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そもそも「「円安・株高」の連動性」はあるのか?


そもそも「「円安・株高」の連動性」はあるのか?

2022年9月8日日経新聞に『崩れた「円安・株高」の連動性~米経済の先行き不安が背景』が掲載されている。

『「円安=日本株高」の定式が崩れている。7日は約24年ぶりとなる1ドル=144円台まで円安・ドル高が進む中、日経平均株価は上げるどころか一時300円を超える下げを演じた。国内参加者たちは「日本売りが始まった」とざわつき始めたが、実際にそうなのか。市場を動かす当の海外投資家に聞くと、本当の理由がみえてきた。

(途中略)

円相場と日本株の連動が崩れたのが20年だ。株価は同年3月のコロナショックの急落後に反転上昇したが、為替相場では円高・ドル安が進んだ。そして今年に入ると、両者の連動性は完全に崩壊した。足元の8月末以降は一本調子の円安が進む中、日本株は下落基調で推移し、かつての「円安・株高」の関係は「円安・株安」に反転した。

野村証券の池田雄之輔氏は、円安の理由にその秘密が隠されているとみる。同氏は円安には(1)日銀緩和型(2)景気拡大型(3)インフレ加速型――の3つの類型があると指摘。現在は(3)のインフレ加速型の円安だ。インフレ退治を急ぐ米連邦準備理事会(FRB)が急速な利上げを進める一方、日本はゼロ金利政策を継続。日米金利差が拡大し、円が売られる構図だ。円安で日本株が下がっているのは、インフレ加速型の円安では米景気悪化を通じて企業業績が悪化する恐れがあるからだ。「今の株安は『日本売り』ではなく『米国売り』と呼んだほうが実態に近い」。池田氏はいう。(後省略)』

冒頭の記事では『円相場と日本株の連動が崩れたのが20年だ。株価は同年3月のコロナショックの急落後に反転上昇したが、為替相場では円高・ドル安が進んだ。』と指摘しているが、グラフの作り方に問題があり、実際は円相場と日本株が崩れたのは2016年頃からである。

2016年頃までは、円安と外国人買いは連動していて「円安=日本株高」の関係はみられたが、2016年以降は円安でも外国人買いは減少していった。何故、2016年頃から円安・外国人買いが崩れたのだろうか。その理由の一つが、以下の記事で指摘されている。

2022年9月6日日経新聞『日本株、迫る「不都合な円安」~外国人離れで150円接近も』が掲載されているが、

『円安も米国人には逆風だ。過去10年「円安=外国人売り」の傾向があるが今年は顕著だ。四半期末の3、6月に円相場は前月比7円前後の円安・ドル高になったが、海外勢の月間売越額はいずれも1兆2千億円前後に膨らんだ。円安と外国人売りが3度シンクロすると1ドル=150円接近の可能性も否定できない。

転機は16年前後にあった。黒田東彦・日銀総裁による2%物価目標の早期実現公約が頓挫し日米のインフレ格差は拡大に転じた。企業統治指針の適用も始まったが、外国人は売りに転じた。形式主義化を見抜いていたのだろう。自社株買いと日銀の上場投資信託(ETF)買いは外国人に売り場を提供した。』

つまり、日米のインフレ格差が原因ということだろうか。冒頭記事の「日経平均とドル円」のグラフでは分からないが、T-Modelが作成したグラフでは一つ重要なポイントに気づかないだろうか。それは、先行した日経平均にドル円がキャッチアップしようとしているように見えることである。偶然のようにも見えるこの2つの指標だが、仮に、このまま日経平均が上昇しないとすると、ドル円は146円前後で日経平均にキャッチアップするが、我々が考えなければならないことは、ドル円と日経平均がキャッチアップしたときに何を意味し、その後、何が起こるのかということである。

その「円相場と日本株」のその後を考える上で重要なヒントになるのが、セミナーなどでいつも指摘するT-Model理論「円建てとドル建ての日経平均の乖離」である。現在は、日経平均の円建てとドル建てに大きな乖離が存在しているが、このような乖離は、2006年以降、2007年2月、2015年4月にも起きている。そして、日経平均の円建てとドル建てが乖離する局面は今回を含め何れも円安局面であり、その円安が終了すると、2007年2月、2015年4月の乖離は円建て日経平均がドル建て日経平均に鞘寄せするかたちで収束しているということだろう。今回も現在の円安局面が終了すると、2007年2月、2015年4月のような「円高・株安」が起きる可能性があることを頭に置いて投資することが重要ということだろう。そして、そのシグナルは偶然のようにもみえる「ドル円と日経平均がキャッチアップ」から始まるような気がするのだが・・。

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