第331回：銀価格45年振り過去最高高値更新

銀価格が45年振りに過去最高値更新

2025/10/17日経新聞に『銀最高値、群がる投機資金～45年ぶり更新、昨年末比85%高　米関税警戒で品薄加速』が報じられている。

『金（ゴールド）に続き、銀（シルバー）も約45年ぶりに史上最高値を更新した。米国の関税政策に対する警戒感が銀現物の歴史的品薄を招き、価格急騰につながっている。銀を巡り、過去には著名投資家ウォーレン・バフェット氏らによる買い占めなどで乱高下を繰り返してきた。足元も歴史的な相場となっている。

銀価格の国際指標とされるロンドン現物価格は14日、1トロイオンス53.6ドルを付けて最高値を更新した。昨年末比の上昇率は85％と、金の同60％を上回る。（途中略）米利下げやトランプ米政権の不信などで米ドル離れが進み、金や銀などの現物資産は行き場を失ったマネーの受け皿となっている。（途中略）

金が中央銀行の外貨準備としても扱われる相対的な「安全資産」としての性格が強い一方、銀は産業用途が6割をしめて景気に需給を左右されやすい。市場規模も小さく、投機的な動きによって急騰・急落しやすい特徴がある。（途中略）』

2025/09/22『輝く「貧者の金」』のT-Modelコラムにおいて、

『特に注目すべきは、年初来では48％上昇（1月始値29.19ドル）し、NY金の年初来42％上昇（1月始値2625ドル、史上最高値9月16日3739ドル）やデジタルゴールドと云われる「ビットコイン」年初来31％上昇（1月始値94600ドル、史上最高値8月14日124436ドル）を上回り、またNYダウの年初来8.7％上昇（1月始値42660ドル、史上最高値9月19日46396ドル）やナスダック総合指数の年初来16.7％上昇（1月始値19403、史上最高値9月19日22645）を大きく上回り、トップの高パフォーマンスとなっている点である。 トランプ政権の「ドル高是正」政策で、米ドル指数が年初来-11.5％下落（1月始値108.33、9月17日安値95.845）するなか、金・銀の実物資産へ資金逃避が加速していることが要因で、金に比べ出遅れている銀が買われている面もある。

金と銀の価格が上昇するなか注目すべきは、以前から何度も指摘してきたT-Model理論『ゴールドシルバーレシオ（金銀比率）』だが、3月31日週にトランプ政権が「相互関税」を発表して103.8倍と100倍大台超えを記録した後、先週末19日終値はNY金3705.8ドル、NY銀42.952ドルで86.3倍と低下したものの、危機を示唆する基準である「80倍」を依然超えている。冒頭の記事では、リーマンショック後の2011年の30倍台に比べるとまだまだ割安だと言いたげだが、現在は危機が起きる前であり、下がったとしても危機を示唆する基準である「80倍」程度までではないだろうか。NY金の2025年Ｔ2予想は高値4029ドル、安値3058ドルで、この「80倍」を前提にするとNY銀は50ドルと試算され、史上最高値更新を示唆するが、どうなるだろうか。』

金（ゴールド）に続き、銀（シルバー）も50ドルの節目を超えて、約45年ぶりに史上最高値を更新したが、どこまで上昇するかが気になる。以前から、金・銀はインフレヘッジで買われていることから米CPIを織り込む水準が目途と考えており、その観点では最終的に銀は80ドル近くまで上昇してもおかしくない。ただ、T2の年足上値目標値を上回ったことから一旦、調整局面が入る可能性もあるため注意は必要だろう。

それで一つのヒントになるのが株式市場との比較で、『NYダウ/NY銀』比率は銀価格は逆相関になっているからである。同比率は直近25年9月994.79倍で、22年8月1768.54倍から急落する過程で銀価格が急騰している。つまり、同比率はどこまで下落するかが、銀がどこまで上がるかを意味する。過去、銀価格がピークを打った時期に同指標は1980年24.45倍、2011年287.81倍でボトムを付けており、そのボトムを結んだラインを今回割り込むかが注目される。仮に、それが起きると銀価格は上昇が加速し、80ドルへ上昇する可能性も高まるがことになるため、同指標からは目が離せなくなってきている。