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5月から見直す雇調金の特例措置はどんな変化をもたらすのか?


5月から見直す雇調金の特例措置はどんな変化をもたらすのか?

2021年3月26日日経新聞に『雇調金、一律支援から転換~5月から経営・感染状況で差 新産業の育成促す』が報道されている。

『厚生労働省は25日、休業手当を支払う企業を支援する雇用調整助成金(雇調金)の特例措置に関して、5月以降は経営状態や新型コロナウイルスの感染状況で差をつけると発表した。現行特例を一律で適用するのは4月末までにする。必要以上に休業支援が長引くと、経済の構造改革や人材の移動に悪影響を与えると指摘されていた。

雇調金は昨年春以降、特例措置を幾度も延長してきた。現行では1人当たりの上限額は1日1万5千円、助成率(労働者などに支払う休業手当に占める助成金の割合)は最大100%だが、今年5月以降は基準を満たした企業以外は上限額は同1万3500円、助成率は同90%にする。直近3カ月の売上高などの生産指標が30%以上減少している経営難企業は5月以降も現行措置を続ける。緊急事態宣言に準じた措置をとる「まん延防止等重点措置」が適用になる地域で、営業時間を短縮する企業も現行措置を適用する。

休業手当を受け取れていない非正規労働者らに支給する休業支援金も、雇調金と同様に5月から支援内容を変更する。現行は休業前賃金の8割を1万1千円を上限に支給しているが、5月以降は上限を9900円にする。まん延防止等重点措置が適用になる地域では現行のままにする。

(途中省略)

中小企業に最大200万円を支給する持続化給付金とテナント賃料を補助する家賃支援給付金は2月15日に申請の受け付けを終了した。持続化給付金は3月22日までで約424万件、約5.5兆円を給付済みだ。新型コロナの感染拡大で打撃を受けた中小や個人事業主を当面支えるという目的は一定程度達成したと判断した。』

雇用調整助成金(雇調金)の特例措置によって失業者の増加を抑制してきたことは間違いないが、1年が経過したことで見直しをする。背景は財政の厳しさで、既に雇用調整助成金の独自の積立金が枯渇している。現状は失業手当などに使う雇用保険の積立金から2兆円規模の借り入れをして賄っている状況で、今後は労使が支払う保険料の引き上げや国費から借り入れを増やさなければ失業手当の支給もおぼつかなくなる。この雇用調整助成金(雇調金)の特例措置の見直しで問題なのは、その理由が財政事情からといった意味合いが強く、最も重要な雇用環境の改善といったポイントが考慮されていないことである。米国の失業率は20年4月14.7%が21年3月6%まで一貫して改善しているが、休業者を含めた日本の潜在失業率は20年4月11.9%から20年11月5.5%まで下落した後、21年2月6.3%へ若干悪化したかたちで、米国の失業率を上回ったからである。そのようななかで雇用調整助成金(雇調金)の特例措置の見直しを実施すると、休業者が失業者に変わっていくことが懸念されている。

もう一つ失業者を増やさないために重要なことは企業の倒産件数を増やさないことである。現在、倒産件数は急増しているだろうと思われているかもしれないが、逆に、直近21年2月は前年比-36%の416件と過去最低の水準。実は、この倒産件数と失業者数は連動性が高いことから、当然ながら失業者を増やさないためには倒産件数を増やさないことなのである。この倒産件数は日経平均と連動していることから、倒産件数が増えて失業者を増やさないためにも日経平均は下落させてはいけないのである。逆に考えれば、何かをきっかけに日経平均が下落すれば倒産件数も、失業者も増えることを意味し、株式投資をしていない多くの人々にも影響が出てくる。倒産が増えて失業者が増えるのか、倒産が増えないまでも休業者が失業者に変わり増えるのか。いずれにしても失業者急増の世界が間近に迫っていることだけは忘れないことである。

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