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調達通貨円からスイスフランにドル円の行方
調達通貨円からスイスフランにドル円の行方
「キャリー取引」の調達通貨が円からスイスフランに変わると、ドル円は?
2024年12月6日日経新聞に『円キャリー 猛威緩和の兆し~スイスと金利逆転観測 フランシフトが加速か』が報道されている。
『金利差収益を狙う「キャリー取引」に変化の兆しがある。調達通貨として円ではなく、スイスの通貨フランが選ばれつつある。背景にはスイス国立銀行(中央銀行)が
金融緩和を進め、近い将来にスイスの政策金利が日本を下回るとの観測がある。猛威を振るった円キャリー取引に伴う円売りが和らぎそうだ。
キャリー取引は低金利の通貨を調達し、高金利の通貨を買って運用することで金利差収益を得る手段だ。調達通貨は売られ通貨安要因となる。キャリー取引では短期資金を借り換えていくため、調達コストは短期金利の行方に左右される。伝統的に低インフレの日本とスイスの通貨は低金利通貨としてキャリー取引の調達通貨とされてきた。足元では投機筋によるフラン売りが増えている。
フラン売り加速の背景にはスイス中銀の利下げが続くとの思惑がある。スイス中銀はインフレ鈍化に伴い、政策金利をピークの1.75%から3会合連続で引き下げ1%にした。(途中略)仮に日銀が12月に0.25%利上げし、スイス中銀が0.5%利下げすれば、政策金利が0.5%で並ぶことになる。その先も、スイスは利下げを継続し、政策金利は0%前後に向かうとの観測が強い。一方、日本は1%近い水準までの利上げが予想されている。(途中略)
今後は、キャリー取引のフランシフトが進んでいくとみられ、円への売り圧力は和らぐ可能性がある。外為市場での2025年のトレンドは、フラン売り・ドル買いのキャリー取引になるとの見方が強い。(途中略)』
この記事を裏付けるようなデータが先週、発表された。それは「ドル円の投機筋ポジション」が6週間振りに12月6日週2334枚の「円買いポジション」と、再び円買いに転じ、ドル円のリバウンド終了サインが点灯したことである。
ドル円が7月3日に161.9円と34年振りの円安水準に進む過程で、「ドル円の投機筋ポジション」は2024年7月1日週-18.4万枚と、過去最高水準の「円売りポジション」まで積み上がったが、2007年6月25日週-18.8万枚と、同様の過去最高水準まで「円売りポジション」が積み上がった07年と同じような推移を辿り始めていることをセミナーなどで予告してきた。当時の
ドル円相場を振り返ると、2007年6月15日週123.43円→2008年3月24日週99.19円→8月4日週110.16円と、「円キャリートレード」巻き戻しによる急激な円高後、8月4日週110.16円まで+11.0%(+10.97円幅)の大きなリバウンドが起き、その後は、09年2月2日週+5.05枚の「円買いポジション」まで再び「円買い」となる過程で、ドル円は08年12月15日週89.08円と、リバウンド局面ピークとなった08年8月4日週110.16円から-19%(-21.08円)の円高となって「リーマンショック」が起きている。
今回も7月3日に161.9円→9月16日140円→11月15日156.7円と、「円キャリートレード」巻き戻しによる急激な円高後、11月15日156.7円まで同じ+11%(+16円幅)のリバウンドが起きている。今後も同様の動きになると仮定すると、リバウンド局面ピークとなった11月15日週156.7円から-19%(-21.08円)だと約127円までの円高となって「〇〇ショック」が起こることを示唆していることになる。来週12月18日~19日の次回金融政策決定会合で「追加利上げ」が行われて「円キャリートレード」巻き戻しが再び、始まる可能性があるが、今後は日銀だけでなく、スイス中銀も注目すべき時期を迎えている。