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米長期金利が年明け 2年ぶり高水準で「金利ショック」の年を示唆?


米長期金利が年明け 2年ぶり高水準で「金利ショック」の年を示唆?

2022年1月8日日経夕刊に『米長期金利、一時1.8%台 2年ぶり高水準に~失業率改善で』が報道されている。

『7日の米債券市場で長期金利の指標になる10年物国債利回りが上昇(価格は下落)し、一時1.8%台を付けた。新型コロナウイルスの感染拡大前の2020年1月以来2年ぶりの高水準になった。同日発表の21年12月の米雇用統計で失業率が大きく下がり、米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締め方針は変わらないとみた投資家の国債売りが一段と広がった。

朝方発表の雇用統計は景気動向を映す非農業部門の雇用者数が前月比19万9000人増と市場予想の増加幅(42万人程度)を下回った。ただ失業率は3.9%と前月から0.3ポイント下がり、市場予想(4.1%)を超える改善ぶりをみせた。平均時給の伸びも予想を上回った。「労働需給は非常に引き締まっており、FRBは3月に利上げを始める」(JPモルガンのマイケル・フェローリ氏)との声が広がっている。

7日には米サンフランシスコ連邦準備銀行のデイリー総裁が利上げの開始後、比較的早期に国債などの保有資産の縮小に着手する可能性を示した。FRBが「量的引き締め」に前向きと改めて受け止められ、国債需給の悪化を意識した売りにつながった。前回、長期金利が1.8%台だった20年1月はFRBがコロナ対応の金融緩和を始める前で、短期金利の指標となるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標の下限は1.5%だった。現在はまだコロナ後に始めたゼロ金利政策が続くが、市場は今後の急ピッチの金融引き締めを織り込んでいる。7日の米株式市場では金利上昇に敏感なハイテク株中心のナスダック総合株価指数が前日比1%下げた。』

冒頭の記事では、今回の米長期金利の理由を「21年12月の米雇用統計で失業率が大きく下がり、米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締め方針は変わらないとみた投資家の国債売りが一段と広がった。」と指摘するが、本当の理由は、1月5日公表した昨年12月14-15日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)会合の議事要旨で、従来想定されていたよりも早いペースで利上げ・バランスシート縮小を実施する可能性が示唆されたことだろう。特に、「国債などの保有資産の縮小」については市場は敏感で、7日の米サンフランシスコ連邦準備銀行のデイリー総裁の「利上げの開始後、比較的早期に国債などの保有資産の縮小に着手する可能性」を示したことが債券売りのきっかけをつくったかたちである。

2021/10/18『5年債利回りの上昇がすでに始まった』のT―Modelコラムにおいて、

『FRBは11月2日~3日のFOMCで量的緩和縮小(テーパリング)の開始を決める予定だが、インフレ警戒がより強まれば、22年半ばのテーパリング終了後の利上げ時期を早める可能性がある。そのためか、中短期債利回りの上昇圧力が強まっており、10月18日の米債券市場で10年債利回りが1.605%(前日比+0.029%)に上昇するなか、2年債利回りは0.421%(同+0.020%)、5年債利回り1.168%(同+0.046%)と中期債は長期債利回りを上回る上昇となっている。一般的に2年債利回りは政策金利に連動し、10年債利回りは市場の先行きの景況感を映すが、中期債はその間というところだろうが、17年~18年の債券利回りの推移では、まず5年債利回りから上昇が始まり、10年債利回り、30年債利回りと波及していく。今回も5年債利回りが今年3月ピークを更新しており、17年~18年と同様ならば、次は10年債利回りの3月ピーク突破ということだろう。それがいつになるかが最大の注目点であると同時に、その時点から債券市場、株式市場に動揺が始まる可能性が高いだろう。』と指摘した。

今回の米長期金利の上昇には2つの点で注目しなければならない。その一つが同コラムで指摘したピークである昨年3月15日週1.73%(終値ベース)を更新したことである。22年1月3日週1.77%(終値ベース)で、「その時点から債券市場、株式市場に動揺が始まる可能性が高いだろう。」との予告通り、米国の株式市場が急落した。NYダウは昨年12月6日高値36189ドル→12月20日安値34665ドルまで2週間で-1524ドル幅(-4.2%)の急落を演じたが、当時は米長期金利が低下する中での株価急落であったのに対し、今回は米長期金利が上昇するなかでの米国株価の急落であるという点がもう一つのポイント。つまり、前者はリスク資産の株式から安全資産の債券にマネーがシフトしたアセットアロケーションの動きであったのに対し、今回は「株安・債券安」と金融市場からマネーが流出、「信用収縮」というバブル崩壊の兆候が表れたことを意味するからである。

更なる米長期金利の上昇でそれは明確になるだろうが、次のターゲットはコロナ前の19年11月4日週1.95%。それを更新すると、次は18年10月3.23%と3%台のピークを目指すのではないだろうか。

2022年1月5日日経夕刊『金利、荒い値動きの予感』において、『米投資ファンド大手ブラックストーン・グループのバイロン・ウィーン氏による22年の「びっくり予想」の一つは、10年債利回りが2.75%まで上昇するというものだ。バンカメのマイケル・ハートネット氏は22年は「金利ショックに見舞われるだろう」として、金利の動きが株式市場にマイナスに作用すると身構える。金利に関するヘッドライン(ニュースの見出し)への注目が高まる。』と指摘するが、私やこの二人のように今年の金利上昇を指摘する市場関係者はまだまだ少数意見。市場関係者の多くは「金利が上昇しても株も上昇」といった期待とも言うべき楽観的見通しを続けている。このような根拠なき楽観的見通しを続ける市場関係者が弱気に傾くときにようやく米国の株式市場は底入れの段階を迎えると予想されるが、それは米国長期金利がどこまで上昇したときになるのだろうか。2022年は「金利ショック」の年であることを忘れないことである。

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