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18年10~12月の訪日外国人は-2.9%と四半期ベースで7年振りのマイナス

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18年10~12月の訪日外国人は-2.9%と四半期ベースで7年振りのマイナス

2019/1/17日経新聞に『訪日客消費が最高 昨年2%増4.5兆円、1人あたりは横ばい』が報道されている。

『観光庁は16日、2018年に日本を訪れた外国人の消費額が17年に比べて2%増の4兆5064億円になったと発表した。中国を中心とするアジア圏からの訪日客が伸び、過去最高になった。ただ、18年は年後半にかけて訪日数の伸びが鈍り、1人あたりの消費額も横ばい圏にある。訪日消費の底上げに向け、企業は新たな魅力作りを迫られている。

18年の訪日客数は前の年と比べて8.7%増の3119万1900人と、7年連続の増加となった。国・地域別に見て最も多い中国からの訪日数が13.9%増の838万人となり、全体の伸びをけん引した。20年は東京五輪・パラリンピックで訪日する人が増えると見込まれ、政府が目標とする4千万人の達成が視野に入る。訪日客数の伸びに伴い、消費額も5年でおよそ3倍になった。18年は飲食費が9758億円と前年比10%増えている。訪日客に占める比率が27%の中国人は消費では34%を占めており、消費でのけん引力は強い。

これまでは順調に伸びてきた訪日客と消費だが、足元では変調も見え始めている。18年12月の訪日客数は前年同月比4.4%増の263万人。自然災害で落ち込んだ9月からやや回復したものの、10%を超える伸びが続いた17年に比べると勢いが鈍っている。消費は観光庁が18年からクルーズ船で来日する人を調べ始めたところ、日本での滞在が短く消費が少ないことが分かった。このため前年比2%増だった18年の消費額は、17年までの推計値より抑えられている面がある。

ただ、消費額の35%と最も多い買い物代は1兆5654億円と17年より4.5%減った。18年の1人あたりの消費額は15万3千円と、「爆買い」が話題となった15年よりも減っている。買い物の減少はリピーター客が増えたことの裏返しとの見方もある。中国からの訪日客は買い物に熱心だが、再来日では商品をよく選んで買う傾向があるという。

政府は20年に訪日客数を4千万人にするとともに、消費額を8兆円にする目標を掲げる。達成するには1人あたり20万円が必要で、「今の状況では6兆~7兆円程度にとどまる」(国土交通省幹部)との見方が多い。』

2018年の 訪日客は3,119万2千人と前年比+8.7%となり、日本政府観光局が統計を取り始めた1964年 以降最高となった。ただ、18年7~9月757万人(+1.7%)→10~12月727万人(-2.9%)と年後半に陰りがみえ、四半期ベースで前年比マイナスとなったのは11年10~12月以来、7年振り。

2018/10/22『9月訪日客5.3% 減と5年8 ヶ月振りのマイナスは一過性なのか?』のT-modelコラムにおいて、

『18年9月の訪日外国人が13年1月以来、5年8カ月ぶりについにマイナスとなった。かなり大きな転換点のシグナルとして報道されると思っていたが、原因は地震や台風など「大規模災害」の一過性と片付けている。本当に一過性と考えて良いのだろうか?実は、5年8カ月ぶりにマイナスになった本当の原因は「大規模災害」よりも人民元安が大きな影響を与えているのである。

15年6月末に1元=20円まで円安は進んだが、訪日外国人の前年比伸び率は15年7~9月に+53.7%とほぼ同時期にアベノミクス後最高に急増、その後、チャイナショックによる元安とともに前年比伸び率は縮小していき、そして今回のマイナスと、円元と訪日外国人の前年比伸び率は連動した動きを示しているからである。

10月に入り、人民元の値動きが不安定さを増し、18日には1ドル=6.94元台まで下げた。2008年以来、10年振りの安値圏となる6.95~96元に接近している。貿易戦争や国内景気の行方次第で、為替相場に強い影響力を持つ中国人民銀行(中央銀行)が更なる元安を容認する可能性がある。また、米財務省は17日に中国の為替操作国への指定を見送ったことで、投機筋による元売りも加速している。元は今年3~4月に1ドル=6.27元まで上昇した後、一転して10%近く値下がりした水準だが、6.95~96元の節目を下回れば元安が一気に進みかねない。ドル元と円元が全く同じ動きをする訳ではないが、ドルに対して元安が一気に進むと円元にも影響を与えることは間違いない。

冒頭の記事を見る限り、マスコミ、企業、政府は訪日外国人の5年8カ月ぶりのマイナスを「大規模災害」の一過性と片付けようとしている。だが、本当の理由に直視しないと先行きをミスリードすることになりかねない。政府は「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」(議長・安倍晋三首相)で訪日外国人観光客数の目標人数を2020年4000万人、消費額は8兆円(一人当たり消費額平均20万円)と計画しているが、訪日外国人最高は18年4~6月828万人、一人当たり支出額は直近18年7~9月156000円まで低下している。18年4~6月828万人×4=3312万人、3312万人×一人当たり支出額18年7~9月156000円=5.16兆円と計算され、更なる元安が進むようだ更にこの試算以上に縮小することを暗示する。細る日本の内需をある意味補ってきたインバウンド消費。だが、それは日銀の金融緩和政策による円安誘導が多大な影響を与えていただけであり、今後も円高・人民元安が続くと宴の後となりかねない。更に政府は2030年6000万人と強気な計画で安倍首相が掲げる名目国内総生産(GDP)600兆円達成に向
け、観光施策をその起爆剤にしたい考えなのだろうが、それは為替が1ドル=140~160円の円安水準にでもならない限り、絵に描いた餅となるのは間違いないだろう。そろそろインバウンド消費に警戒する段階を迎えている。』と指摘した。

今回の結果は、13年1月以来、5年8カ月ぶりについにマイナス18年9月の訪日外国人が地震や台風など「大規模災害」の一過性ではなく、やはり、円元と訪日外国人の前年比伸び率が連動、つまり為替の要因だったことを示している。2020年4000万人は18年比+28%増、東京オリンピックのイベントを除くと現時点では達成不可能な無謀な計画とわかる。仮に、東京オリンピックを除いて+20%以上の訪日外国人を呼ぶには円元が18年12月15.9円から17円台半ばまで10%以上円安が進まなければ無理と言えるだろう。アベノミクス以降、伸び悩む日本の消費の一部支えてきたインバウンドだが、それにも陰りが表面化しているわけで、「ひとつの時代の終わりの始まり」の象徴の一つがここにも表れてきたことになる。

 

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