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株価の戻りは「偽りの夜明け」に終わる?


株価の戻りは「偽りの夜明け」に終わる?

2022年8月6日日経新聞に『株高は「偽りの夜明け」か』が掲載されている。

『1979年10月6日土曜日。米連邦準備理事会(FRB)議長のポール・ボルカー氏は緊急会見を開き、政策目標を金利から金融機関の資金量に切り替え、銀行に投機的経済活動への融資打ち切りを要請すると発表した。「サタデー・ナイト・スペシャル」と呼ばれるインフレへの総力戦宣言だ。発表後、米ダウ工業株30種平均は1週間で6%以上、下落した。

翻って現代。パウエル議長は約40年半ぶりの高インフレに異例の高速利上げで対抗する。FRBのインフレ制御に信頼を置く投資マネーは、わずかでも利上げ停止の希望の光がみえればチャンスを逃すまいとリスク資産に殺到。株高は需要超過と人手不足を生み、皮肉にもインフレ鎮火を阻む。みかねたFRBは軸足を金利からマネーの量に移し、株価の戻りは「偽りの夜明け」に終わる――。市場の一部にはそんなシナリオがある。

8月の金融市場はショックが起きやすい。2015年の人民元ショック、11年の米国債格下げショック、98年のロシア危機……。過去20年の日経平均株価の星取表も8月は9勝11敗。12カ月中最下位だ。

理由は株式の流動性低下だ。ニューヨーク証券取引所(NYSE)の8月の1日平均売買高(20年平均、立会取引のみ)は他の月の平均より1割程度少ない。先に示したショックはいずれも米国の景気減速と高金利、あるいはFRBの緩和終了、利上げ模索といった政策転換が同時進行した時期と重なる。今年はそうした条件がそろう。(後省略)』

『FRBは軸足を金利からマネーの量に移し、株価の戻りは「偽りの夜明け」に終わる』は以前から何度もT-Modelが指摘してきたポイントに近い。そして、冒頭の記事の最後に『FRBは9月から保有資産の削減上限を毎月950億ドルに倍増するが、償還を迎えた証券の再投資を絞るにすぎない。野村証券の小清水直和氏は「インフレ退治に手っ取り早いのはFRBが国債を市場に売却し、政府が民間から資金を奪う『クラウディングアウト』を引き起こすこと」と語る。』と指摘する。つまり、ポールボルカーのように、インフレを抑えるためにFRBは緩和マネーを減らすしかないだろう。

冒頭の記事で要注意と指摘する「8月相場」が始まったが、ブルームバーグの報道によると、株式相場の最近の順調な持ち直しは長続きしないと、ゴールドマン・サックス・グループとサンフォード・C・バーンスタインのストラテジストが警告したという。また、「世紀の空売り」で有名になった投資家のマイケル・バーリ氏が、市場に「愚かさ」が戻ってきたとツイートしたことも話題になっている。

2022年8月5日ブルームバーグニュースでは『「世紀の空売り」バーリ氏、市場に「愚かさ」が戻ってきたとツイート』において、

『米同時多発テロが起きる前やエンロンとワールドコムの不祥事が発覚する前の2001年と、今の市場を比べている。当時はドットコム・バブルの破裂で世界が揺れていた。』と報道している。

何を契機に現在の「偽りの夜明け」が終了するのだろうか。マイケル・バーリ氏が指摘するように『市場に「愚かさ」』を作っているのは、T-Model分析で何度も指摘してきた唯一の緩和策である「逆イールド」である。直近8月1日週-0.40%と、2000年以降の過去最低である2000年4月3日週-0.52%近づいているが、「逆イールド」が終焉する前に、10年-2年の債券利回り差のマイナス幅が縮小し始めると相場の転機が起こりやすいため要注目である。

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