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12月11日、英国政府はEU離脱協定案の下院での採決を決定

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12月11日、英国政府はEU離脱協定案の下院での採決を決定

2018/11/10日経新聞に『2.5兆円上場 広がる思惑~ 誰が買う?乗り換えは?』が報道されている。

EU(欧州連合)は11月25日、ブリュッセルで開いた臨時の首脳会議(欧州理事会)で、英国の EU離脱協定案を正式に決定した。一方、英国政府は11月26日、離脱協定案の議会下院での採決を12月11日に行うと発表した。すんなり承認されれば協定案通りに離脱手続きが進められ、年明けには離脱関連法案も成立することになるが、現時点では否決の可能性が高い。仮に、否決された場合、2019年3月29日にいわゆる「合意無き離脱」の可能性を含め、総選挙や2回目の国民投票を経て、EUとの再交渉や英国のEU残留の選択枝も生まれるなど混乱は続くことになる。

2018/11/30日経新聞に『英デリバティブ争奪戦 6500兆円市場 EU離脱の余波~清算拠点「1強」揺らぐ』が掲載されている。

『2019年3月末の英国の欧州連合(EU)離脱を前に、世界でデリバティブ(金融派生商品)市場の争奪戦が始まった。世界の取引の中心地であるロンドンが清算拠点として機能しなくなるとの懸念が出ているからだ。45兆ポンド(約6500兆円)という天文学的数字の契約が宙に浮けば、金融危機の火種でもある。「無秩序離脱」のリスクは消えておらず、代替拠点を巡り日本を含め覇権争いに発展してきた。

デリバティブは08年の米金融危機後、金融機関同士の相対から、中央清算機関(CCP)を経由する集中清算へ移っている。中央清算機関は売買の間に入り、全ての相手になることで、取引先の破綻が連鎖するリスクを抑えた。この拠点として君臨するのが、ロンドン証券取引所グループ(LSE)傘下のLCHだ。同社によると固定金利と変動金利の交換など金利スワップ取引の清算で、世界シェアは9割超に上る。国際決済銀行統計(BIS、16年)では、英国はユーロ建て金利デリバティブ取引の4分の3を占める。』

英国のEU離脱決定はこの構図を揺さぶっている。EUの金融規制から外れれば、欧州金融機関が英国の清算機関を使い続けられなくなる可能性が浮上したからだ。欧州大陸側には独ドイツ取引所グループの清算機関であるユーレックスがあり、清算拠点の奪取をもくろむEU側は、在英機関へのアクセス制限をちらつかせている。

英イングランド銀行(中央銀行)は28日発表の金融安定報告書で、「19年3月末以降に満期が来る残高は45兆ポンド」あることを取り上げ、金融システムの不安定要因になりかねないとの懸念を強調。EU側は交渉上、その可能性をちらつかせながらも、欧州証券市場監督機構(ESMA)は23日、合意なし離脱の場合に英清算機関を継続利用できるよう、EUの執行機関である欧州委員会と準備を進めているとも発表した。英金融規制がEUと同等性を持てば、特例で認める方向を示した。』

18/10/09『7年5カ月ぶりの水準に急上昇した米10 年物国債利回りは何を示唆している?』のT-Modelコラムにおいて、

『ようやく長期金利が動き出したとの印象である。拙書『トランプの破壊経済がはじまる』の第1章『トランプの破壊経済で世界はどうなる?』のP45『米10年債利回り3%超えは「終わりの始まり」?』で詳しく説明しているのでそちらを参照していただきたいが、このなかで「大切なことは、世の中はいよいよこれまで慣れ親しんだ金利低下局面が終了し、これから2040年前後をピークとする長期金利の上昇局面に入ることです。これは「超低金利を前提としてきた社会構造や人々の価値観が転換する」ことを意味しているのです。」、「その時代に入る分岐点は、まさに米10年債利回りが「3.03%」を超えたときなのです。」と指摘した。

冒頭の記事では「債券相場が経済データに反応しやすくなっている」とあるが、本当のところはデリバティブ等を駆使して押さえ続けてきた米長期金利が、何らかのマネーの変調でそれが徐々に弱まり始めているだけなのではないだろうか。』と指摘した。冒頭の記事は「本当のところはデリバティブ等を駆使して押さえ続けてきた米長期金利が、何らかのマネーの変調でそれが徐々に弱まり始めているだけなのではないだろうか。」の答えの一つではないかと推測できる。つまり、英国のEU離脱まで残り半年を切るなか「英中央銀行のイングランド銀行は条件合意なしの「無秩序離脱」の場合、想定元本ベースで最大41兆ポンド(約6000兆円)のデリバティブが不安定な状態に置かれると警告。関係機関に対応を促した。」がデリバティブの変調をもたらし、米長期金利急上昇の引き金となった可能性がある。

デリバティブ(金融派生商品)は見えにくく、わかりずらい商品であることから、市場関係者でも理解が浅く、今回の米長期上昇は「一人勝ちの強い米国」が要因と考えている人々が大半ではないだろうか。また、名目金利=期待実質経済成長率+期待物価上昇率(インフレ率)+リスクプレミアム」の公式からリスクプレミアムの上昇が金利急騰の原因と指摘する向きもあるが、では何故、リスクプレミアムが9月末から上昇したのかというタイミングの考察がない。それがなければ意味がなく、この程度の説明では今後も起きるであろう暴落リスクを回避することはできないのではないだろうか。やはり、投資家に必要な指標は暴落を示唆する「先行指標」なのである。』と指摘。そのとき、19年3月末に迫った英国のEU離脱に伴う「デリバティブ市場」の変調が米10年物利回りの急騰の原因である可能性を指摘した。

これをきっかけに英国の牙城を切り崩せるとの読みから金融センター誘致をもくろむ各国の思惑も絡んでなかなか方針が決定しない。だが仮に、ロンドン証券取引所グループ(LSE)傘下のLCHから独ユーレックスに移す場合、契約条件をそのまま引き継げるとは限らず、取引を強制清算しなければならなくなるかもしれない。また清算機関を短期間に変更する仕組みは存在せず、実際にやろうとすると数カ月はかかるうえ、その影響は予測不能な難作業となることは間違いないだろう。欧州証券市場監督機構(ESMA)が清算機関をいったん継続利用できるように調整を始めたのもこうしたリスクが大きすぎるためだ。移行にせよ、英国を継続利用するにせよ、早めに方向性を決めなければそのリスクは投資家だけに振りかかるのではなく、全世界を震撼させるきっかけになり得ることを認識すべきだろう。英国のEU離脱問題とは別に、デリバティブの清算機関の方向性だけでも早期に決めていただきたいものである。デリバティブ残高が50兆ドル(約5500兆円)に近づくといわれるドイツ最大の銀行である
ドイツ銀行の株価が上場来安値となる8ユーロ割れまで下落しているのはこのデリバティブのリスクを織り込み始めているのかもしれない。

 

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