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T-Model理論ドル基軸通貨終了のシグナル点灯
T-Model理論ドル基軸通貨終了のシグナル点灯
ドルの価値は『100分の1 対ゴールド、50年超で』
2025年4月26日日経新聞に『100分の1 対ゴールド、50年超で』が報じられている。
『米ドルの価値が前週、歴史的な低水準をつけた。金(ゴールド)でみたドルの評価は1971年のニクソン・ショックから下がり続け、50年あまりで100分の1に落ち込んだ。ドルの供給量が膨らんだほか、基軸通貨に対する信頼が低下したことが根底にある。(途中略)
かつてドルは金を裏付けとした経緯から、ドルの価値は金で測られやすい。第二次世界大戦後の国際的な通貨枠組み「ブレトンウッズ体制」ではドルが金と交換できる金・ドル本位制が採用され、当時の交換レートは1トロイオンス35ドルだった。22日、金価格の国際指標であるニューヨーク先物は3500ドルを突破して当時の100倍となり、ドルの価値は100分の1になった。
<ドル供給80倍超>
ドルの価値低下が始まったのが、1971年に当時のニクソン米大統領がドルと金の交換を停止したニクソン・ショックだ。金の保有量に縛られずにドルを発行できるようになり、供給量は増えていった。FRBによると、企業や家計が持つ現金や普通預金などすぐ使えるマネーを示す「M1」は、71年8月の2250億ドルから2025年3月には18兆5600億ドルと80倍超に膨らんだ。
金の年間採掘量は71年の約1200トンから2024年の約3600トンまで3倍程度しか増えておらず、ドルの膨張に比べればわずかだ。(途中略)ドルの金に対する減価が進んだ局面は主に3度ある。1970年代のインフレ時にはオイルショックもあって物価上昇が加速した。金の価格は10年間で13倍になり、ドルは13分の1になった。2000年代には米同時テロによる米経済への不安やリーマン・ショック後の大規模金融緩和によって金の価格は10年で5倍となった。ドルは5分の1となった。(途中略)』
今から約1年前の2024/04/01『「ドル基軸通貨」終了の2つのシグナル』のT-Modelコラムにおいて、
『2024/03/11『春闘での賃上げ期待で先行きDIが23年6月の高水準まで上昇した「2024年2月景気ウォッチャー調査」』のT-Modelコラムにおいて、
『特に、注意すべきは「ドルインデックス/NY金*100」が21年5月24日以来となる4.7倍に下落し、2011年8月22日週史上最安値4.0倍からの下値支持ラインを割り込んだことだろう。つまり、「ブレトンウッズ体制2」から「ブレトンウッズ体制3」へ移行過程が始まったことを意味し、それが先週のドル円での約3円幅の急激な円高に表れたかたちである。仮に、「ドルインデックス/NY金*100」が2011年8月22日週史上最安値4.0倍を割り込むようだと、「ドル基軸通貨」終了のシグナルが点灯することになる。実は、1月1日の「能登半島地震」はドルインデックスが年末23年12月29日安値100.75と100大台割れ、またドル円も140.2円と140円大台割れ目前まで下落したときに起き、偶然なのかもしれないが、本日3月11日に13年目を迎える「東日本大震災」もドルインデックスが69台と過去最低まで下落した時期に起きている。つまり、「ドル基軸通貨」の危うさは「地震」「戦争」と何らかの関係があるということではないだろうか。』と指摘した。
現在、ドルインデックスは104.2に対し、NY金価格は2286ドルと史上最高値をさらに更新し、T-Model理論「ドルインデックス/NY金*100」は約4.5倍に低下する。ドルインデックスは104.2と昨年末の100からは離れていて一見、問題ないようにも見えるが、同指標では「ドル基軸通貨」終了のシグナル点灯が迫っていることになる。仮に、2011年8月22日週史上最安値4.0倍を逆算すると、現在のドルインデックス104だとNY金は2600ドルで、またドルインデックスが100に低下するとNY金が2500ドルで達成する。ドルインデックスが100大台を割れは「地震」「戦争」に気を付けなければならないが、同指標が4倍に近づいても注意が必要である。』と指摘した。
「ドルインデックス/NY金*100」は25年3月3.3倍と、過去最低だった2011年8月3.67倍を下回り、過去最低を更新中である。このコラムで指摘したように、『「ドル基軸通貨」終了のシグナルが点灯』していることを意味するが、同時に、『ドルインデックスが100大台を割れは「地震」「戦争」に気を付けなければならないが、同指標が4倍に近づいても注意が必要である。』も現実化している。つまり、「ドル基軸通貨」の危うさで「地震」「戦争」など何が起きてもおかしくない状態なのが現在なのである。
世間ではトランプ大統領による「相互関税」など発表しなければこのような世界や市場の大混乱は起きていなかったと思われているのかもしれないが、世界の混乱は起きるべき時期を迎えているだけで、トランプ大統領の「相互関税」はそのきっかけを作ったに過ぎないのである。
実際、世界の外貨準備に占めるドル構成比は24年第3四半期57.39%と過去最低水準に落ち込み、このドルの実質的価値を示す「ドルインデックス/NY金*100」と連動していることからも明らかで、「人工的円安」で嵩上げしてきた表面的な「ドルインデックス」を世界は見抜いていることを示している。「ブレトンウッズ体制2」の現在の通貨体制が新通貨体制に移行する条件は整い始めており、トランプ大統領はいつ「新通貨制度」の次の革命を発表するかだが、そのとき「基軸通貨ドル」を維持できているかが注目される