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第361回:円安阻止 日銀利上げ 円キャリー終了か?
第361回:円安阻止 日銀利上げ 円キャリー終了か?
『円安阻止には大幅利上げ必要、日銀臨時会合も排除せず-三菱UFJAM』
26年6月5日ブルームバーグニュースは『円安阻止には大幅利上げ必要、日銀臨時会合も排除せず-三菱UFJAM』を報じている。
『三菱UFJアセットマネジメントは、日本銀行が今月利上げしても円安や債券安の流れに歯止めがかからない恐れがあり、今後は大幅な利上げや臨時会合の開催もあり得るとみている。小口正之エグゼクティブ・ファンドマネジャーは「円安は25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利上げでは止まらない」と指摘。今後インフレが加速した場合には、1回の利上げ幅が50bpや75bpになる可能性もあるとの見方を示した。外部環境やファンダメンタルズ次第では、定例の金融政策決定会合以外での利上げの可能性も否定できないと言う。
イラン戦争がインフレを加速させるとの懸念から、円相場と日本国債に対する下落圧力は強まっている。オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場では今月の日銀による25bpの利上げが9割超織り込まれているものの、小口氏はそれだけでは市場心理の改善にはほとんどつながらないとみる。
小口氏は、日銀が今月利上げしても、ドル・円は170円程度まで上昇する可能性があり、「利上げしてもしなくても、金利は上昇しやすい」と話した。日本国債利回りは5月に数十年ぶりの高水準に上昇した。一方、円相場は政府・日銀が月次ベースで過去最大規模の為替介入を実施したにもかかわらず、今週対ドルで一時160円台に下落し、4月30日以来の安値を更新した。事情に詳しい複数の関係者によると、日銀は今月15、16日の決定会合で25bpの利上げを検討し、年内の追加利上げの可能性もあるという。
大幅利上げや臨時利上げは、エコノミストや投資家にとって大きなサプライズとなる。日銀が25bpを超える幅で政策金利を引き上げたのは、バブル経済期の1990年8月が最後だ。当時は75bpの利上げを実施した。98年の日銀法施行に伴い現在の定例会合制度が導入されて以降、会合日程外で利上げを実施した例はない。(途中略)』
5月19日ロイターは『ベセント米財務長官は19日、日銀の植田和男総裁は政府から十分な独立性を保証されれば「必要な措置を講じる」と確信していると述べた。米政府が日銀による利上げを望んでいる可能性が示唆された。ベセント長官はロイターの単独インタビューに対し「植田氏は優れた中央銀行総裁だ。必要なことを行う余地が与えられれば、優れた金融政策を実現すると確信している」と述べた。ベセント氏の今回の発言は日本の金融政策の成否が、日銀の自由度を高市政権がどの程度確保するかにも左右される可能性を示唆した。また、必要に応じた政策引き締めを容認するよう、米国が日本に働きかけたている可能性も浮かび上がった。』と報じている。
5月生活防衛の教室リアルセミナーでは、何故、ベッセント米財務長官が来日したかの意味を考察した。
『日本は円に4月30日、5月1日、5月4日、5月6日の4度介入。合計720億ドルを費やしたが、円は回復しない。日本銀行は、円の下落を続けるか、金利を引き上げ、円を強くするか、の二つの選択肢しかない。ベッセント財務長官は後者を勧めているようだが、それは30年間、安いお金を提供してきた「円キャリートレード」を一旦、終わらせることを意味するが、何故だろうか。
仮に、米国が協調しなければ、 円はより速く下落し、日銀は金利を引き上げあげざるを得なくなる。その場合、「円キャリートレード」の巻き戻しが一気に起き、 「円キャリートレード」のシステム事態が崩壊する可能性がある。
2026年は米国債務39兆ドルのうち、約10兆ドルの借り換えをしなければならず、ベッセント財務長官は「円キャリートレード」のシステムを生き残させて、米国の債券市場を守ろうとしたのだろう 。イングランド銀行は270億ポンドの準備金を1日で使い果たし、ポンドは1日で15%下落した1992年の「ポンド危機」の経験者からなのかもしれない。』と指摘した。
5月セミナーでは、『円の下落を続けるか、金利を引き上げ、円を強くするか、の二つの選択肢』と指摘したが、冒頭の記事には、『今月利上げしても円安や債券安の流れに歯止めがかからない恐れがあり、今後は大幅な利上げや臨時会合の開催もあり得る』と利上げすることは勿論で、利上げ幅を拡大しないと円安は止められないと、事態はさらに悪化していることを示唆している。市場では今月の日銀による25bpの利上げが9割超織り込まれていても円安が止まらないのは、日銀は「ビハインド・ザ・カーブ」に陥りかけているためで、最終的に『今後インフレが加速した場合には、1回の利上げ幅が50bpや75bpになる可能性もある』と指摘している。
日銀の金融政策決定会合のスケジュールは、6月15日・16日、7月30日・31日だが、6月に政策金利を引き上げないと投機筋に円安を仕掛けられ、急激に円安が進むリスクがある。
ちなみに、過去、日銀が政策金利を引き上げると株価は急落している。
・2024年第3四半期(24年7月31日)~日銀が0%→0.25%に利上げし、日経平均は「令和のブラックマンデー」で-26%急落(7月高値42426円→8月安値31156円)。
・2025年第1四半期(25年1月24日)~日銀が0.25%→0.5%に利上げし、日経平均は「トランプ関税ショック」が重なり、25年1月高値40288円から4月30792円まで-23%急落。
・2025年第4四半期(25年12月19日)~日銀が0.5%→0.75%に利上げし、高市総理が10月21日に誕生したせいか、日経平均は25年11月高値52636円→12月安値48643円と-7%急落でとどまった。
実は、日銀の利上げで株式よりも敏感に反応していたのが『ビットコイン』。2024年7月に引き上げで26%下落。 2025年1月に引き上げで31%下落。 2025年12月に引き上げで約30%下落している。 最も注目すべきは最後の利上げ局面で、日本は25年12月19日に金利を引き上げたが、ビットコインは10月6日に12万6000ドルで史上最高値を記録した後、下落を始めて11月21日安値80697ドルまで35%急落してボトムを付けている。そして、予想されていた 12月の利上げが実施された12月19日のビットコインの安値は85155ドルと11月の安値を下回らず、その後、26年1月14日高値97838ドルまで約2割反発した。つまり、ビットコインは日銀の利上げ前に既に織り込み済みだったということである。今回も25年12月と同様、日銀の利上げを織り込んで6万ドル大台割れまで急落した可能性があり、一旦は反発することが予想される。
ただ、以前から指摘してきたようにビットコインの「4年サイクル」から分析すると、ボトムは今年9月頃と見ており、仮に、一旦、反発しても再度、下落する可能性があることには警戒が必要だろう。世間の注目はハイテク株、原油、中東情勢に集まっているが、最も注目すべきは「円」ということになるのではないだろうか。日本政府は正念場を迎えている。



