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FRB0.5%大幅利下げ ドル円140円台 強いドル転換?

FRB0.5%大幅利下げ ドル円140円台 強いドル転換?

「強いドル転換」とあるが、そもそも本当に「強いドル」だったのか?

2024年9月20日日経新聞に『「強いドル」転換の見方~投資マネー、新興国へ』が報じられている。

『米連邦準備理事会(FRB)が4年半ぶりの利下げに踏み切った。米国の高金利がマネーを引き寄せる「強いドル」が転換点を迎えたとの見方がある。ドル高一服は、新興国への資金流入など世界の投資マネーの流れを変える可能性がある。FRBが18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5%の大幅利下げを決めた直後、対ドルの円相場が一時1ドル=140円台半ばまで上昇した。円は7月初旬に1ドル=161円90銭台と37年半ぶりの円安水準を記録したが、その後は米国のインフレ鈍化と利下げ進展を織り込む形でドル売り・円買いが拡大。9月16日には139円台まで円が上昇する場面もあった。

ドルの下落基調は他の通貨に対しても鮮明だ。ユーロなど主要な先進国通貨に対するドルの強さを示すドル指数は7月以降に5%下落し、18日には一時1年2カ月ぶりの安値を付けた。2022年秋に付けた約20年ぶりの高値との比較では12%低い水準だ。利下げの実施ではユーロ圏や英国、カナダの中銀が先行したが、FRBの大幅利下げを市場が先回りして織り込む形でドル売りが進んだ。今後の焦点は米利下げサイクルの開始でドル安がさらに進展するかどうかだ。

米運用会社クリアブリッジ・インベストメンツのジョシュ・ジャムナー氏は「世界の中銀間で政策(金利)の差が縮まり、目先は緩やかなドル安が進むだろう」とみる。もっとも、一本調子のドル安には懐疑論もある。FRBが示したFOMC参加者の経済見通しでは、インフレが2%目標に向かって収束しつつ、実質成長率は2%程度の堅調さを保つ軟着陸の実現を想定する。米経済が崩れなければ、市場の期待ほど利下げを急ぐ必要はなく、ドルは底堅さを保つ可能性がある。(途中略)

米ゴールドマン・サックスが1995年以降の米利下げ局面を対象に、最初の利下げ後にドルが主要通貨に対してどう動いたか分析したところ、他国も同時に利下げする「協調的な利下げ」の場合はドル高の傾向があった。今回も多くの中銀が利下げを続ければ「米利下げがドルに与える影響は限定される」とみる。(途中略)』

注目された9月17-18日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を0.5ptの大幅利下げを実施、その後の米連邦準備制度利理事会(FRB)のパウエル議長が会見で経済や消費に楽観的な見解を示し、金利引き下げを急いでいないとの見方を伝えたことで、「ドル円」は9月17日140.31円まで一時、円高に振れた後、20日に144.49円まで一気に円安は進行した。ただ、「ドルインデックス」は18日に一時99.8と、23年7月以来となる「100」大台割れ後、19日に101.18まで反発したものの週末23日終値100.5にとどまっており、先週の急速な円安は「ドル高・円安」ではなく、単なる「円キャリートレード」の巻き戻しが「一時的」に止められた可能性が高い。

実際、今回の急激な円高をいち早く予測したT-Model理論『円キャリートレード指数』では、24年7月5日週1.54倍と過去最高を記録した後、9月13日週1.39倍と一時1.4倍を割り込みましたが、先週9月20日週1.43倍に急反発しており、それが日経平均の大幅反発の一つの要因にもなっている。冒頭の記事では、『「強いドル」転換』とあるが、本当に「強いドル」なのか。

2024/08/26『「ドルインデックス」の8ヶ月振りの「100大台割れ」目前が示唆すること』のT-Modelコラムにおいて、

『「ドルインデックス」の実質価値を計る方法として開発したT-Model理論『ドルインデックス/NY金』は先週8月19日週3.9倍と、「ドルインデックス」が過去最安値「69.1」まで下落した2011年8月29日に記録した過去最低「4.0倍」を約13年振りに割り込んでしまった。これは現在の「ドルインデックス」が「100」と、過去最安値「69.1」に比べ大きく上回っていることからまだまだ余裕があるようにも見えるが、それはドル円を「人工的」に円安にして嵩上げしているためで、「ドルインデックス」の実質価値は過去最低だった「2011年」まで下落していることをT-Model理論『ドルインデックス/NY金』は示唆する。

「ドルインデックス」が過去最安値「69.1」まで下落した「2011年」を振り返ると、米国債の最上級の格付けが史上初めて引き下げられ「米国債ショック」が起きて「ドルの基軸通貨」の崩壊の危機すら騒がれた年だった。また、日本では今でも恐ろしくなる「東日本大震災」が起き、欧州では「欧州債務危機」、中東・アフリカでは「アラブの春」、北朝鮮金正日総書記の死去、ビンラディン容疑者殺害と世界中で大きな「不思議な出来事」が次々と起きた。今から振り返ると、これらの大きな「不思議な出来事」は「ドル基軸通貨」の崩壊を阻止することと何らかの関係があったのか。その関係はいつまでも分からないだろうが、少なくともT-Model理論『ドルインデックス/NY金』は「ドルの基軸通貨」崩壊の危機となった「2011年」の状況に近づき、再び、世界中で大きな「不思議な出来事」が次々と起きるリスクを示唆していることになる。日本では猛暑、ゲリラ豪雨や大型台風の襲来、さらに、気象庁は8月8日に初めて「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を発表するなど不穏な空気が漂っているが、引き続き「地震」などの「自然災害」は勿論、「戦争」「パンデミック」「経済危機」などには注意が必要な時間帯が続くことを再認識する必要があるだろう。』

T-Model理論『ドルインデックス/NY金』は2024年9月16日週3.8倍と過去最低だった2011年8月29日週4.0倍を13年振りに下回り、「ドルインデックス」の実質価値は過去最低だった「2011年」をさらに下回っていることを示唆する。そんな「ドルインデックス」を一見、「強いドル」のように見せているのが「円キャリートレード」による人工的「円安」だが、T-Model理論『ドルインデックスと外貨準備の「ドル構成比」の連動性』からも明らか。外貨準備の「ドル構成比」が過去最低まで落ち込んで世界の「ドル離れ」が進む中、「ドルインデックス」が人工的「円安」で嵩上げされて両指標が大きく乖離しているからである。そのため、「2011年」以上に我々は「地震」などの「自然災害」は勿論、「戦争」「パンデミック」「経済危機」などには注意が必要な時間帯が続くことを再認識する必要があるだろう。

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