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21世紀は「成熟の世紀」

21世紀は「成熟の世紀」

2020年9月6日日経新聞一面に『成長の女神 どこへ~コロナで消えた「平和と秩序」』が掲載されている。皆さんもお読みになったかと思いますが、2100年までの世界がわかりやすくまとめているのでご紹介することにしました。

『世界は変わった。新型コロナウイルスの危機は格差の拡大や民主主義の動揺といった世界の矛盾をあぶり出した。経済の停滞や人口減、大国の対立。将来のことと高をくくっていた課題も前倒しで現実となってきた。古代ローマの平和と秩序の女神「パクス」が消え、20世紀型の価値観の再構築を問われている。あなたはどんな未来をつくりますか――。「人々は同じ嵐に遭いながら同じ船に乗っていない」。米ニューヨーク市の市議イネツ・バロン氏は訴える。同市は新型コロナで約2万4千人もの死者を出した。市内で最も所得水準の低いブロンクス区の死亡率を10万人あたりに当てはめると275。最も高所得のマンハッタン区の1.8倍だ。3月の都市封鎖後も低所得者が多い地区の住民は「収入を得るため外出し、ウイルスを家に持ち帰った」(同氏)。命の格差が開く。』

『危機は、成長の限界に直面する世界の現実を私たちに突きつけた。古代ローマ、19世紀の英国、そして20世紀の米国。世界の繁栄をけん引する存在が経済や政治に秩序をもたらし、人々の思想の枠組みまで左右してきた。ローマの女神にちなみ、それぞれの時代の平和と安定を「パクス」と呼ぶ。だが今、成長を紡ぐ女神がいない。パイが増えず、富の再分配が働かない。米国の潜在成長率は金融危機が起きた2008年に戦後初めて1%台に沈み、一定の教育を受けた25~37歳の家計所得は18年に6万2千ドルと89年の水準を4千ドル下回った。「子は親より豊かになる」神話は崩れ、中間層が縮む。「米国は富裕層と低所得層からなる途上国型経済となった」(経済史家ピーター・テミン氏)国際通貨基金(IMF)によると、先進国全体の実質成長率は1980年代、90年代の年平均3%から2010~20年は同1%に沈む。低温経済が世界に広がり、格差への不満をテコに独裁や大衆迎合主義が民主主義をむしばむ。中国やロシアなど強権国家の台頭を許す隙が生じ「パクスなき世界」を混乱が覆う。』

『経済のデジタル化も「長期停滞」の一因となる。今秋の上場へ準備する中国の金融会社、アント・グループ。企業価値は2000億ドル(約21兆円)と期待され、トヨタ自動車の時価総額に並ぶ。10億人超が使う決済アプリ「支付宝(アリペイ)」が価値の源泉だ。組織を支えるのは技術者を中心に約1万7千人。トヨタの連結従業員数約36万人を大きく下回る。豊かさを生む主役がモノからデータに移り、成長企業も大量の雇用を必要としない。一部の人材に富が集中し、低成長と格差拡大が連鎖する。ウイルスは人の交わりを阻み、経済のデジタル化はさらに加速する。身動きできない人々の生活と命を守るため、政府の役割が重みを増した。』

長い歴史を振り返ると、経済成長と人口増はかなりリンクしている。19世紀初めに10億人に届いた世界人口は第2次大戦後の60年代に世界の人口増加率は2%を超え、日本などに高成長をもたらしたが、2100年に向けて人口増加率はどんどん鈍化すると予測されている。つまり、経済成長は今後、益々低下していくことを意味し、20世紀の「成長の世紀」から21世紀の「成熟の世紀」への移行する。そんな転換期にコロナ禍は人類を襲った。世界でコロナ対策の財政支出は10兆ドルを超え、経済協力開発機構(OECD)加盟国の政府債務のGDP比は109%から130%台に上昇する。この膨らんだ債務を今後、どう処理していくのかが各国共通の課題となるが、仮に軟着陸ができないようだと現在の「マネー資本主義」の崩壊の引き金を引くことになるだろう。そのような事態が起きると激変だが、その可能性が高いのではないだろうか。

まだまだ20世紀の「成長の世紀」を前提にした企業や個人が大半だろうが、21世紀の「成熟の世紀」を前提とした価値観の変化を我々は求められているのである。過去、セミナーや著書で20世紀と21世紀の違いを指摘してきたが、最も大きな違いは21世紀は「正解がない時代」であるということだ。そのため、価値観は20世紀の「客観的」価値観から21世紀の「主観的」価値観に変化し、それは「自分軸」を持たない企業や個人には生き難い時代になるだろう。「何をやれば上手くいくか」といった薄っぺらなhowtoは通用しない時代であり、whyを考え抜いたものだけが生き残れる時代を迎えていることを頭の片隅に置いて生きることが重要だろう。

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