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『金と銀、価格差88倍に拡大』


『金と銀、価格差88倍に拡大』

2024年1月12日日経新聞に『金と銀、価格差88倍に拡大 10カ月ぶり水準~「安全資産」、中東緊迫で需要/産業向け、景気減速を懸念』が報じられている。

『代表的な貴金属である金(ゴールド)と銀(シルバー)の価格差が拡大している。産業用の需要が大半の銀の価格が景気減速懸念で低迷し、地政学リスクなどを背景にマネーが流入する金に見劣りしてきた。金の価格を銀の価格で割った「金銀比価」は88倍台に拡大し、約10カ月ぶりの価格差に広がった。貴金属市場では金と銀の関係を示す一つの指標として金価格を銀価格で割った「金銀比価」が使われる。足元の金の国際価格は1トロイオンス2030ドル前後と銀(同23ドル程度)の88倍台だ。4日には88.7倍と23年3月以来、約10か月振りの水準に拡大した。(途中略)

金銀比率が意味するものは銀の割安さではなく「金の割高さ」との指摘もある。足元の金のNY先物は1トロイオンス2030ドル前後で推移する。23年12月に2100ドルを突破し、史上最高値を付けた。米国が金融引き締めを進め、ドルの金利が上昇するなかでは金利の付かない金への売り圧力が強まっていたが、利下げへの転換観測から金が買われやすくなっている。中東情勢など地政学リスクから「安全資産」としての需要が高まっている。(途中略)

銀と異なり、金の買い手として中央銀行の存在が高まっている点も大きい。金の国際調査機関ワールド・ゴールドカウンシル(WGC)によると23年1~9月累計の純購入量は約800トンと同期間で過去最高だった22年を上回る。新興国の中央銀行がドル離れを進め、金を購入する動きが目立つ。中央銀行は外貨準備の一部として金を長期で保有する傾向があり「中銀の買い」が金の下値を支えている(途中略)』

拙書『そしてフェイク経済の終わりが仕組まれる』(18年3月発行)の第7章『先行指標を探しだせ!』のP193『危険領域となる「Gold・Silverレシオ」80超え』において、

『本物の危機かそうでないかを見分ける方法を、私はかねて皆さんに提示してきた。その1つが「Gold・Silver(NY)レシオ」である。1986年から経緯をみてみると、同レシオが80を超えてくると危機が起きることがわかる。2016年2月時点では82.3であったが、15年夏から起きたチャイナ・ショックを表している。そして、2017年7月76.9まで再度上昇し、危機的状況に近づいていることがわかる。

「Gold・Silverレシオ」が突出して上昇するとき、経済危機が発生するとともに、不思議なことにパンデミックが重なってくるので要注意だ。とにかくわれわれは「Gold・Silverレシオ」が現時点で危険領域に入っても不思議ではないことを意識すべきだ。そして、80を超えてきたときにそれでも抑えられるかどうか、大丈夫なように見せかけている人たちがコントロールできるか、それが見ものである。』と指摘した。

冒頭の記事で注目すべきは『4日には88.7倍と23年3月以来、約10か月振りの水準に拡大』という点である。23年3月とは、米国でシリコンバレーバンク、シグニチャーバンクが破綻、スイス最大手のUBSが第二位のクレディスイスを実質救済合併と金融危機が起きていた時期で、当時の「ゴールドシルバーレシオ(金銀比率)」の90に、現在、近づいている。つまり、金融危機が水面下で近づいていることを示唆する。また、コロナショック時の20年3月118倍、22年8月96倍、23年3月90を結んだ上限ラインを超え始めたということは金融危機がスタートしていることを示すと同時に、リーマンショック時に記録した08年10月91倍がコロナショック以降、常態化し始めている。それだけ、金融危機が常態化し、いつ起きてもおかしくないことを同指標が示している。過去、同指標と米国株は逆相関の関係にあったが、直近は大きく乖離していることは不思議だろう。

また、冒頭の記事でもう一つ注目すべきポイントは『23年1~9月累計の純購入量は約800トンと同期間で過去最高だった22年を上回る。新興国の中央銀行がドル離れを進め、金を購入する動きが目立つ。中央銀行は外貨準備の一部として金を長期で保有する傾向があり「中銀の買い」が金の下値を支えている』という点である。22年2月のロシアのウクライナ侵攻で西側によるロシアへの経済制裁から新興国の中央銀行が外貨準備の一部として金を長期保有、「ドル離れ」を進めていることも上述の「金銀比率」を上昇させている。新興国の「ドル離れ」が金融危機を醸成している訳で、2024年1月1日にサウジアラビア、エジプト、アラブ首長国連邦、イラン、エチオピアの5か国が正式にBRICSのメンバーとなったことから脱「ペトロダラー(Petrodollar)」体制が進む見込み。この「ドルインデックス」を巡る攻防が今後も「自然災害」を起こすだけでなく、「戦争」にまで発展させる引き金として危惧される。直接関係があるかは分からないが、「ドルインデックス」が史上最安値を付けた2011年に「東日本大震災」、また当時の史上最安値だった1995年も「阪神・淡路大震災」が起きていており、また、2023年12月28日安値100.61と「100大台割れ」目前まで下落した途端、1月 1日に震度7強の能登半島大地震が起きたことには驚かされる。1月元旦からの不思議な事件の数々は2024年に何が起きてもおかしくないことを示唆する。

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