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4月景気ウォッチャー調査T-Model理論で分析〇〇ショック直前?
4月景気ウォッチャー調査T-Model理論で分析〇〇ショック直前?
2022年7月以来、約3年弱ぶりの低水準に落ち込んだ「2025年4月景気ウオッチャー調査」
内閣府は25年5月12日、「2025年4月景気ウオッチャー調査」を発表。同指標は株価の1~2ヶ月先行指標で政府統計では最も有効。
2025年4月「街角景気」の「現状判断DI」は前月比-3.2%Pの44.6%(原数値)と2か月振りに悪化。ただ、実態を示す前年比ベースは-5.6%と15ヵ月連続でマイナス圏に陥り、水準も景気の別れ目となる50%を12か月連続で割り込み、2022年7月以来、約3年弱ぶりの低さである。「米国の関税政策に伴う金融市場の混乱もあり、金融資産を保有する富裕層の客が高額品を購入する際の決定率が悪くなっている(百貨店)」「新車販売が鈍化している。供給の正常化で受注残が減っており、物価高による車両やガソリン価格の高騰なども影響して、新車受注が落ち込んでいる(乗用車販売店)。」など物価高騰や米国の関税問題による各種混乱の影響が強く出ている。尚、メディアでは、2016年10月分から発表を開始した「季節調整値」を使用しているが、現状判断DIは前月比-2.5%Pの42.6%と4か月連続で悪化、景気の別れ目となる50%を14か月連続で下回り、原数値と傾向は変わらない。25年1月に「季節調整値」は「原数値との水準が多少乖離している。」と指摘しましたが、2月で修正されて原数値に近づいています。また、2024年2月に「驚いたのは、24年1月分から現状判断DIを23年9月49.9→50.7、10月49.5→50.7、11月49.5→50.8と突然50以上に上方修正していたこと。50以下では不都合があったのだろうが、これは改ざんに近く、色々な統計でこのようなことが行われている可能性には注意が必要だろう。」と指摘したが、24年12月「景気ウォッチャー調査」も、24年7月48.3→8月50.3→9月49.7→10月48.3→11月49.4→12月48.8は、25年1月「景気ウォッチャー調査」で、8月48.9→9月48.0→10月47.0 →11月48.6 →12月49.0 に全て変更され、益々統計の信頼性は失われている。
T-Modelにおいて「景気判断」に最も重要なのは移動平均との乖離幅で、24年6月-1.8%→7月-0.9%→8月-0.6%→9月-0.5%→10月-0.9%→11月+0.5%→12月+1.0%→25年1月-2.0%→2月-1.9%→3月+0.8%→4月-2.1%と推移。2か月振りにマイナス圏に陥り、景気後退は始まったことを示唆する。尚、内閣府は25年4月基調判断「このところ回復に弱さが見られる」に下方修正、2月に下方修正した基調判断「景気は、緩やかな回復基調が続いているものの、このところ弱さがみられる」を2ヵ月振りに変更した。据え置いている。
2─3カ月先を見る「先行き判断DI」は前月比-3.2%Pの43.4%と2ヵ月連続で悪化。実態を示す前年比ベースは-5.9%Pと、14ヵ月連続でマイナス圏、かつ今1月からはマイナス幅が拡大している。また、景気の別れ目の50%も13ヵ月連続で割り込み、2022年7月以来、約3年弱ぶりの低さである。「10月までの大阪・関西万博の開催期間中は、来客数が高水準で推移することが期待される。各商品の値上げの動きとあいまって、売上は好調な推移となりそうである(コンビニ)。」「様々な物の価格高騰や米国の関税問題による先行きの不透明感などから、節約意識がますます高まる(スーパー)。」「米国政権の関税引上げの影響により、今後の受注減少や取引先からの値下げ圧力を懸念する声を聞く(繊維工業)。」など大阪・関西万博効果に期待があるものの、物価上昇、特に食料品や燃料費の価格高騰が大きな影響を与え、さらに、米国の関税問題への不安感も大きなマイナス要因となっている。尚、「季節調整値」は前月比-2.5%Pの42.7%と5ヵ月連続で悪化。景気の別れ目となる50%を24年8月に1か月だけ5か月振りに上回ったが、再び8ヵ月連続で50%割れと、原数値とほぼ同様で違和感はない。ただ、「現状判断」と同様、24年12月「景気ウォッチャー調査」では、24年7月48.3→8月50.3→9月49.7→10月48.3→11月49.4→12月48.8は、25年1月「景気ウォッチャー調査」では、8月50.2→9月49.5→10月48.7→11月49.8→12月49.4(←25年1月48.0)、と全て変更されており、統計の信頼性は失われている。
また、T-Model理論『「先行き判断DI」-「現状判断DI」』は、24年6月+1.9%P→7月+0.3%P→8月+0.9%P→9月+1.6%P→10月+1.4%P→11月+0.2%P→12月-2.1%P→25年1月+2.4%P→2月+3.3%P→3月-1.2%P→4月-1.2%Pと、2ヵ月連続でマイナス圏に陥っている。同指数は24年はプラス圏の月が増え、25年はそれが定着して正常化が進展するかに見えたが、2ヵ月連続マイナス圏で再び先行き不安が出始めている。『「先行き判断DI」-「現状判断DI」』がマイナス圏に陥ることは、「先行き」に期待が持てない状態を示しており、24年3月~4月まで「2ヵ月連続」、23年が23年7月~12月まで「6か月連続」、22年が22年3月~7月の「5か月連続」、22年9月~12月の「4か月連続」、とコロナの影響が徐々に減少してきていたが、新たな「先行き」不安要素が表れてきた兆候として注目される。
一方、関東地区の先行きDI(家計関連)は前月比-3.6%P の43.4%と2か月連続で悪化。実態を示す前年比ベースでは-6.2%Pと7ヵ月連続で悪化している。景気の別れ目の50%を24年9月以降、8か月連続で50%割れとなり、2022年7月以来、約3年弱ぶりの低さである。また、全国先行きDI(家計関連)43.4%であることから、関東地区と全国は同水準。その結果、「関東-全国の差(移動平均ベース)」は、24年6月-0.1%→7月+0.2%→8月+0.3%→9月+0.6%→10月+0.6%→11月+0.5%→12月+0.7%→25年1月+0.6%→2月+0.2%→3月+0.2%→4月+0.1%と推移し、24年12月+0.7%の過去最高水準からはピークアウトしている。同指標は関東地区が地方に比べ世界の金融危機に左右されやすい経済構造になっていることを利用して発見したT-Modelオリジナル理論。過去、07年の「サブ・プライムローン問題」、08年の「リーマン・ショック」、11年「欧州債務危機」、15~16年の「チャイナ・ショック」、2020年「コロナショック」など世界的な金融危機の局面で大きく悪化していたが、逆に、現在は「○○ショック」直前の楽観的状態と言えるだろう。これまで同指標は世界的な金融危機が水面下で起き続けていることを示唆してきたが、過去最長の連続「逆イールド」や「円キャリートレード」を膨らますことで「人工的円安」を作り、日米の株価を上昇させることで、逆に、金融危機など起こらないような楽観的状況を作り出してきた。実は、過去、「円キャリートレード」が膨らんだ98年に「LTCM危機」「ロシア危機」が起こり、07年は「パリバショック」が起こり、08年「リーマンショック」に繋がった。そして、24年7月から始まった「円キャリートレード」の巻き戻しは「令和のブラックマンデー」を起こしたが、これは一過性の混乱ではなく、今後、何度も起こる可能性のある「混乱」の始まりに過ぎない。4月に入ってからの「トランプ関税ショック」はそのきっかけで、今後、世界の金融市場に内在する深刻な構造的問題を浮き彫りにすることだろう。3月3日にトランプ米大統領は「中国とともに日本が通貨安誘導してきた」と問題視する発言して、「人工的円安」を暴露したが、「(関税はそれに)迅速かつ効率的に公平性をもたらす」ために導入すると強調した。関税と為替をリンクさせるところがポイントである。
また、T-Model理論の同指標は10ヶ月先の日本の株式市場を占う上でも重要な指標。同指標は22年11月を戻りのピークに、23年4月-1.9%と、過去最悪だった12年12月-2.1%に迫る水準まで急落。19年7月ピーク+1.2%→20年4月ボトム-1.6%、20年11月ピーク+0.7%→21年6月ボトム-1.6%と同様に、コロナショック以降、3度目の「危険な時間帯」が続いていたが、前述の通り、「円キャリートレード」による「人工的円安」と「逆イ―ルド」による金融緩和策で日米の株価を吊り上げる不自然な「株価操縦」によって危機を覆い隠してきた。だが、24年7月に起きた「円キャリートレード」の巻き戻しによる円高進行に加え、「10年債-2年債」の連続「逆イ―ルド」が週足ベースでは22年7月1日以来、114週(約2年2ヵ月)振りに途切れたこと、さらに最後までしつこく利用してきた『10年-3か月』の「逆イールド」が24年12月13日遂に解消、不自然な「株価操縦」も最終段階に入った可能性が高い。特に、『10年-3か月』の「逆イールド」は22年10月26日から始まって「連続767日」と、「1930年大恐慌」前夜に記録したこれまでの過去最長記録「連続700日」を大きく上回って終了したことで「1930年大恐慌」の時期を超える大きな「歪」が金融市場に溜まっていることを意味することから、『令和の「大恐慌」』というかたちでそのツケを払わさられる近未来が我々に待ち受けている。そして、その混乱は2030年頃まで続くことになるが、我々にその「覚悟」が出来ているだろうか。因みに、上院・下院、州知事、大統領、最高裁を共和党が同時に支配しているのは1928年以来であることも偶然の一致ではない。
日経平均が「令和のブラックマンデー」で付けた安値24年8月31156円を「トランプ関税ショック」で25年4月11日週安値30729円まで急落して僅かながらも約9ヵ月振りに安値を更新した。これは「バブル崩壊」の始まりを示唆したかたちだが、「まだ暴落ではない」と何度も強調してきた。実際、25年4月11日週安値30792円後、5月16日週高値38494円まで+25.0%(+7702円)と大幅反発し、昨年の「令和のブラックマンデー」時の24年8月9日週安値31156円後、9月6日週高値39080円まで+25.4%(+7924円)反発とほぼ同じ幅と率の反発を実現したことからも明らかだろう。今回の株価急落を多くの市場関係者は「暴落」と呼んでいたが、これはリーマンショック以降の不自然な「株価操縦」で株価を吊り上げられてきたことを理解していないためで、そのような人々の楽観的見通しとは今後、ことごとく反対に動く可能性が高いのではないだろうか