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中国低格付け債利回りがリーマンショック以来の高水準


中国低格付け債利回りがリーマンショック以来の高水準

2021年11月7日日経新聞に『「恒大危機」市場なお警戒~中国低格付け債利回り、12年ぶり高水準』が報道されている。

『中国恒大集団の経営危機に端を発する問題への市場の警戒が続いている。不動産企業が中心の中国低格付け社債の利回りは12年ぶりの水準に高まった。恒大は2022年1月からの元本償還を控え、資金繰りは正念場を迎える。経済への深刻な打撃を回避すべく当局は不動産問題の軟着陸を探るが、住宅販売の落ち込みが続いており容易ではない。

恒大は11日(日本時間12日)、10月12日に社債の利払いを見送った分の猶予期限をむかえる。さらに22年は77億ドル(約8800億円)、23年に85億ドル(約9700億円)分の社債の元本を償還する必要がある。10月までの利払いについてはいったん債務不履行(デフォルト)を免れたが、これからむかえる元本償還の金額規模は利払い額の数億ドル程度と比べて格段に大きい。恒大は資金繰りに奔走している。4日には成長分野と位置付ける電気自動車(EV)の部品事業の一部を英国企業に売却することが明らかになった。米紙によると、社用プライベートジェット機も5000万ドル(約57億円)で売却した。ただ中国東北部の地銀大手、盛京銀行株を除くと資産売却は少額にとどまる。

米インターコンチネンタル取引所(ICE)によると、格付けがダブルB以下の中国の低格付け社債(ハイイールド債)の利回りはリーマン・ショック後の09年3月以来の高水準になった。信用リスクの警戒度合いを示す最終利回りは5日に25.8%を付け、5月時点の8%台の約3倍に拡大した。リフィニティブによると、中国企業の低格付け社債のうち139銘柄で利回りが50%を超える。発行残高は約650億ドルで、中国のハイイールド債全体(約3400億ドル)の2割弱を占める。その多くは不動産企業だ。

今のところ上海株式市場は動揺しておらず、恒大問題の深刻さが伝わった9月以降も相場は横ばい圏で推移する。銀行が資金をやり取りする短期金融市場も安定している。景気の大幅な減速を警戒する当局は不動産規制を軌道修正し、不動産会社の経営問題の軟着陸を探る。中国人民銀行(中央銀行)と銀行保険監督管理委員会は9月末の会議で、主要銀行に「不動産金融の健全性を保つ規制を正確に実行せよ」と指導した。』

恒大の株価は11月8日2.28HKDで、9月24日2.36HKDを下回り最安値を更新。17年10月20日の史上最高値31.55HKDからは93%の大暴落となっており、恒大集団のデフォルト危機は予断を許さない状況が続いている。また、中国の低格付け社債(ハイイールド債)の利回りがリーマン・ショック後の09年3月以来の高水準に跳ね上がっているのに中国の株式市場をはじめ、世界の株式市場が落ち着いているのは何故だろう。多分、中国当局は今回の事態を「軟着陸」させてくれるとの期待が市場にはあるのではないだろうか。過去、中国で危機が起こる度に市場や世論では「中国崩壊論」が声高く叫ばれてきたが、中国は崩壊せず、それどころか、危機に直面するたびに国力や影響力を向上させてきたからである。今回の危機も実は、恒大のデフォルト危機を資本主義世界に突きつけて、何かを水面下で要求するといった駆け引きが行われているかもしれない。30日間の猶予期限ギリギリで利払いを行い、デフォルト危機を延命しているのもそのためではないかとも思えてくる。ただ、冒頭の記事にあるように、「22年は77億ドル(約8800億円)、23年に85億ドル(約9700億円)分の社債の元本を償還」を迎えることから、習近平政権は恒大を生かすか(救済)、殺すか(破産)の選択を2022年初頭には迫られることになる。先ずは、10月12日に社債の利払いを見送った分の猶予期限をむかえる11日(日本時間12日)に注目である。

2012年2月発行の拙書『そして大恐慌が仕組まれる』(ビジネス社)の第三章「栄枯盛衰ー世界覇権の行方は?」において、

『横綱白鳳が引退する時こそが、「中国バブルの崩壊」が誰の目にも明らかになる瞬間と予測しています。』と今から約10年前に指摘したが、今年9月30日に横綱白鳳は現役を引退した。「中国バブルの崩壊」が誰の目にも明らかになる予兆なのだろうか。現在、中国のマネーサプライは36兆ドル規模と米国の20.9兆ドル規模を遙かに上回り、巨大バブルが形成されていることを物語る。仮に、中国GDPの約15%を占める中核産業の不動産セクターが崩壊すると、巨額に膨らんだ中国マネーは世界に甚大な影響を与えることは間違いないだろう。ただ、それは資本主義の「バブル崩壊」よりもはるかに計画的に起こしている共産圏での「バブル崩壊」の可能性が高いことだけは忘れないことである。

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