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『FRBを悩ます弾不足』は正しい?

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『FRBを悩ます弾不足』は正しい?

2019/9/7日経夕刊に『FRBを悩ます弾不足』が掲載されている。

『6日のダウ工業株30種平均は3日続伸し、一時は2万6860ドルと7月に付けた過去最高値まであと1.8%に迫った。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長がスイスで「景気拡大を続けるため適切に行動する」と追加利下げを示唆し、買い安心感が広がった。パウエル氏は「FRBは(市場の)金利見通しを押し下げるように対応し、米経済を支えてきた」と自らの政策運営を自賛した。米中貿易摩擦が企業の投資意欲を冷やしていると懸念しつつ「我々の道具を使って対応する」と政策面で支援する考えを強調した。6日朝に発表された8月の米雇用統計も市場の利下げ期待を補強する内容だった。景気を映す非農業部門雇用者数は前月比13万人増と市場予想(16万人)を下回った。50年ぶりの低水準にある失業率は3.7%で前月と同じ。雇用は好調を続けつつも徐々に勢いが鈍っており「利下げ方針は変わらない」とみなされた。企業収益の減速、米中の貿易摩擦と株式市場には逆風が吹く。その中で株価が再び過去最高値を視野に入れているのは、市場に優しいFRBの対応を期待しているからだ。JPモルガン・チェースのエコノミスト、マイケル・フェローリ氏は「年内3回ある米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%ずつ利下げする」と予想する。

しかし、FRBを悩ます政策の「限界」も頭に入れる必要がある。政策金利のフェデラルファンド(FF)金利は現在2.0~2.25%。1回の利下げを0.25%とすれば8回で弾は尽きる。年内に3回実施すれば残りは5回だ。戦後最長の11年目に入った景気拡大期が終盤に差しかかっているとすれば、中央銀行の弾薬庫としては心細い。利下げが無理なら量的緩和策があるが、再導入は難しい。長期金利が低下し、利回り曲線が平たん化している状況では「長期債を買って企業の借り入れコストを減らすという量的緩和の目標は機能しない」(バンクオブアメリカ・メリルリンチの金利ストラテジスト、マーク・カバナ氏)ためだ。長期債を買って、短期債を売る「ツイストオペ」も意味がなくなる。世界的な金融危機に対応し、09年にFRBが量的緩和第1弾(QE1)を導入した際は10年債と2年債の利回り差は2%あった。手詰まりになれば、日銀のようにマイナス金利やイールドカーブコントロールなど「非伝統的政策のさらに外縁にある手段」(カバナ氏)に出ざるをえなくなるかもしれない。FRBはそこまで視野に入れているだろうか。』

この記事で明らかなことは、殆どの市場関係者が追加利下げを示唆したからNYダウが過去最高値まであと1.8%の水準まで反発したと思い込んでいることである。そして、その追加利下げも「1回の利下げを0.25%とすれば8回で弾は尽きる」と利下げをすればまだまだ株価が上昇すると思い込んでいる。さらに、「利下げが無理なら量的緩和策」と伝統的な金融緩和策の次元で未だ堂々巡りをしているのが現状だろう。

拙書『いま持っている株は手放しなさい!』の第4章『もうヤバい!アメリカの「フェイク経済」の仕組み』の「9割の市場関係者が間違えている!」(P116)を読まれた方や生活防衛の教室のリスナーなら、冒頭の記事がいかに間違った認識をしているかが分かるだろう。NYダウが8月15日安値25339ドルから8月29日高値26408ドルまで短期間に+4%上昇し、7月史上最高値27398ドルを狙う水準まで上昇したのも「イールドスプレッド」が「逆イールド」が起こるくらいに縮小、実質的な金融緩和が起きているからに他ならない。仮に、冒頭の記事にあるように「1回の利下げを0.25%とすれば8回で弾は尽きる」とあるように、FOMCで追加利下げを続ければ「イールドスプレッド」が拡大して実質的な金融引き締めを起こし、そして、このような集団的な間違った認識が「第2のリーマンショック」の引き金を引く可能性があるのである。世間のこのような間違った認識を鵜呑みにせず、今後のマーケットを占う上で重要なことは「利上げすればするほど実質的に緩和しているんですから株は上がります。とい
うことは逆に利下げすると株価は下がるということになります。」(P118)をよくよく理解しておくことなのである。

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