塚澤.com最新ニュース

Home » 裁定買い残が前週比倍増したのは本当に「投資家心理が強気だから」なのか?

裁定買い残が前週比倍増したのは本当に「投資家心理が強気だから」なのか?


裁定買い残が前週比倍増したのは本当に「投資家心理が強気だから」なのか?

2023年3月16日日経新聞に『裁定買い残が急増~前週の倍、4年ぶり水準に』が報道されている。

『東京株式市場で、裁定取引に伴う現物株の買い残高が急増している。東京証券取引所が15日に発表した現物株の買い残は先週末10日時点で5.4億株と、前の週から約2倍に増えた。2019年3月以来約4年ぶりの多さだ。投資家心理が強気に傾きすぎていたことを示唆しており、投資姿勢の逆回転で日本株は当面軟調な展開が続く可能性がある。

株式の裁定取引では、日経平均株価などの指数先物と、現物株からはじく理論価格との価格差をみて利ザヤを稼ぐ。海外投資家などが先物を買い上げて理論価格よりも割高になったタイミングで、裁定業者が「先物売り・現物株買い」の注文を出す。この際に買い持ちされた現物株の残高が裁定買い残だ。反対に、先じて売られた先物を買って現物株を売れば「裁定売り残」が増える。

足元で裁定買い残が急増しているのは、相場の先高観から先物が大きく買い上げられていたからだ。海外投資家は1月後半から先週までで日本株の先物を3.2兆円買い越し、この間買い残から売り残を差し引きの株数は6億株弱増えた。』

裁定買い残(金額ベース)は23年3月6日週6803億円と2021年3月1日週5697億円以来、2年振りの5000億円超で、前の週の2月27日週2689億円の2.5倍に急増している。また、「裁定買い残(残高ベース)」では、23年3月6日週1兆4586億円で、昨年9月19日週1兆4129億円以来、半年ぶりの水準だが、不自然なのは2021年以降、このような「裁定買い残(残高ベース)」の急増が年度末の3月末・9月末に表れていることである。過去を振り返ると、21年3月22日週1兆4382億円、21年9月20日週1兆4247億円、22年3月21日週1兆3237億円、22年9月19日週1兆4129億円、とほぼ同じ水準まで買い上げており、3月末・9月末の株価を吊り上げる「株価操縦」を行っていることは見え見えだろう。

今回も毎度お馴染みの半期に一度の年度末の株価吊り上げの「株価操縦」行われたわけで、特に、今回は2月27日に突然発表されたゆうちょ銀行株の一部売却の値決めが3月13日に行われたために1週間で6800億円超も買い上げただけなのである。誰が行ってのかは容易に想像できるが、いつまでこんな無意味な「株価操縦」を続けるのだろうか?今年は3月10日に経営破綻した米シリコンバレー銀行(SVB)をはじめとした相次ぐ米国銀行の経営破綻、さらに金融大手クレディ・スイスの実質経営破綻から世界的な金融システム不安が強まり、ゆうちょ銀行の値決め終了に株価が急落していますが、注目は半年に一度、無意味な「株価操縦」を続ける連中が月末株価を意識して再び買い上げるかです。

もう一つだけ指摘するとすれば、この年度末の株価吊り上げの「株価操縦」後、いずれも株価が下落していることである。そんな「株価操縦」で株価が形成されているにもかかわらす、業績が良くてとか、景気が良くて株価が上昇していると勘違いしている市場関係者が多いことであり、問題なのは、このような市場関係者が楽観論を述べていることだろう。私の興味は、いつ、何をきっかけに21年以降続けてきた半期に一度の年度末の「株価操縦」ができなくなるかである。それが迫っているような気がするのだが・・・。

塚澤.comの会員向けサービス
会員向けサービス
会員向けサービス
Tsukazawa.com Premium Contents

塚澤.comの有料会員向けサービス(「今週のT2経済レポート」定期購読のお申し込み)では、T2レポートの配信の他にも様々な会員特典をご用意しております。

無料会員登録をしていただくと、一部会員向けコンテンツの閲覧やメルマガの購読をご利用いただけます。

セミナーのご案内

【受付終了】御礼:2月17日:「生活防衛の教室 」2024年予測Webセミナー終了しました。

【受付終了】御礼:11月18日:「生活防衛の教室 」第600回記念Webセミナー終了しました。

【受付終了】御礼:8月19日:「生活防衛の教室 」 Webセミナー2023年夏終了いたしました。

【受付終了】御礼:5月20日:「生活防衛の教室 」 Webセミナー2023年春終了いたしました。