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ワクチン接種で先行きDIが9年振りの大幅改善となった「2021年2月景気ウォッチャー調査」

ワクチン接種で先行きDIが9年振りの大幅改善となった「2021年2月景気ウォッチャー調査」

内閣府は21年3月8日、「2021年2月景気ウォッチャー調査」を発表。同指標は株価の1~2ヶ月先行指標で政府統計では最も有効。

2021年2月「街角景気」の「現状判断DI」は前月比+10.6%Pの40.7%(原数値)と、4ヶ月振りに改善。水準は20年10月、景気の別れ目となる50%を18年4月以来、30ヶ月振りに一時上回ったが、その後、4ヶ月連続で下回っている。前年比ベースでは+13.3%Pと4ヶ月振りに二桁の回復となっている。緊急事態宣言が解除されず、GoToTravelキャンペーンも一時停止の状態だが、新型コロナウイルス感染者数の減少やワクチンの接種開始、一部地域での時短営業の解除なども景況感改善に寄与。「家計動向関連」を中心に大きく改善した。尚、メディアでは、2016年10月分から発表を開始した「季節調整値」を使用しているが、現状判断DIは前月比+10.1%Pの41.3%と4ヶ月振りに改善と、原数値と方向感が同じで違和感はない。

T-Modelにおいて「景気判断」に最も重要なのは移動平均との乖離幅で、20年6月+13.6%→7月+16.7%→8月+16.1%→9月+16.0%→10月+13.6%→11月+0.9%→12月-8.4%→21年1月-13.0%→2月-1.9%と推移。昨年12月以来、3ヶ月連続でマイナス圏に陥り景気は悪化していることを示すが、マイナス幅は大幅縮小して景況感悪化は止まっていることを示唆。内閣府は基調判断を「新型コロナウイルス感染症の影響による厳しさが残るなかで、このところ弱まっている」から「持ち直しの動きがみられる」に4ヶ月振りに引き上げた。

2─3カ月先を見る「先行き判断DI」は前月比+11.5%Pの53.0%と、実質4ヶ月連続で改善。景気の別れ目の50%を19年1月以来、25ヶ月振りに上回っている。前年比ベースは+26.4%Pと、4ヶ月振りにプラス転換で+20%超の大幅回復は12年3月以来、約9年振り。新型コロナウイルスの感染者数が減少傾向、緊急事態宣言の解除、さらに新型コロナウイルスワクチンの接種が始まることで、少しずつ人の流れが出てくるのではないかとの期待が大きい。実際、「ワクチン」に関しては先行きで2月379件(1月113件)の言及があり、今後の状況好転の鍵として「ワクチン」を大いに期待していることを示唆している。尚、「季節調整値」は前月比+11.4%Pの51.3%と大幅改善。景気の別れ目の50%を25ヶ月振りに上回り、原数値と方向感が同じで違和感はない。

一方、関東地区の先行きDI(家計関連)は前月比+12.4%P の50.9%と、2ヶ月連続の改善。景気の別れ目の50%を18年11月以来、27か月振りに上回り、前年比ベースでも+24.0%Pと15年3月以来、約6年振りに20%超の大幅回復となっている。全国先行きDI(家計関連)53.5%であることから、全国ベースを3ヶ月連続で下回った。「関東-全国の差(移動平均ベース)」は、20年6月-1.3%→7月-1.6%→8月-1.6%→9月-1.6%→10月-1.4%→11月-0.8%→12月-0.4%→21年1月-0.9%→2月-1.4%と推移。新型コロナウイルスの感染拡大で、昨年3月に1930年代の「世界大恐慌」レベルに実体経済が悪化したが、FRBを初め、日米欧の中央銀行による驚くような資金供給で世界的金融危機を避けることができた。ただ、昨年4月-0.2%→5月-0.5%→6月-1.3→7月-1.6%→8月-1.6%%→9月-1.6%→10月-1.4%→11月-0.8%→12月-0.4%→21年1月-0.9%→2月-1.4%と11ヶ月連続でマイナス圏で推移。特に、今年からマイナス幅が拡大しており、新たな危機が始まっていることを示唆し始めている。尚、過去、同指標は07年のサブ・プライムローン問題、08年のリーマン・ショック、11年欧州債務危機、15~16年の「チャイナ・ショック」など世界的な金融危機の局面で大きく悪化、それは関東地区が地方に比べ世界の金融危機に左右されやすい経済構造になっているためである。

また、T-Modelオリジナルの同指標は10ヶ月先の日本の株式市場を占う上でも重要な指標。同指標は昨年4月をボトムに11月まで急上昇していることで今回の新型コロナのマーケットへの影響が昨年春頃には一巡、年末に向けて急速に株価が戻ることを示唆し、その通りの相場展開で同指標の予測の正しさを証明。バイデン政権が提示した1.9兆ドルの追加経済対策法案が3月12日に成立したことで楽観論から米国株式市場は史上最高値更新、日経平均も30年半ぶりの3万円大台を回復した。問題はここまで的確にマーケットを予告してきた同指標が昨年11月の大統領選挙を境に、再び、昨年春のコロナショックの水準まで悪化し、今6月に向けて危険な時間帯を示唆していることである。何をきっかけに急落するのか、そして、それが急落調整で終わるのか、それとも暴落に発展するのか。そもそも急落は本当に起きるのか、など注意すべき時間帯に入っていることをT-Modelは示唆する。同指標の予告通りならば世界的危機による株価急落の時期に延期された五輪の開催時期が重なることになる。外国人観光客を入れない方針で決まりそうだが、オリンピック組織委員会の森会長辞任とあわせ五輪開催に対する何の暗示なのか見守る必要がある。また同指標は今10月以降、悪化しており、予定されている衆議院解散・総選挙への何かの暗示なのか、長期政権の次の政権は短命とのジンクス通りになりそうなのか、こちらも不気味な先行きを示唆する指標として注目していかなければならない。

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