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第347回:物価に関して深刻な貨幣錯覚 本当に錯覚なのか?

第347回:物価に関して深刻な貨幣錯覚 本当に錯覚なのか?
『消費の回復に何が必要か?』
2026年2月20日日経新聞に『消費の回復に何が必要か?』が掲載されている。
『消費の本格的な回復への動きが鈍い。総務省が6日に発表した家計調査では2025年12月の2人以上世帯の消費支出は、物価の影響を除いた実質で前年比マイナス2.6%と大幅に減った。25年通年では前年比が3年ぶりにプラスに転じたとはいえ、消費支出に占める食費の割合を表すエンゲル係数は44年ぶりの高水準となった。消費者の間で、ぜいたく品の購入を控え、安価な品へとシフトする節約志向が顕著となっている。
原因は足元で続く物価高騰である。名目賃金は上昇するものの物価上昇がそれを上回る結果、実質賃金の下落が続いている。(途中略)もっとも、仮に賃上げが進み、実
質賃金が上昇したとしても消費が本格的に回復すると考えるのは早計である。なぜなら、消費者の多くが実感する物価上昇は、実際の消費者物価上昇率より、はるかに高いからである。
例えば、日銀の「生活意識に関するアンケート調査」によれば「1年前に比べて物価は何%程度変化したと思うか」という問いに、25年11月から12月時点でも回答の平均値17.8%、中央値15.0%ときわめて高かった。同時点の消費者物価上昇率は3%未満だったので、消費者がいかに物価高騰を過大に感じていたことがわかる。
このような物価高騰に対する実感は、消費者の間で物価に関して深刻な「貨幣錯覚」が広がっていることを示唆する。消費者が貨幣錯覚を持ち続ける限り、仮に実質賃金が数字の上で上昇に転じたとしても低迷する消費マインドを改善するのは力不足である。(途中略)』
総務省が2月20日発表した1月の消費者物価指数(CPI、2020年=100)は変動の大きい生鮮食品を除く総合が112.0となり、前年同月と比べて2.0%上昇した。伸び率は2カ月連続で縮み、24年1月以来の低い水準。25年末のガソリン税の旧暫定税率廃止でエネルギー価格が下がっている。ただ、このコラムにある日銀の「生活意識に関するアンケート調査」によれば「1年前に比べて物価は何%程度変化したと思うか」は25年6月平均値+19.5%(中央値+15.0%)→9月同+16.9%(+10.0%)→12月+17.8%(+15.0%)と、実感では2ケタ以上の物価上昇が続いている。政府が発表する物価と消費者実感の物価の極めて大きな乖離となっている点について、同コラムでは「貨幣錯覚」という「錯覚」で結論づける。本当に「錯覚」なのだろうか?
T-Model理論では、以前から独自に名目と実質のGDPからオリジナルの「物価上昇率」を試算し、25年4~6月+11.7%→7~9月+9.9%→10~12月+13.4%と発表してきたが、アンケートによる消費者の物価の実感と極めて近い数値である。つまり、消費者は「錯覚」しているのではなく、政府が発表する消費者物価がおかしいと考える方が自然ではないだろうか。実際の消費者物価が2ケタ上昇していることを消費者に知られると不都合な現実が表面化するためかもしれない。
だが、T-Model理論の消費者物価はドル円を先行指標するかたちでほぼ連動しており、円安のよる「輸入インフレ」が物価高騰の原因であることは明らか。このように実態と大きく乖離した物価統計を使って政策を考えても的外れの政策になる可能性が高く、そるがこれまで30年間も成長しない日本の原因の一つではないだろうか。そして、それが意図的に行われてきたとすれば・・。恐ろしいことである。



