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今回の「逆イールド」解消は特殊な「ベアスティープニング」


今回の「逆イールド」解消は特殊な「ベアスティープニング」

23/10/6ブルームバーグニュースで『逆イールドの急速な縮小、米経済に危険な兆し-オーサーズ』が掲載されている。

『 米国債のイールドカーブはここ1年3カ月にわたり逆転している。つまり、10年物米国債の利回りが2年物の利回りを下回っている。この逆イールドは広く知られているように、強力な景気後退指標の一つだ。逆イールドが長期化するということは、深刻な問題が進行中であることを意味する。

しかし、ここ数週間の長期債利回り上昇で、逆イールドは急速に縮小している。7月時点では107.5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の逆転だったが、現在は31.7bpにまで縮小し、逆転の度合いは約1年で最も小さくなった。

逆イールドはリセッション(景気後退)が始まる直前に解消される傾向がある。明らかに景気後退が迫っている時は、中央銀行が利下げを開始し短期債利回りを低下させるからだと考えられる。SMBC日興セキュリティーズ・アメリカのジョー・ラボーニャ氏による以下のチャートは、景気後退の前にイールドカーブが逆転し、全米経済研究所(NBER)が公式に定義する景気後退が始まるまでには逆転が解消されていることを示している。

これは恐ろしいことのように聞こえる。しかし、ここでもう一つの要素を加える必要がある。前述の通り、カーブの逆転解消は短期債の利回り低下によって起こることが多い。専門用語では「ブルスティープニング」と呼ばれる。今回は違う。長期債の価格下落(利回り上昇)による「ベアスティープニング」が原因だ。さらに、逆イールドの状態から始まる特殊なベアスティープニングだ。 このような条件が重なることは非常にまれだが、そうなった場合は通常、近いうちに景気後退に入ることをキャピタル・エコノミクスの以下のチャートが示している。このようなベアスティープニングの後には一般的に「長期債利回りと株価指数の大幅な下落が起こる」とキャピタル・エコノミクスは結論付けている。(途中略)』

この記事で重要なポイントは『カーブの逆転解消は短期債の利回り低下によって起こることが多い。専門用語では「ブルスティープニング」と呼ばれる。今回は違う。長期債の価格下落(利回り上昇)による「ベアスティープニング」が原因だ。さらに、逆イールドの状態から始まる特殊なベアスティープニングだ。』の指摘である。

この点について、2023/09/25『米長期金利が一時4.37%と16年ぶり高水準』のT-Modelコラムにおいて、

『米長期金利が約16年振りの水準まで上昇したが、一足先にその水準に達していたのが政策金利に左右される2年債利回り。ようやく先行していた2年債利回りに長期金利が追いつき始め、07年や19年のようなかたちに近づいたわけだが、これまでと大きく異なるのは米長期金利が1980年~2020年までの40年間の長期下落局面サイクルを終えて、2021年以降の長期上昇局面サイクルに入っていることである。つまり、2年債利回りと10年債利回りの関係は、1970年代のインフレ期のように政策金利を下げる前に長期金利が大きく上昇するかたちで10年債利回り-2年債利回りの「逆イールド」が解消するかたちも想定する必要があるかもしれない。 』と一足先に指摘。

また、23/10/02『米国長期金利が7%台に上昇すると「潮が引くと誰が裸で泳いでいるかわかる」』のT-Modelコラムにおいて、

『前述のビル・アックマン氏は近い将来、長期金利が5%台に上昇し、ジェイミー・ダイモン氏はいつかは明言はしていないが、7%台まで上昇する可能性を指摘している。2021年以降の米国長期金利の前年比はそれ以前の振幅の2倍以上となっており、明らかに40年の金利低下局面とは異なる。インフレ局面の「10年債利回り-2年債利回り」の「逆イールド」解消の可能性を指摘したT-Model理論が現実化し始め、実際、「10年債利回り-2年債利回り」は9月25日週-0.47%までマイナス幅が縮小してきている。8月リアルセミナーで指摘したT-Model分析のポイントに迫りつつあり、それが現在のマーケットの動揺の一つの原因となりつつあるのである。』と指摘した。

そして、先週、「米国債10年-米国債2年」が-0.29%までマイナス幅が縮小し、8月の「生活防衛の教室リアルセミナー」でも指摘した3月20日週-0.39%をついに割り込んだ。その途端、1973年10月6日の「第4中東戦争」からちょうど50年目の10月7日、ハマスを含むパレスチナ武装勢力がガザ地区からイスラエルに向けて多数のロケット弾を発射し、イスラエルが50年ぶりに正式に全面戦争の宣戦布告を発表した。21世紀の重要日である「9.11」にバイデン政権が捕虜交換取引で60億ドル(約8940億円)のイラン凍結資金が解除され、その資金がパレスチナ武装勢力に流れて今回の衝突のきっかけとなったと云われる一方、米国はイスラエルへの軍事支援も表明する。この他、日本時間10月7日18:00 マグニチュード6.7の地震がパプアニューギニアを、日本時間10月7日19:20 マグニチュード6.3の地震がアフガニスタン西部を、さらに日本時間10月7日19:50 マグニチュード 6.0 の地震がメキシコを襲うという大地震の連鎖がこの週末に短時間に起きていることも不思議だとは思わないだろうか。

いつものように、「誰」かが困ったときに起きる「戦争・紛争・テロ」「自然災害」の様相であり、その「金融危機」をあたかも隠かのように更なる「戦争・紛争・テロ」「自然災害」に発展するケースも少なくない。

9月30日、米国で11月半ばまでの当面の政府予算を手当てする「つなぎ予算」が通過したが、それまでに本予算の成立を目指すが、10月3日に米史上初、マッカーシー下院議長が解任され、さらに成立が難しくなっている。それは再び、政府閉鎖懸念が浮上するだけでなく、ウクライナやイスラエルの支援も滞ることを意味する。世界秩序が崩壊するなか前回以上の「〇〇ショック」がいつ起きるのか、気を抜いてはいけない段階を迎えている。

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