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8月暴落再来?1638円下落〇〇解消に注目
8月暴落再来?1638円下落〇〇解消に注目
市場予想を下回った米雇用統計よりもある重要な指標で日米株価が急落した?
2024年9月7日ロイターは『米雇用、8月14.2万人増で予想下回る、失業率は4.2%に低下』を報じている。
『米労働省が6日発表した8月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は前月比14万2000人増で予想を下回った。ただ失業率は4.2%で前月の4.3%から小幅低下した。労働市場の減速が引き続き秩序だったものであることを示唆したことで、月内の米連邦公開市場委員会(FOMC)での大幅利下げは正当化されない可能性がある。ロイターがまとめたエコノミスト予想は非農業部門雇用者数が16万人増、失業率が4.2%だった。
7月の非農業部門雇用者数は11万4000人増から8万9000人増に下方改定され、6・7月分の雇用者数は計8万6000人減少した。(途中略)』
注目された米8月雇用統計で非農業部門雇用者数(NFP)が14.2万人増と予想の16万人増を下回ったことで米景気の先行き不安が高まり、9月6日週の週間ベースでナスダック総合は-1023ポイント(5.77%安)、S&P500が-240ポイント(4.25%安)、ダウ平均が-1218ドル(2.93%安)と、ナスダック総合を中心に急落したと指摘する市場関係者が多い。だが、それは本当だろうか。
冒頭の記事にあるように「7月の非農業部門雇用者数は11万4000人増から8万9000人増に下方改定され、6・7月分の雇用者数は計8万6000人減少」と今年に入り、改訂値も確報値も3月を除き全て下方修正と日常茶飯事。さらに、8月21日、米労働統計局が発表した『年次ベンチマーク改定』(速報値)では、24年3月までの1年間の雇用者増は81万8000人下方修正され、下方修正幅はリーマンショック時の2009年以来最大となっている。ベンチマーク改定の発表前の段階では雇用者数は1年間に290万人増(月平均で24万2000人増)だったが、今回の改定では月平均17万4000人増のペースとなる。つまり、実際の労働市場は当初の想定よりはるかに早い段階から減速していた可能性を示唆している。このように信用にならない経済指標なのにいつまでも市場が毎月一喜一憂するのは何故なのか。それは「米雇用統計」をきっかけに毎月市場をかく乱する投機筋が台頭しているためで、実際、先週6日も、ドル円は雇用統計発表直後に高値144.0円、安値141.75円と3円以上の攪乱、ドル円と連動性の高い日経平均先物もナイト・セッションで高値36860円、安値35115円と約1745円幅の大攪乱を行っている。つまり、投機筋は「米雇用統計」というイベントを利用して市場を上下させ、その攪乱によって市場参加者の不安心理を煽ることで儲けようとしているのだろう。多分、多くの市場関係者は事前に詳細に「米雇用統計」を予想しても、投機筋はその中身などはどうでも良く、重要なのは「米雇用統計」の注目度と考えているのではないだろうか。今回のように、多くの市場参加者が注目すればするほど、攪乱幅を増大できるからである。
では、T-Modelでは、先週の日米株式の急落の原因は何と考えているかというと、以前から何度も指摘してきた「円キャリートレード」の巻き戻しによる円高進行に加え、「10年債-2年債」の連続「逆イ―ルド」が週足ベースでは22年7月1日以来、114週(約2年2ヵ月)振りに途切れたことが原因と考えている。T-Model理論では『「逆イールド」解消は「金融引き締め」を意味する』からである。従って、以前から指摘してきた通り、8月5日に対する「2番底」の可能性が高まっている日経平均は直近でどこまで下落するのかは円高がどこまで進行するか、また、「10年債-2年債」の「スティープ(順イールド)化」がどこまで進むかが決定するのではないかと考えている。
実際、日足ベースの「10年債-2年債」で振り返ると明らかで、先週4日の米国債市場では7月米求人件数が767万人と予想を大きく下回り、特に、政策金利に敏感な2年債利回りが急速に低下したことで「逆イ―ルド」が一時解消、これは連続「逆イ―ルド」が始まった22年7月1日以降では2回目で、1回目は日経平均が史上最大の下落幅を記録した8月5日だったからである。ただ、8月5日の「逆イールド」解消はその後の強引な「株価吊り上げ」で週足ベースでは実現しなかったが、先週9月4日の「逆イールド」解消は日足・週足両ベースで実現しており、今9月の月足ベースでも「逆イールド」解消となるかが注目される。