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200日移動平均を一時、下回ったナスダック総合株価指数は何を示唆しているのか?


200日移動平均を一時、下回ったナスダック総合株価指数は何を示唆しているのか?

2022年1月15日日経夕刊に『FRB利上げ、軟着陸なるか』が掲載されている。

『米連邦準備理事会(FRB)の過度な金融引き締めが景気後退を招くとの懸念が強まっている。20世紀後半の景気拡大はすべて金融引き締めがつぶしてきた教訓を21世紀に生かせるか。金融引き締め懸念の直撃を受けているのが高いバリュエーション(投資尺度)が目立つハイテク株だ。ナスダック総合株価指数は年初来で5%安。14日は長期的なトレンドを示す200日移動平均を一時、下回った。ハイテク株投資で有名な上場投資信託(ETF)のアーク・イノベーションは2021年2月に付けた上場来高値から5割安い。

FRBが保有資産を縮小する量的引き締め(QT)の前倒し観測が高まっている。今回の株高は新型コロナウイルス対応のバランスシート拡大で始まった以上、縮小開始とともに終わるとのロジックだ。パウエルFRB議長は11日、QTに関して「年後半に始めるだろう」と述べた。同時に決定は今後2~4回の会合で行うとも示唆。額面通りに受け取れば最短2回の会合で決定する可能性がある。1月後半の米連邦公開市場委員会(FOMC)の次となる3月に決まれば、開始は年前半になる可能性が高い。7月決定・8月開始をメインシナリオとする米国野村証券の雨宮愛知氏も「3月や5月決定の前倒しリスクが高まっている」と指摘する。こうした不透明感の高まりは株式市場の変動率を高め、持ち高調整の売り圧力を強める。

(途中省略)

エバコアISIのエド・ハイマン氏は1980年代以降の景気拡大はFRBの金融引き締めによる長短金利の逆転(逆イールド)で幕を閉じたと説明する。戦後最短の20年の景気後退だけはパンデミック(感染症の世界的流行)が要因で、次の景気後退は再び逆イールドがもたらすと懸念する。逆イールドは金融引き締めに経済が耐えられず、それ以上に引き締めが続くと市場が見込む時に表れる。金融機関の経営は不安定となり、融資減少などに伴い景気後退につながる。パウエル氏はFRBが計画する利上げは景気悪化につながらず、経済の軟着陸を想定する。20世紀後半と同じ轍(てつ)を踏まないよう、逆イールドを生まない準備もしているはずだ。』

T-Modelでは、米国株式のバブルを計る一つの指標として『NASDAQ指数/NYダウ』倍率を提示してきた。冒頭の記事にあるように「金融引き締め懸念の直撃を受けているのが高いバリュエーション(投資尺度)が目立つハイテク株だ。ナスダック総合株価指数は年初来で5%安。」と指摘するように、NYダウに比べてナスダック総合株価指数の下落が大きくなることで、同指標は直近22年1月10日週0.41倍と、21年11月15日週0.45倍からはピークアウトの兆しが表われている。

歴史的には、ITバブルの2000年3月0.51倍以来の高水準で、現在がバブルに近い状況であることを示唆しているが、当時は同指標が下落する過程でNASDAQ指数も2000年3月ピーク5048→02年9月ボトム1139まで-77%の大暴落となったことは記憶に新しい。同指標の水準からみると、2000年のような大暴落に発展する可能性は十分にあり、そのシグナルの一つは2021年5月10日週0.39倍を下回ることだろう。

冒頭の記事を読まれて、「あれ?」と思われた生活防衛の教室のリスナーの方も多いかもしれないのは、『戦後最短の20年の景気後退だけはパンデミック(感染症の世界的流行)が要因で、次の景気後退は再び逆イールドがもたらすと懸念する。逆イールドは金融引き締めに経済が耐えられず、それ以上に引き締めが続くと市場が見込む時に表れる。』との指摘で、世間では『逆イールドは金融引き締め』と未だ考えられている証拠だろう。

セミナーや著書で何度も指摘してきたように、T-Modelオリジナルの考え方では、『逆イールドは金融緩和の極み』と真逆の考え方であり、このように多くのの市場関係者とT-Modelの考え方の違いが、間違った金融政策を今後、行せる原動力になるのではないかと考えている。20年のコロナショックで行ったFRBの2度の緊急利下げのようにである。

さらにもう一つ指摘しておかなければならないポイントは、『戦後最短の20年の景気後退だけはパンデミック(感染症の世界的流行)が要因』の指摘で、現在はその20年のボトムから「景気拡大局面」に入っていると考えている点である。T-Modelオリジナルの『イールドスプレッド』の観点では、現在は19年8月の「逆イールド」後の景気後退局面が一服しているだけで、再び、『イールドスプレッド』が21年3月15日週1.58%を超えると、19年8月の「逆イールド」後の景気後退局面が再開すると考えている。つまり、多くのの市場関係者とT-Modelの『イールドスプレッド』の考え方の違いがT-Modelとは異なる金融政策を行う可能性を指摘したが、そのどちらが正しいのかは、今回のバブルが崩壊した後でないと判断はできない。ただ、それを待っていると、パフォーマンスを大きく左右する投資家だけでなく、多くの人々の生活を左右することになるのではないだろうか。それだけ大きなバブル崩壊が待ち受けているからである。

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