塚澤.com最新ニュース

Home » 8月景気ウォッチャー調査コロナショック以降危険な時間帯

8月景気ウォッチャー調査コロナショック以降危険な時間帯

8月景気ウォッチャー調査コロナショック以降危険な時間帯

「南海トラフ」や「台風」に関するコメントが大幅に増えた「2024年8月景気ウオッチャー調査」

内閣府は24年9月9日、「2024年8月景気ウオッチャー調査」を発表。同指標は株価の1~2ヶ月先行指標で政府統計では最も有効。

2024年8月「街角景気」の「現状判断DI」は前月比0.0%Pの48.3%(原数値)と横ばい。ただ、実態を示す前年比ベースは-4.5%と7ヵ月連続でマイナス圏に陥り、水準も景気の別れ目となる50%を4か月連続割り込んだまま。8月8日の南海トラフ地震臨時情報の発令や台風の接近もあり、「南海トラフ」や「台風」に関するコメントが大幅に増え、「地震及び台風によりキャンセルが多発し、大きく収入が減少した」(四国の都市型ホテル)のように観光業を中心に災害の影響が見られたという声の一方、「南海トラフ地震臨時情報により水を中心とした備蓄商品の動きが良くなり、販売数量が増加した」(中国のスーパー)と防災用品の販売などが増えたなどの声も相次いだ。尚、メディアでは、2016年10月分から発表を開始した「季節調整値」を使用しているが、現状判断DIは前月比+1.5%Pの49.0%と3か月連続で改善、ただ、景気の別れ目となる50%を6か月連続で下回り、原数値よりもやや強含みの印象である。ただ、2024年2月に「驚いたのは、24年1月分から現状判断DIを23年9月49.9→50.7、10月49.5→50.7、11月49.5→50.8と突然50以上に上方修正していたこと。50以下では不都合があったのだろうが、これは改ざんに近く、色々な統計でこのようなことが行われている可能性には注意が必要だろう。」と指摘した。

T-Modelにおいて「景気判断」に最も重要なのは移動平均との乖離幅で、24年1月-2.8%→2月+0.5%→3月+2.3%→4月+0.0%→5月-2.9%→6月-1.8%→7月-0.9%→8月-0.6%と推移。4か月連続でマイナス圏に陥っていることから依然、景気後退を示唆している。尚、内閣府は24年4月に「穏やかな回復基調が続いているものの、このところ弱さがみられる」と23年9月以来の下方修正をしたが、今24年8月は「景気は、緩やかな回復基調が続いている」に2023年5月以来の上方修正をしている。

2─3カ月先を見る「先行き判断DI」は前月比+0.6%Pの49.2%と、前の月と異なり改善。実態を示す前年比ベースも-0.8%Pと、6ヵ月連続でマイナス圏に陥っているが、マイナス幅は縮小。また、景気の別れ目の50%も5ヵ月連続で割り込んでいる。「賃上げなどの影響により、夏の臨時給与以降で可処分所得の増加を実感した。中間層の購買が徐々に活発になると見込む」(中国の百貨店)との前向きなコメントがある一方、「8月の来客数は比較的好調であったが、残暑が続くと秋物商材の消費が鈍るため、全体としての景気は大きく変わらないとみている」(その他小売[ショッピングセンター])、「まだまだ先行きの見通しは悪く、景気は良くならない。地震や台風といった自然災害も多いなか、購買意欲が上がることはなく、今後は更に悪くなると予想される」(家電量販店)といった先行き不安の声も根強い。尚、「季節調整値」は前月比+2.0%Pの50.%と3ヵ月連続で改善。景気の別れ目となる50%を5か月振りに上回り、原数値よりも強い結果となっている。

また、「先行き判断DI」-「現状判断DI」が24年1月+4.5%P→2月+3.2%P→3月-0.5%P→4月-0.9%P→5月+0.9%P→6月+1.9%P→7月+0.3%P→8月+0.9%Pと、小幅ながら4か月連続でプラス圏に浮上している。24年3月~4月まで「2ヵ月連続」マイナス圏、23年が23年7月~12月まで「6か月連続」マイナス圏、22年が22年3月~7月の「5か月連続」マイナス圏、22年9月~12月の「4か月連続」マイナス圏と、コロナ以降、同指標の連続マイナス圏の時期が増えていたが、24年はプラス圏の月が徐々に増えて、正常に戻りつつある。通常、「先行き判断DI」・「現状判断DI」の「逆転現象」は「先行き」に期待が持てない状態が続いていることを示すからである。

一方、関東地区の先行きDI(家計関連)は前月比+1.5%P の50.1%と前の月と異なり、改善。実態を示す前年比ベースでは-0.3%Pと6ヵ月連続でマイナス圏に陥っているが、マイナス幅は大幅に縮小。景気の別れ目の50%を5ヵ月振りに上回っている。また、全国先行きDI(家計関連)48.7%であることから、2ヵ月連続で関東地区が全国を上回り、その結果、「関東-全国の差(移動平均ベース)」は、24年1月-0.2%→2月-0.2%→3月-0.2%→4月-0.1%→5月+0.1%→6月-0.1%→7月+0.2%→8月+0.3%と推移、24年はプラス圏とマイナス圏を行ったり来たりしていたが、ここ2ヵ月は連続してプラス圏をキープし、金融危機が一旦は遠のいていることを示す。同指標は関東地区が地方に比べ世界の金融危機に左右されやすい経済構造になっていることを利用して発見したT-Modelオリジナル理論。過去、07年の「サブ・プライムローン問題」、08年の「リーマン・ショック」、11年「欧州債務危機」、15~16年の「チャイナ・ショック」、2020年「コロナショック」など世界的な金融危機の局面で大きく悪化している。世界的な金融危機は水面下で起き続けていることを示していたが、それを表面化させないように覆い隠しているのが株高政策である。そして、「円キャリートレード」を膨らますことで「人工的円安」を作り、日米の株価を牽引してきた。ただ、7月から始まった「円キャリートレード」の巻き戻しは一過性の混乱ではなく、今後、何度も起こる可能性のある「混乱」で、それは今後世界の金融市場に内在するリスクを浮き彫りにすると同時に、今後はより深刻な構造的問題を表面化させる兆候として捉えるべきだろう。過去、「円キャリートレード」が膨らんだ98年には「LTCM危機」「ロシア危機」が起こり、07年は「リーマンショック」に繋がったからである。

また、T-Modelオリジナルの同指標は10ヶ月先の日本の株式市場を占う上でも重要な指標。同指標は22年11月を戻りのピークに、23年4月-1.9%と、過去最悪だった12年12月-2.1%に迫る水準まで急落。19年7月ピーク+1.2%→20年4月ボトム-1.6%、20年11月ピーク+0.7%→21年6月ボトム-1.6%と同様に、コロナショック以降、3度目の「危険な時間帯」が続いていた。だが、前述の通り、「円キャリートレード」による「人工的円安」と「逆イ―ルド」による金融緩和策で日米の株価を吊り上げる不自然な「株価操縦」によって危機を覆い隠してきたが、「円キャリートレード」の巻き戻しによる円高進行に加え、「10年債-2年債」の連続「逆イ―ルド」が週足ベースでは22年7月1日以来、114週(約2年2ヵ月)振りに途切れたことで、不自然な「株価操縦」も最終段階に入った可能性が高い。以前から何度も指摘してきたように、T-Model理論では『「逆イールド」解消は「金融引き締め」を意味する』からである。

実際、日経平均が史上最大の下落幅を記録した「令和のブラックマンデー」の8月5日は、「10年債-2年債」の連続「逆イ―ルド」が始まった22年7月1日以降、日足ベースで初めて「逆イールド」が解消した日であり、また日経平均が歴代5位にランクインする1638円安の下落幅を記録した9月4日も日足ベースで2度目の「逆イールド」が解消した日だった。日足ベースで「10年債-2年債」の連続「逆イールド」が解消した8月5日はその後の強引な「株価吊り上げ」で週足ベースでは連続「逆イールド」解消とはならなかったが、9月4日の「逆イールド」解消は日足・週足両ベースで実現しており、次は今9月末の月足ベースでも「逆イールド」が解消し、22年7月1日以降、続けてきた「10年債-2年債」の連続「逆イ―ルド」に終止符を打つことになるかが注目される。

特に、月ベースの連続「逆イ―ルド」が途切れると、11月の大統領選挙にも影響するため重要である。以前にも、『「逆イールド」がこれまで戦後最長だった1978年8月~80年5月には1980年大統領選挙が実施され、共和党のロナルドレーガンが当選し、ジミーカーター民主党政権から政権移行した。2006年8月~07年2月の「逆イールド」は2008年大統領選挙が実施され、民主党バラク・オバマが当選し、ジョージWブッシュ共和党政権から政権移行、その前2000年2月~2000年12月の「逆イールド」は2000年大統領選挙が実施され、共和党のジョージWブッシュが当選し、ビル・クリントン民主党政権から政権移行した。過去の例だと、大統領選挙と「逆イールド」が重なるケースは「逆イールド」による歪からか、「政権交代」が起きやすく、戦後最長の「逆イールド」と重なる今回の2024年大統領選挙も「政権交代」が起こる可能性を示唆する。そして、もう一つ注目しているポイントは、2024年11月の大統領選挙まで「逆イールド」を続けられるかということである。戦後最長の「逆イールド」だった1980年の年も大統領選挙前の5月に「逆イールド」が途切れているからである。』と指摘した。

塚澤.comの会員向けサービス
会員向けサービス
会員向けサービス
Tsukazawa.com Premium Contents

塚澤.comの有料会員向けサービス(「今週のT2経済レポート」定期購読のお申し込み)では、T2レポートの配信の他にも様々な会員特典をご用意しております。

無料会員登録をしていただくと、一部会員向けコンテンツの閲覧やメルマガの購読をご利用いただけます。

セミナーのご案内

【受付終了】御礼:5月18日:「生活防衛の教室 」Webセミナー 2024年春 終了しました。

【受付終了】御礼:2月17日:「生活防衛の教室 」2024年予測Webセミナー終了しました。

【受付終了】御礼:11月18日:「生活防衛の教室 」第600回記念Webセミナー終了しました。