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第373回:穀物相場と関係が深いトリプル安の恐怖
第373回:穀物相場と関係が深いトリプル安の恐怖
欧州熱波で小麦3年ぶり高値、黒海リスクに追い打ち
2026年8月28日日経新聞に『欧州熱波、穀物相場を直撃~小麦3年ぶり高値、トウモロコシ不作 黒海リスクに追い打ち』が報じられている。
『欧州を襲う熱波が農産物に影響を及ぼしている。小麦価格は急騰し、27日に3年ぶりの高値を付けた。フランスではトウモロコシが46年ぶりの不作となる見通しだ。ロシア・ウクライナ情勢が再び緊迫するなか、供給不足への懸念が広がる。
欧州は世界でも温暖化のペースが速いとされ、今年は各地で熱波が発生した。深刻な干ばつや森林火災も起きた。農林中金総合研究所の阮蔚理事研究員は「異常気象とエルニーニョの発生頻度や農業への影響は年々高まっている。大きな影響を受けたのが穀物相場だ。小麦は27日に一時1ブッシェル7.6ドル台と2023年7月以来、約3年ぶりの高値を付けた。25年秋には5年振りに5ドルを割り込んでいたが、今年に入り上昇基調が続く。
フランスやドイツなど世界有数の小麦産地で熱波と少雨の影響が懸念されている。フランスではトウモロコシも打撃を受ける。同国の農業・食料省によると、26年のトウモロコシ生産量は前年比35%減の900万トンと、1980年以降で最低の水準となる見通しだ。作付面積が減ったことも収量低下に拍車をかけた。ここ数年の肥料価格の上昇に対してトウモロコシ価格の上昇は限定的で、利益が見込めないとして別の作物に切り替える農家が増えたためだ。(途中略)
ロシアとウクライナの戦争長期化も影を落とす。米ブルームバーグ通信は26日、ロシアがウクライナとの和平交渉が行き詰まったとして、ウクライナの首都キーウや重要インフラへの弾道ミサイルの強化を検討していると伝えた。穀物輸送の要衡である黒海沿岸ではロシア・ウクライナ双方の穀物関連施設が被害を受けるなど攻撃の応酬が続く。(途中略)8月から年末にかけてウクライナとロシアは小麦輸出の最盛期を迎え、9月にはウクライナでトウモロコシの収穫も始まる。情勢悪化が続けば、大口バイヤーが他国産の調達にシフトする可能性もあり、世界の穀物市況にも影響しかねない。(途中略)』
8月の生活防衛の教室リアルセミナーでもご紹介したように、JPモルガンは8月17日、『Food Security Is National Security: A Compounding Storm』と題された報告書の中で、「5つのW」と表現する「戦争(War)、天候(Weather)、倉庫(Warehousing)、水(Water)、廃棄物(Waste)」を要因として、ホルムズ海峡周辺の混乱や歴史的な規模となる可能性のあるエルニーニョ現象の発生により、作物の収量が低下し、2027年上半期を通じて食料インフレが高止まりする恐れがあると警告した。米イラン戦争により、世界の肥料輸出の30%が通過するホルムズ海峡が閉鎖され、2月以降タンカーの航行量が95%以上減少、尿素肥料の価格は数カ月で20~60%上昇し、次の世界的な食糧危機がすでに形になりつつある可能性があると警告している。「新型コロナウイルス以降、相次ぐショックが重なり、食料生産能力を蝕み、2027年にかけて食料価格の上昇圧力を高めている」と述べ、世界の食料インフレ率が2026年上半期の2.8%から、来年上半期には5%へと加速すると予想している。
T-Model理論では、世界のフードプライスインデックスは過去、銅価格と連動してきたことを何度も指摘してきたが、現在は銅価格が過去最高値水準に上昇するなか、3割ほどフードプライスインデックスが出遅れた水準にとどまっている。27年上期に向けてこのギャップをキャッチアップするような急上昇が起こるかが注目される。また、穀物相場が過去最高を記録したのが、ロシアのウクライナ侵攻のあった22年3月だが、この穀物相場と関連が深いのが東京市場での株、債券、円の「トリプル安」。食料自給率の低い日本に穀物相場の急騰は大きなダメージを意味するからなのか。
日経新聞によると、日経平均株価と長期国債先物、日銀が公表する午後5時時点の円ドル相場で日次の値動きをみると、26年に入ってトリプル安は34回。1~8月としては比較可能な1998年以降で最も多い。これまでの最多は22年の27回、次いで24年の26回。足元26年を含め、急激な円安ドル高が進み、通貨防衛のため政府・日銀が円買い為替介入に動かざるを得なくなった年であることが共通している。つまり、26年が22年を上回る過去最多の「トリプル安」を示しているということは、22年に記録した史上最高のフードプライスインデックスを4年振りに更新する可能性を示唆しているのではないだろうか。穀物相場から目が離せない時期を迎えている。



