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2008年6月-2009年4月以来、13年振りに11カ月連続で増加した企業倒産
2008年6月-2009年4月以来、13年振りに11カ月連続で増加した企業倒産
23/3/8ヤフーニュースは『2月の倒産 11カ月連続で前年同月を上回る、3年ぶりに500件超え』を報じている。
『2023年2月の全国の企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が577件(前年同月比25.7%増)、負債総額は965億8,000万円(同36.0%増)と、件数と負債ともに増加した。件数は、前年4月から11カ月連続で前年同月を上回った。11カ月連続の増加は、2008年6月-2009年4月以来、13年10カ月ぶり。2022年12月から前年同月比20%以上の増加率が続き、件数自体は低水準だが増勢を強めている。この結果、2022年度(4-2月)は6,071件に達し、2021年度(4-3月)の5,980件を超えた。(途中略)
2023年2月の「新型コロナウイルス」関連倒産は228件(前年同月比57.2%増)で、前年同月の約1.6倍に急増。200件台は6カ月連続で、2020年2月からの累計は5,232件に達した。業種別は、燃料価格が上昇した道路貨物運送業が25件(同127.2%増)で2カ月ぶりに増加したほか、飲食料品卸売業が24件(同140.0%増)で5カ月連続、飲食業が60件(同53.8%増)で4カ月連続で、それぞれ前年同月を上回った。』
2023/01/10『2022年の企業倒産が3年ぶり増加』のT-Modelコラムにおいて、
『21年の倒産件数が57年振りの低水準にとどまっていたのは、政府の経済対策による「給付金」「ゼロゼロ融資」のためで、それが徐々に消滅した22年の倒産件数が3年ぶりに増加しても騒ぐことではない。ただ、月次ベースの倒産件数(前年比、移動平均)は22年10月+9.4%と、コロナショック直後のピークである20年4月+11.2%の高い伸びに近付いていることは注意が必要だろう。冒頭の記事にあるように、「ゼロゼロ融資」の利子の免除というのは3年間の期限付きで、早ければ2023年の3月から利子の支払いが発生。約43兆円にのぼる金融支援で企業負債が歴史的水準まで積み上がったところに円安や物価高が直撃、低く抑え込んできた倒産が増加に転じたからである。23年は返済開始の山場を迎えることからさらに倒産件数が加速する可能性があるが、前述のT-Modelコラムにおいて、『実は過去、この「倒産件数」は株価との連動性が高く、つまり、2022年も更に株価が上昇するためには更なる「倒産件数」の減少が一つの条件ということになる。』と指摘。
また、2023/02/13『23年1月26%に急増した企業倒産と9年の高水準に達した貸倒引当金』のT-Modelコラムにおいて、
『民間金融機関の貸倒引当金の水準は過去に比べるとまだ低いレベルだが、注目すべきはその増加スピードである。直近22年9月前年比+22%増で、ITバブル崩壊時の02年12月+23%に迫り、またリーマンショック時の09年6月+8%を大きく上回っている。実は、「ゼロゼロ融資」等で月間倒産件数が21年9月490件まで減少していたにも関わらす、倒産件数と連動性の高い貸倒引当金は19年2.4兆円以降、一貫して増加傾向にある。過去の倒産件数と貸倒引当金の関係から推計すると、月間倒産件数で800件超レベルまで貸倒引当金が積み上がっていることになる。
記事では、『新型コロナウイルス禍で経営不振に陥った企業の一部が、政府の支援縮小などで今後破綻に追い込まれかねないとみているためだ。』と指摘するが、そうではなく、もともと存在していた「ゾンビ企業」のための引当金の積み増しの色彩が強い。
「ゼロゼロ融資」の利子の免除は3年間の期限付きで、早ければ2023年の3月から利子の支払いが発生する。約43兆円にのぼる金融支援で企業負債が歴史的水準まで積み上がったことから23年は返済開始の山場を迎え、倒産件数が加速することになるだろう。アベノミクス以降、緩和マネーで株価を吊り上げ「ゾンビ企業」を延命してきたが、その転換点が新日銀総裁とともに始まろうとしているのである。』と指摘。
冒頭の記事で、企業倒産が11カ月連続の増加しているのは2008年6月-2009年4月以来、13年10カ月振りと指摘しているが、その時期はリーマン・ショックの時期にあたる。倒産件数の水準だけを見ているだけでは分からない日本経済の実態が浮かびあがっている。特に、その実態を示すのが民間金融機関の貸倒引当金で、すでに貸倒引当金の水準は月間倒産件数で800件超レベルまで積み上がっているからである。
米国では先週末10日、全米16位の資産規模のシリコンバレー銀行が破綻に追い込まれ、米財務省は全額預金保護を発表した。金融システムリスクを抑えこもうと懸命だが、シリコンバレー銀行の破綻の原因の一つである債券の含み損は全米の銀行に広がっている。仮に、これから破綻する全ての銀行にも全額預金保護を適用するようだと巨額の資金が必要となり、債務上限問題を抱える米国にその資金を準備できるかは甚だ疑問である。そして、それは同時に、現在のブレトンウッズ2のドル基軸通貨体制を揺さぶる巨大な金融危機にもつながりかねず、シリコンバレー銀行の売却先を含めて今後の金融システムの行方を注視する重要な段階を迎えたと言えるだろう。一旦、今回の銀行破綻問題が鎮静化したとしてもそれは解決したからではなく、その後にもっと大きな問題として米国と、世界に突き付けられる問題に発展することを覚悟してかなければならない。米国のM2の伸びが大恐慌以来のマイナスに陥っていることが、この問題の大きさを物語っているのである。