ブルームバーグニュースは『ウォーレン・バフェット氏、BofA株を追加売却-約1400億円相当』を報道している。
『著名投資家のウォーレン・バフェット氏は、バンク・オブ・アメリカ(BofA)株、9億8200万ドル(約1420億円)相当を追加で売却した。バフェット氏の投資・保険会社バークシャー・ハサウェイは7月中旬からの一連の売却でBofA株の保有比率を13%近く減らし、合計で54億ドル(7830億円)を調達した。バークシャーは27日遅くに、8月23、26、27日に行った売却の詳細を開示した。
バフェット氏は、2011年にBofA株が5ドル近辺で取引されていたときに同行への投資を開始した。このところの持ち分縮小の理由は明らかにしていない。バフェット氏はしばしば、BofAのブライアン・モイニハン最高経営責任者(CEO)のリーダーシップを称賛してきた。BofA株は一斉売りが起こる前の時点で年初来31%上昇していた。その後に約10%下落して27日は39.67ドルで終了した。バークシャーは依然としてBofAの筆頭株主で、9億380万株(27日終値ベースで359億ドル相当)を保有している。』
また、先週はもう一つバフェットに関連する報道があり,2024年8月30日日経新聞は『バフェット投資、荒れ相場で輝き~米バークシャー、時価総額1兆ドル 攻め・備えに大局観』を報じている。
『著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いる米投資会社バークシャー・ハザウェイの時価総額が28日、初めて1兆ドル(約144兆円)に達した。米企業ではアップルやエヌビディアなど巨大テック銘柄に続く8社目で、ハイテク以外の大台乗せは初めて。相場が荒っぽい値動きになるなか、過去の逆風時に輝いてきた実績が評価されている。
今年のバークシャー株は上昇率が高い。株価(議決権の多いA株)は23年末比で28%高と、米株相場の17%高を大きく上回る。8月上旬の相場急変からの戻りの過程で大きな差がついた。生成AI(人口知能)期待が押し上げた半導体関連(SOX、21%高)をも上回る。SOXが7月上旬の4割高から急速に上げ幅を縮めるなかでもバークシャー株は堅調で、足元で逆転した。(途中略)
バークシャー株が逆風下でよりどころとなることは過去の実績が示す。バークシャー株の年間パフォーマンスがS&P500を20ポイント以上上回ったのは、2000年以降で3回あった。2000年(37ポイント)、07年(25ポイント)、22年(23ポイント)はいずれも振り返ると相場の転換点となった。2000年は90年代後半に膨らんだ米ITバブルが崩壊した。いわゆるドットコム銘柄を「理解できないもの」として一切投資せず、99年には運用リターンが相場に劣後し批判も浴びた。だが、バブル崩壊後の下げ相場が3年近く続く中で、バークシャーは右肩上がりを続けた。(途中略) 』
この2つの記事に関連しているのは「バンクオブアメリカ株」で、リーマンショック時に投資した「バンクオブアメリカ株」を今、大量売却している点である。08年9月、リーマンショックで窮地に追い込まれていたゴールドマンサックスに救いの手を差し伸べ、50億ドル相当の優先株を購入したほか、普通株に転換できるワラント(新株予約権)を取得した。13年に転換権を行使して普通株を取得し大株主となっている。
冒頭の日経新聞の記事で興味深いのは、『バークシャー株の年間パフォーマンスがS&P500を20ポイント以上上回ったのは、2000年以降で3回あった。2000年(37ポイント)、07年(25ポイント)、22年(23ポイント)はいずれも振り返ると相場の転換点となった。2000年は90年代後半に膨らんだ米ITバブルが崩壊した。いわゆるドットコム銘柄を「理解できないもの」として一切投資せず、99年には運用リターンが相場に劣後し批判も浴びた。だが、バブル崩壊後の下げ相場が3年近く続く中で、バークシャーは右肩上がりを続けた。』
2024/08/13『バークシャーの現金保有高が過去最高更新、アップル株保有は半減』のT-Modelコラムでも指摘したように、
『著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いる米投資会社バークシャー・ハサウェイは、アップル株の3四半期連続で売却し、保有株式数を7億9000万株から4億株へ約50%減らした。ただ、今もアップル株は約840億ドル(約12兆円)保有する最大の投資先であることに変わりはない。5月の株主総会で、バフェット氏は1~3月期のアップル株売りについて、売却益にかかる法人税率が今後上昇していくという見立てが背景にあると説明していた。また、バンク・オブ・アメリカ株も約3400万株を14億8000万ドル(約2330億円)で売却していることも7月中旬に明らかになった。
同社が発表した第2四半期報告書によれば、現金など米短期債の保有額を合わせた広義の手元資金は6月末に約2770億ドル(約40兆円)と、過去最高水準にあった3月末約1890億ドル(約29兆円)から5割近くも積み増している。
この積み上がったキャッシュがいかに異常かを示すのがバークシャーの「現金/運用資産」比率である。2024年第2四半期32.7%と、過去最高だった2005年第1四半期27.6%を大きく上回り、過去最高を約19年振りに更新した。前回、過去最高だった2005年第1四半期27.6%は結果的に2008年9月の「リーマンショック」を「予知」していたかのようにも見えるが、今2024年第2四半期32.7%は、多分、「リーマンショック」を超えるような金融危機の到来をバフェット氏が「予知」しているからだろう。 冒頭の記事に「私としては彼が市場や経済をどう思っているのか心配になる」と述べたとあるが、このようなバフェット氏をバカにしたような意見が出てくるとバブル相場はそろそろ転換点を迎えるシグナルと気付くのは私だけではないだろう。 2000年のITバフル当時、IT企業に投資しないバフェット氏に「ITビジネスに投資しない(ITが分からない)時代遅れのポンコツ」とメディアが揶揄した途端、ITバブル崩壊でその後、どちらがポンコツだったかがが明らかになったからである。』と指摘した。
AIについても「AIについては何もわからない」としてエヌビディアなど関連銘柄に投資していない。ITバブル時には「ITビジネスに投資しない(ITが分からない)時代遅れのポンコツ」と揶揄したメディアや「私としては彼が市場や経済をどう思っているのか心配になる」とバフェット氏をバカにしたような意見を述べた投資家などは多分、バフェット氏の「分からない」の本当の意味を理解していないのだろう。バフェット氏は揶揄したメディアよりもITを理解し、バカにした投資家よりもAIを理解したうえで、「分からない」と述べていると考えられるからである。2000年のITバブル崩壊のように、AIを理解していると思い込んでいる投資家ほど痛い目をみるAIバブルの崩壊の近未来が近いのではないだろうか。