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第370回:ベッセント氏 アベノミクスの時代は終わった

第370回:ベッセント氏 アベノミクスの時代は終わった

ベッセント氏は「15年近い景気刺激策で日本経済は強固となり、アベノミクスの時代は終わった」と話した

2026年8月6日日経新聞に『米、消費減税に疑問~透ける本音、日本国債売りも懸念』が報じられている。

『トランプ米政権は日本との円買い協調介入を「友情の証し」(トランプ大統領)と表現する。匿名で取材に答えたトランプ政権高官は日本の消費減税への異論と世界金利の上昇懸念を口にし、協調介入に踏み込んだ対日政策の本音を明かした。4日、日本経済新聞の単独インタビューに答えたベッセント財務長官は、1998年以来となる円買い協調介入の理由を「アジア通貨危機への波及懸念」と説明した。同盟国として日本.経済に援護射撃する狙いもある。米当局の懸念材料は日本円売りではなく日本国債売りにある。

米政府高官は「日本の金利は一種の世界のアンカー役だった」と語る。日本の金利上昇が世界市場の動揺を招き、主要国の長期金利がさらに上昇するリスクがあるという。米30年債利回りは19年振りの高水準になった。米高官はさらに「日本は(エネルギーなどの)輸入依存度が高く、円安がインフレを助長している」とも話した。

米当局の懸念は日本の円安とインフレの連鎖にある。物価上昇で日銀がさらなる利上げを余儀なくされ、利払い負担が膨らんで財政にも悪化圧力がかかって日本の金利がさらに上昇することを恐れる。世界市場の「アンカー役」の崩壊である。ベッセント氏は4日のインタビューで「15年近い景気刺激策で日本経済は強固となり、アベノミクスの時代は終わった」と話した。緩和的な金融政策や財政政策からの転換を促す発言だ。(途中略)』

先ず、この記事で注目すべきは、『ベッセント氏が「15年近い景気刺激策で日本経済は強固となり、アベノミクスの時代は終わった」』と話したことである。2011年の「日米協調介入」から始まった「アベノミクス」の時代は、円安転換によるデフレ脱却の時代で、今回の2026年の「日米協調介入」でそれが終焉し、米国は円安とインフレの連鎖で世界市場の「アンカー役」の崩壊を懸念しているのである。『日本との円買い協調介入を「友情の証し」』とのトランプ大統領の発言を真に受けている人は少ないと思うが、米国側は自国に金利高が波及することだけは避けたかったのである。

そして、今回は米国が日本政府に米国債を担保にして円買い介入のドル資金を融通する「FIMAレポ・ファシリティ」を活用する予定で、表向きは日本政府・日銀が弾切れを意識することなく、円買いドル売り介入ができるようにするためらしいが、本音は介入するドル資金調達のために米国債を売却して起きる米金利の上昇を避ける米国側の事情だろう。実は、米イラン情勢の緊迫やFRBの金融政策が後手に回ることへの懸念から、米10年債利回りは25年1月以来、米30年債利回りは07年7月以来の高水準に上昇しているためである。また、日本側のドル売り・円買いに合わせ、米国側は「ユーロ売り・円買い」という特殊なルートで協調介入に動いており、ドルの覇権(ドル高)を維持しつつ円安を牽制したいベッセント米財務長官の意図も見え隠れする。

実は、「ドルインデックス」は先週8月7日安値99.2と6月17日以来、約2ヵ月弱振りの水準にとどまっているが、本当のドルの価値を示すT-Model理論「ドルインデックス/NY金」は26年2月1.86と2011年8月3.67の当時の史上最安値の約半分にまで実質急落しているためである。約15年振りに実施された「日米協調介入」はこの「ドルインデックス/NY金」が史上最安値の点で2011年と共通していることから、「日米協調介入」の本当の理由はドル価値を維持して「ドル基軸通貨」を維持するために行われているのかもしれない。実は、2011年に記録した1ドル75円台の史上最高値に対し、2026年は約40年振りの歴史的円安水準、2011年の東日本大震災に対し、2026年の熊本地震、2011年の「アラブの春」に対し、2026年の米イラン戦争と、「ドルインデックス/NY金」が史上最安値を付けていた2011年と2026年に同じような現象が起きていることは偶然ではないかもしれない。

米商品先物取引委員会(CFTC)が8月7日公表した4日時点のシカゴ通貨先物市場の建玉報告によると、ヘッジファンドなど投機筋を含む「非商業部門」の対ドルでの円の持ち高は4万5473枚の売り越し。政府・日銀による為替介入で売り越しは介入前の7月28日時点16万3412枚は円キャリートレードが広がっていた2007年や24年に匹敵する歴史的なく水準で、そこから11万7939枚分、-72%減と一気に縮小、週間の変化幅としては、遡れる1992年10月以降で最大となった。今後の注目点は、この4万5473枚の円の売り越し持ち高がいつ円買い持ち高に転換するかだろう。先週、1ドル155.2円と4月末の単独介入時の26年5月安値155.01円以来に接近したものの、155円大台を割らずに目先の壁となってリバウンドに入ったことから、今後、この155円大台を割り込むと、更なる円高が進む可能性があり、その時に円買いポジションに転換するのではないだろうか。

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