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株価急落は「MAGA」でなく「MAG7」が原因?

株価急落は「MAGA」でなく「MAG7」が原因?

2025年4月5日日経新聞に『米国株、ダウ続落し2231ドル安 「調整局面」入り 関税応酬への警戒』を報じている。

『4日の米株式市場でダウ工業株30種平均は大幅に続落し、前日比2231ドル07セント(5.50%)安の3万8314ドル86セントで終えた。4万ドルを割り込み、2024年5月下旬以来、約10カ月ぶりの安値となった。昨年12月4日に付けた最高値から14.8%下げ、「調整局面」入りとされる水準となった。中国が4日に米国の相互関税への報復措置を発表。関税の応酬による景気や企業収益の悪化を懸念した売りが膨らみ、取引終了にかけて下げ幅を拡大した。(途中略)

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は4日の講演で「不確実性は高まったままだが、関税引き上げは想定を大幅に上回ることが明らかになった。高インフレと成長鈍化を含む経済への影響も同様になるだろう」と話した。今後のデータや見通しを慎重に見極めるといい、金融政策の適切な方向を示すのは「時期尚早」と語った。景気懸念が強まるなかでも「FRBによる早期の救出は見込めない」(SIAウェルス・マネジメントのコリン・チェシンスキ氏)との観測も相場の重荷となった。

トランプ米大統領は3日夕に半導体と医薬品を対象にした関税を近く発表するとの考えを示した。貿易相手からの報復措置が広がる可能性も意識されている。JPモルガンは3日、世界経済が後退局面入りする確率を40%から60%に引き上げた。投資家の不安心理が高まるなか、「恐怖指数」とも呼ばれる米株の変動性指数(VIX)は4日、45台と20年4月以来5年ぶりの高水準となった。(途中略)』

ダウ平均は週間で3269ドル(5.15%安)下げ、週間の下げ幅としては新型コロナウイルス禍の20年3月以来の大きさ。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も週間では-1735ポイント安(8.09%安)で、20年3月以来の下げ率。NYダウは24年12月3日史上最高値45073ドルから4月4日安値38264ドルまで-15.1%下落と-10%を超えて「調整局面」入りだが、ナスダック指数は24年12月16日史上最高値20204ポイントから4月4日安値15575ポイントまで-22.9%の急落で、既に「弱気相場」入りの目安とされる20%を超えている。NYダウに比べナスダック指数の下落率が大きいのは「MAG7」などハイテク比率が高いためで、以前からご紹介してきたT-Model理論「ND倍率(ナスダック指数/NYダウ)」は先週4月4日週0.407倍まで急落している。

また、2025年4月5日ロイターは『ベッセント氏「株価下落は中国AIに関連」、米政策が要因との見方否定』を報じ、

『ベッセント米財務長官は、株式市場の下落について、トランプ大統領の政策よりも、中国新興企業ディープシークの人工知能(AI)モデル台頭に関係しているという認識を示した。4日に公開された保守派のコメンテーター、タッカー・カールソン氏とのインタビューで述べた。

ベッセント氏は「市場の下落が全て大統領の経済政策によるものだと考えている皆さんに言いたい。この市場の下落は中国ディープシークのAI発表から始まった」と語った。「市場で起きていることはMAGAの問題ではなく、MAG(マグ)7の問題だと言えるだろう」とし、トランプ氏が掲げるスローガン「MAGA(米国を再び偉大に)」と、マグニフィセントセブン(超大型ハイテク7銘柄)に言及した。(途中略)』

さらに、2025年3月8日ブルームバーグニュースが報じた『「トランプ・プット」への期待しぼむ-関税方針の二転三転に市場動揺』では、

『ベッセント米財務長官は7日、経済専門局CNBCとのインタビューで、バイデン前政権下での景気拡大は政府支出で人為的に支えられていたと主張。「市場も経済も中毒になっていた。われわれは政府支出に病みつきになっていた」とし、「この先はデトックスの期間になる」と話した。
株式相場を下支えするためにトランプ大統領が政策を転換することはあるのかと問われると、株式アナリストらがいう「トランプ・プット」といったものは存在しないと言明。「上方向の『トランプ・コール』はあるだろう。良い政策を実施すれば、市場は上昇するものだ」と付け加えた。』

最後に、2025年4月2日日経新聞が報じた『米長期金利にベッセント砲~債券市場、財務改革を支持』では、

『2月、ベッセント財務長官の情報発信に市場の注目が集まった。トランプ政権が重視するのは10年債利回りと強調したほか、長期国債の発行増は「まだ遠い先」と発言し、需給悪化懸念を払しょくしようとした。金融商品として米国債の魅力を高めるとも宣言した。米長期金利低下と国債発行コスト削減を狙ったものだ。財政健全化には利払い負担を抑えつつ、歳出を減らす必要がある。ベッセント氏はイーロン・マスク氏率いる米政府効率化省(DOGE)が主導する財政削減を支持する。財政依存の経済から脱するため、一時的な経済減速もやむを得ないとの考えを示した。(途中略)

米国の財政健全化は待ったなしだ。公的債務残高は36兆ドル超となり、20年末比1.3倍に膨らんだ。財政赤字の対国内総生産(GDP)比率は6%に達し、更に拡大する見通しだ。(途中略)リスクは株式市場とベッセント氏の間にできた溝だ。株式市場は景気後退リスクを警戒する。株売りを通じて、米連邦準備理事会(FRB)に利下げを「催促」する相場になる可能性もある。』

これら一連の記事でベッセント財務長官は、現在のマーケットの状況を前もって的確に伝えている。

『市場で起きていることは「MAGA」の問題ではなく、「MAG(マグ)7」の問題だと言えるだろう』
『バイデン前政権下での景気拡大は政府支出で人為的に支えられていた。市場も経済も中毒になっていた。われわれは政府支出に病みつきになっていた。この先はデトックスの期間になる』
『株式アナリストらがいう「トランプ・プット」といったものは存在しない。』
『トランプ政権が重視するのは10年債利回りと強調したほか、長期国債の発行増は「まだ遠い先」と発言』 36兆ドルの政府債務の約25%が2025年に償還を迎えるため、トランプ政権が今、最優先課題にしているのは10年債利回りの低下ということだろう。

世間では『トランプ関税』を単なる交渉の道具の「ディール」と未だに思っているようだだが、そのような人々ほど株価が下がると「トランプ・プット」を期待する。そして、そのような人々は、ベッセント財務長官が言及する『バイデン前政権下での景気拡大は政府支出で人為的に支えられていた。市場も経済も中毒になっていた。われわれは政府支出に病みつきになっていた。この先はデトックスの期間になる』は到底理解できないのかもしれない。『トランプ関税』は本気であり、バイデン政権が人為的に作ったバブルを崩壊させようとしている可能性があるのではないかと考えている。T-Modelが以前から主張してきた「人為的円安によるバブル」はベッセント財務長官の暴露で証明された格好である。

2月「生活防衛の教室リアルセミナー」で参考資料としてご説明したT-Model理論「ナスダック指数と80年代後半日経平均バブル」は今回の暴落でより酷似してきているが、この先も酷似したマーケットになるのかが注目される。

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