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第352回:供給過剰と騙され続けてきた日銀の需給ギャップ

第352回:供給過剰と騙され続けてきた日銀の需給ギャップ
供給過剰と騙され続けてきた日銀の「需給ギャップ」
2026年3月27日日経一面に『日銀需給ギャップ、一転プラス~再推計で22年以降 利上げ路線補完』が報じられている。
『日銀は26日、日本経済の需要と供給力の差を示す「需給ギャップ」を再推計した結果を公表した。2020年4~6月期から5年半にわたり需要不足のマイナスと説明してきたが、一転して22年1~3月期以降は需要超過のプラス圏にあるとの見方を示した。従来の想定以上に物価に上昇圧力がかかりやすい状態が続いていたことになる。(途中略)
一般に需給ギャップがプラス圏にあれば需要超過で物価が上がりやすく、反対にマイナスだと物価は下がりやすいとされる。再推計の結果、需給ギャップは新型コロナウィルスの流行で経済活動が停滞した2020年4~6月期から21年10月~12月期までマイナスになった後、22年1~3月期からプラス圏に浮上した。直近の25年7~9月期はプラス0.45%と3年9ヵ月にわたりプラスを維持する。従来の推計では20年4~6月期から25年7~9月期までマイナスとしていた。需給ギャップは内閣府も別手法で推計値を出している。25年10~12月期分はプラス0.2%で、ここ1年ほどはゼロからプラス圏で推移する。
今回、日銀が需給ギャップは既にプラス圏にあるとの見解を示したことで、利上げなどの金融政策の正常化を継続しやすくなる可能性がある。』
また、同日の『日本経済は「需要超過」』において、
『日銀は26日、一時的な変動要因を除いた基調的な物価上昇率をより分かりやすく示すため、新たな指標も公表した。教育無償化やガソリン、電気・ガス料金の補助といった政府の政策を特殊要因とみなし、その影響を除く消費者物価指数を公表した。生鮮食品と特殊要因を除く前年同月比の上昇率は、直近の2月時点で2.2%だった。25年8月の3%を直近ピークに徐々に伸びは鈍化しているが、日銀が物価目標に掲げる2%は上回る状態が続く。総務省が公表する生鮮食品を除く消費者物価の上昇率は2月で1.6%になり、政策要因が物価の伸びを抑えている様子が浮かんだ。』
このように金融政策に大きな影響を与える「需給ギャップ」をこれまでとは真逆に変更してきた。これは、近い将来、大きな政策の変更を行う合図と考えた方が良いだろう。実際、冒頭の記事の最後に『日銀が需給ギャップは既にプラス圏にあるとの見解を示したことで、利上げなどの金融政策の正常化を継続しやすくなる可能性がある。』と指摘する。
日銀の金融政策決定会合のスケジュールは、4月27日・28日、6月15日・16日、7月30日・31日だが、いつ政策金利を引き上げても良い準備が整ったことを意味する。 ちなみに、過去、日銀が政策金利を引き上げると株価は急落している。 2024年第3四半期(7月31日)、日銀が0%→0.25%に利上げし、日経平均は「令和のブラックマンデー」で-26% (7月高値42426円→8月安値31156円)急落。 2025年第1四半期(1月24日)、日銀が0.25%→0.5%に利上げし、日経平均は25年1月高値40288円から4月30792円まで-23%急落しました。 2025年第4四半期(12月19日)、日銀が0.5%→0.75%に利上げしましたが、高市総理が10月21日に誕生したせいか、日経平均は25年11月高値52636円→12月安値48643円と-7%急落でとどまった。
もう一つ、冒頭の記事で重要な点は『従来の想定以上に物価に上昇圧力がかかりやすい状態が続いていたことになる』。
2026/02/24『消費の回復に何が必要か?』のT-Modelコラムにおいて、
『総務省が2月20日発表した1月の消費者物価指数(CPI、2020年=100)は変動の大きい生鮮食品を除く総合が112.0となり、前年同月と比べて2.0%上昇した。伸び率は2カ月連続で縮み、24年1月以来の低い水準。25年末のガソリン税の旧暫定税率廃止でエネルギー価格が下がっている。ただ、このコラムにある日銀の「生活意識に関するアンケート調査」によれば「1年前に比べて物価は何%程度変化したと思うか」は25年6月平均値+19.5%(中央値+15.0%)→9月同+16.9%(+10.0%)→12月+17.8%(+15.0%)と、実感では2ケタ以上の物価上昇が続いている。政府が発表する物価と消費者実感の物価の極めて大きな乖離となっている点について、同コラムでは「貨幣錯覚」という「錯覚」で結論づける。本当に「錯覚」なのだろうか?
T-Model理論では、以前から独自に名目と実質のGDPからオリジナルの「物価上昇率」を試算し、25年4~6月+11.7%→7~9月+9.9%→10~12月+13.4%と発表してきたが、アンケートによる消費者の物価の実感と極めて近い数値である。つまり、消費者は「錯覚」しているのではなく、政府が発表する消費者物価がおかしいと考える方が自然ではないだろうか。実際の消費者物価が2ケタ上昇していることを消費者に知られると不都合な現実が表面化するためかもしれない。
だが、T-Model理論の消費者物価はドル円を先行指標するかたちでほぼ連動しており、円安による「輸入インフレ」が物価高騰の原因であることは明らか。このように実態と大きく乖離した物価統計を使って政策を考えても的外れの政策になる可能性が高く、そるがこれまで30年間も成長しない日本の原因の一つではないだろうか。そして、それが意図的に行われてきたとすれば・・。恐ろしいことである。』と指摘した。
『消費者は「錯覚」しているのではなく、政府が発表する消費者物価がおかしいと考える方が自然ではないだろうか。実際の消費者物価が2ケタ上昇していることを消費者に知られると不都合な現実が表面化するためかもしれない。 』と指摘したが、日銀が永年続けている実質政策金利のマイナスは何か意図的に行うために続けてきた可能性も今回の件で少しは分かり始めたのではないだろうか。そして、現在起きている不当な円安もT-Modelでは、「人為的」に行っている可能性が高いことを指摘してきたが、3月25日日経新聞『円高デフレ時代「終わった」』において、日銀前総裁・黒田氏は「150円とか160円はちょっと行き過ぎだと思う。今の米経済の状況を考えると120~130円くらいが適当な水準だろう」と指摘する。彼も立場が変わったことで、本音をばらし始めたのではないだろうか。



