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JPモルガントップが「原油価格が120~150ドルになっても驚かない」と発言


JPモルガントップが「原油価格が120~150ドルになっても驚かない」と発言

2023年9月15日日経夕刊に『景気占う統計のトラップ』が掲載されている。

『これくらいの原油高では米景気のソフトランディング(軟着陸)シナリオは揺るがない。14日発表の指標ではガソリン価格上昇の影響が色濃く出た半面、株式市場は強気に包まれた。ダウ工業株30種平均は前日比331ドル(1%)高の3万4907ドルで終えた。新規上場した英半導体設計アームの大幅高も追い風になった。

国際原油指標のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物は同日、一時1バレル90ドル台と、約10か月ぶりの高水準となった。それでもインフレ再燃懸念で株式相場の重荷になるほどではなかった。取引開始前に発表された8月の卸売物価指数(PPI)と小売売上高はいずれも市場予想を上回った。主因はガソリン高だ。「物価は下げ基調で消費は堅調」との受け止めは変わらず、長期金利の反応も限られた。

こうした軟着陸シナリオの起点は労働市場の需給の緩和だ。市場ではいま、前提の再点検が進む。関連統計に「トラップ」が目立つためだ。7月雇用動態調査(JOLTS)では求人件数と自発的な離職件数がいずれも約2年半ぶりの低水準だった。労働市場の過熱ぶりは着実に和らいでいる。(途中略)

シティグループは今週のリポートで、労働市場について過去の景気後退局面と比べた。賃金の伸び率や失業率に照らして「最終的に『経済の重力』法則が再び力を発揮し、米国は24年に景気後退に直面するだろう」と結論付けた。「原油価格が(1バレル)120~150ドルになっても驚かない」。JPモルガン・チェースのジェイミーダイモン最高責任者(CEO)は11日の講演で語った。同氏が見据える世界の地殻変動を踏まえた発言だ。』

冒頭の記事では、以前から指摘してきた不自然な経済統計の「トラップ」を指摘しているが、それよりも気になるのが、JPモルガン・チェースのジェイミーダイモン最高責任者(CEO)が11日の講演で「原油価格が(1バレル)120~150ドルになっても驚かない」と語ったと報じていることである。仮に、原油価格が120ドル~150ドルになると、22年6月高値120ドルを更新するどころか、リーマンショック前に付けた08年7月高値145ドルを目指すことを意味し、ようやく落ち着き始めたインフレの再加速は勿論のこと、原油価格と連動性の高い米国長期金利も大きく上昇することになる。ただ、何故、それまで上昇するのか?それはいつ頃、実現するのか?などの詳細がないため、その成否について言及することは難しい。ただ、長期的な視点ではT-Model分析と同じ方向にあり、的外れな予測とは言えないだろう。むしろ、JPモルガン・チェースのジェイミーダイモン最高責任者(CEO)が何故、今、楽観的な米国経済に苦言を呈すかのような予測を語ったのかが気になるところだ。4月の投資家向け書簡で、ジェイミーダイモン最高責任者(CEO)は銀行の相次ぐ破綻による「反動」は「今後何年も」続くだろうと述べ、JPモルガンはその1カ月後に破綻したファースト・リパブリックを買収するなど、政府との繋がりがより強い銀行のトップの意見だからである。

もう一つ、気になるのが「ドルインデックス」の動向である。T-Model分析で何度も指摘してきたように、「原油価格とドルインデックス」の逆相関の関係が、新型コロナのパンデミックが起きた2000年以降、正の相関に大きく変化しているためで、これは意図的に「ドルインデックス」を下落させないように「操作」されているかのようにも見えるからである。原油価格がリーマンショック前に付けた08年7月高値145ドルに達したとき、「ドルインデックス」は70近くまで下落していたが、今後、「原油価格とドルインデックス」の逆相関の関係が復活してその水準まで「ドルインデックス」が急落するのか、それとも現在の正の相関を続けて昨年10月高値113を更新する動きとなるかが注目である。仮に、前者のように、「原油価格とドルインデックス」の逆相関の関係が復活した場合、約100年間続いた「ドル基軸通貨」の終焉を意味することになるが、もし、そのような歴史的な変化が起きるとすると何がきっかけになるのか。ただ、少なくとも、それが起こるか、起きないかの議論は過ぎ去り、早ければ2025年までに、遅くても2030年までに起きることになるのではないだろうか。何故なら、T-Model分析「NYダウ/原油価格」の長期的関係において、原油価格の大幅上昇で2030年までの経済危機を意味しているからである。

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