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NY金先物価格上昇幅600ドル越 次に注目すべきは〇〇
NY金先物価格上昇幅600ドル越 次に注目すべきは〇〇
米国の財政不安で金の年間上昇幅が600ドル超と過去最大に
2024年9月27日日経新聞に『金、年間の上昇幅最大 昨年末から600ドル超高~米利下げ・地政学リスクで流入 米財政不安も買い材料に』が報じられている。
『金(ゴールド)の上昇の勢いが強まっている。国際指標となるニューヨーク先物(中心限月)は26日、初めて1トロイオンス2700ドル台にのせた。今年の上昇幅は600ドルを上回り年間上昇幅としては過去最大になった。米利下げや制裁回避狙いのドル離れ、自国経済への不安など多くの理由から金が買われ、株式に比べても値上がりが大きい。新たに米国の財政不安が買い材料に加わったことも上昇に弾みをつけた。(途中略)
金の上昇幅が大きかった11年は欧州と米国の財政不安が原動力だった。S&Pグローバル・レーティングスが米国債を格下げし、金価格は当時の最高値となった。相対的に安全資産とみなされる米国債に対する懸念が強まれば、マネーはいっそう金に流入しやすくなる。ムーディーズ・レーティングスは今月24日、政治分断などによる債務の拡大がつづけば「Aaa(トリプルA相当の最上位格)との整合性がとれなくなる」と指摘した。ムーディーズは主要3社で唯一、米国の最上位の格付けを失うことになりかねないとの懸念が増している。
米国の利上げ局面に米ドルに集まったマネーが分散し、金が買われている側面もある。これまでドルで運用すれば低リスクで5%超の利益が見込めたためドル買いにつながっていた。直近ではドルは下落基調にあり、主要通貨に対するドルの強さを示す「ドル指数」は足元で一時100台前半と、23年7月以来の安値を付けた。』
冒頭の記事の重要な指摘は、「金の上昇幅が大きかった11年は欧州と米国の財政不安が原動力」という点である。2024/08/26『「ドルインデックス」の8ヶ月振りの「100大台割れ」目前が示唆すること』のT-Modelコラムにおいて、
『実は、先週、「ドルインデックス」が「100」大台割れ目前まで下落するなか、NY金は24年8月20日高値2570ドルと過去最高値を更新した。「ドルインデックス」の実質価値を計る方法として開発したT-Model理論『ドルインデックス/NY金』は先週8月19日週3.9倍と、「ドルインデックス」が過去最安値「69.1」まで下落した2011年8月29日に記録した過去最低「4.0倍」を約13年振りに割り込んでしまった。これは現在の「ドルインデックス」が「100」と、過去最安値「69.1」に比べ大きく上回っていることからまだまだ余裕があるようにも見えるが、それはドル円を「人工的」に円安にして嵩上げしているためで、「「ドルインデックス」の実質価値は過去最低だった「2011年」まで下落していることをT-Model理論『ドルインデックス/NY金』は示唆する。
「ドルインデックス」が過去最安値「69.1」まで下落した「2011年」を振り返ると、米国債の最上級の格付けが史上初めて引き下げられ「米国債ショック」が起きて「ドルの基軸通貨」の崩壊の危機すら騒がれた年だった。また、日本では今でも恐ろしくなる「東日本大震災」が起き、欧州では「欧州債務危機」、中東・アフリカでは「アラブの春」、北朝鮮金正日総書記の死去、ビンラディン容疑者殺害と世界中で大きな「不思議な出来事」が次々と起きた。今から振り返ると、これらの大きな「不思議な出来事」は「ドル基軸通貨」の崩壊を阻止することと何らかの関係があったのか。その関係はいつまでも分からないだろうが、少なくともT-Model理論『ドルインデックス/NY金』は「ドルの基軸通貨」崩壊の危機となった「2011年」の状況に近づき、再び、世界中で大きな「不思議な出来事」が次々と起きるリスクを示唆していることになる。日本では猛暑、ゲリラ豪雨や大型台風の襲来、さらに、気象庁は8月8日に初めて「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を発表するなど不穏な空気が漂っているが、引き続き「地震」などの「自然災害」は勿論、「戦争」「パンデミック」
「経済危機」などには注意が必要な時間帯が続くことを再認識する必要があるだろう。』
「ドルインデックス」の実質価値を計る方法として開発したT-Model理論『ドルインデックス/NY金』は直近9月23日週3.7倍と史上最低を更新し、2011年以上に財政不安が強まっていることを示している。2011年はドル需要のバロメーターである「世界の外貨準備のドル比率」が約60%と、当時、過去最低まで低下して「ドル離れ」が起きる中、「ドルインデックス」も同指標に連動して70前後と過去最低水準まで下落し、誰の目にも米国の財政不安は明らかだった。現在は「世界の外貨準備のドル比率」が50%台と11年の過去最低の約60%を下回る一方、「ドルインデックス」は100をキープしているため米国の財政不安が分かりにくくなっている。それに騙されない投資家が金の買い手となっているのだろう。
NY金価格が過去最大の上昇幅で史上最高値を更新するなか、もう一つ注目すべきはT-Model理論『Gold/Silverレシオ』である。『Gold/Silverレシオ』は80倍を超えると「危機」を示すが、直近9月末83倍と依然、「危機」が続いていることを示唆している。また、「コロナショック」の20年3月118.5倍をピーク、21年2月65.1倍をボトムとする「三角持ち合い」の先端に位置しており、そろそろどちらかにブレイクするタイミングを迎えている。そうしたなか、NY銀価格は26日、一時、1トロイオンス33.02と2012年12月以来、約11年9ヵ月振りの高値を付け、歴史的高値圏のNY金に連れ高する貴金属としての部分が大きいが、銀は太陽光発電のパネルなど産業用需要も多いことから、中国の追加の景気刺激策で銀に投資マネーが流入している可能性ももある。NY金はすでに米国CPIにキャッチアップしているが、NY銀はまだまだ米国CPIとは距離があり、将来はNY銀の上昇がNY金を上回る可能性もあるのかもしれない。