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『信用買い残、18年ぶり多さ~個人の押し目買い旺盛』?
『信用買い残、18年ぶり多さ~個人の押し目買い旺盛』?
2024年4月10日日経新聞に『信用買い残、18年ぶり多さ~個人の押し目買い旺盛』が報じられている。
『東京証券取引所が9日発表した5日申し込み時点の信用取引の買い残高(東京・名古屋2市場、制度信用と一般信用の合計)は4兆5733億円と、2006年7月以来およそ18年ぶりの高水準となった。前週比では2690億円増え、増加幅は13年以来11年ぶりの高水準だった。4月上旬の相場下落局面で個人投資家による押し目買いが活発だった。原油高による米利下げの先送り観測を背景に、この週(1~5日)の日経平均は1377円(3%)下落した。信用売り残は7509億円と、3月29日申し込み時点と比べて791億円減った。』
この記事の中で、『相場の先高観から個人投資家が信用買いを増やし、売りを減らす動きが出た』など、当然の見方を紹介しているが、2024/03/18『信用買い残が高水準~07年8月以来 2週連続で4兆円超え』のT-Modelコラムにおいて、
『今回、何故、この信用買い残を取り上げたかというと、『07年8月以来の4兆円超え』とリーマンショック前の水準に膨らんだからで、信用取引の動向を分析すると、個人の動向を知ることができる重要な統計だからである。
リーマンショック以降の信用買い残と日経平均の関係を見ると、信用買い残が4兆円弱の規模まで膨らむと、株価がピークを打つ傾向が強かったが、昨年4月以降の外国人による不自然な買い上げで、その関係は崩れている。 信用買い残の規模ではリーマンショック前の水準に膨らんでいるが、実は『信用買い残/日経平均』は06年2月380倍をピークに、24年3月109倍まで落ち込んでいる。つまり、個人投資家の日本株離れを示しており、特に、2015年以降は、株価との乖離が大きくなっている。これは外国人とほとんど同じ傾向を示しており、日銀、年金による日本株買い支えが始まってからは外国人も個人も日本株から離れていったことを示す。
もう一つ、個人の日本株離れを示すのは『貸借倍率(信用買い残/信用売り残)』。リーマンショック前の06年1月3.7倍だったが、直近23年10月ピークは5.8倍と高水準。これは信用売り残がリーマンショック前よりも規模が小さくなったことで貸借倍率が上昇しただけで、日本政府による不自然な日本株価吊り上げで信用売りを諦め、日本株から去っていったのだろう。このような状況で個人は日本株に戻ってくるのだろうか。素人の個人投資家はのこのこ参入するかもしれないが、信用取引を行うような個人投資家は小さいニンジンぐらいではもう戻ってこないのではないだろうか。 』と指摘した。
市場関係者は信用買い残は直近で4兆5733億円と18年振りの高水準だが、リーマンショック前のピーク06年2月5兆9836億円に比べると、まだ約1兆5000億円も増やす余地があると考えているのだろう。だが、『信用買い残/日経平均』は117.3倍と落ち込んだままで、日経平均に比べると信用買い残は低迷しており、「18年振りの多さ」はミスリードと言えるのではないだろうか。