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9月有効求人倍率は1.03倍と6年9カ月ぶりの低水準
9月有効求人倍率は1.03倍と6年9カ月ぶりの低水準
厚生労働省が10月30日発表した9月の有効求人倍率(季節調整値)は1.03倍で前月から0.01ポイント低下し、6年9カ月ぶりの低水準となった。低下は1月から9カ月連続。
有効求人倍率は仕事を探す人1人に対し、企業から何件の求人があるかを示す。有効求人数(原数値)は約200万人で、前年から25.5%減り、約70万人少なくなった。雇用の先行指標となる新規求人(原数値)は前年同月比で17.3%減った。減少幅では生活関連サービス・娯楽業(32.9%)や宿泊・飲食サービス業(32.2%)、卸売業・小売業(28.3%)、製造業(26.7%)が大きかった。建設業は5.9%増加した。
また、総務省が同日発表した9月の完全失業率(同)は2カ月連続の3.0%だった。完全失業者数(同)は前月比1万人増の206万人で、勤め先などの都合による「非自発的な離職」は6万人増、自己都合による「自発的な離職」は3万人増。男性の完全失業率は3.2%と前月から0.2ポイント上昇し、女性の完全失業率は0.2ポイント低い2.7%だった。失業率は男性が上がった一方、女性は職探しの動きがやや鈍ったことで低下した。特に非正規の雇用環境が厳しく、非正規雇用者数が前年同月比で123万人少ない2079万人となり、7カ月連続で減少。パート・アルバイトが61万人、契約社員が40万人それぞれ減った。
一方、休業者は197万人で8月から19万人減り、2月以来の低水準となった。過去最高だった4月(597万人)からは大幅に減り、新型コロナウイルスの感染拡大前とほぼ同じ水準に近づいている。総務省の担当者は9月の雇用情勢について「持ちこたえている状況」と説明する。T-Modelの潜在失業率(失業者+休業者)は9月6.1%まで低下してきているが、完全失業率が今後この潜在失業率に近づくかどうかは、上限額引き上げの特例措置の「雇用調整助成金」がいつまで延長されるかにかかっているといえるのではないだろうか。
今回の完全失業率の動きをリーマンショック時と比べると、リーマン・ショック時は男性の失業率が急激に上昇する傾向があったが、今回は女性の失業率が男性よりも先に悪化している。アベノミクスで雇用が増大したのは、高齢者と女性の非正規雇用者で、コロナショックで解雇・雇い止めを含め最初に影響を受けていることが分かる。その結果、気になるのが8月に女性の自殺者が前年比4割増と急増していることである。菅新政権では、女性を含めた雇用対策を急がないと、益々、自殺者が急増していきそうであり、コロナ対策のような後手後手だと貴重な命が失われていく可能性が高い。さらに、厚生労働省が発表した緊急調査では、新型コロナの感染への不安が高まっていた今年5月~7月の妊娠届け出件数が前年比11%減の20万件強。来年の出生数減少から少子化も加速する見込みであり、菅政権には命の対策と考えて対策を実行して欲しいものである。